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日本にはいくつかの「ダービーマッチ」が存在する。

大阪ダービー、静岡ダービー、千葉ダービー。
今季は実現しなかったけれども横浜ダービー、東京ダービーもある。

中でも観客動員数で最大規模を誇るのが、 “さいたまダービー” だ。

浦和レッズと大宮アルディージャ。

当代随一の超人気チームの浦和レッズに対して、大宮アルディージャの観客動員数はJ1でも少ない部類に入る。
実力的にもJリーグチャンピオン、アジアチャンピオンにもなったレッズと比べると、アルディージャはこれまでメジャータイトルとは無縁と、大きく差をつけられている存在だった。

浦和と大宮、その都市間のライバル意識

ちなみに僕は神奈川県出身だけど、同じ関東地方とは言っても、埼玉県のことにはあまり詳しいとは言えない。
たぶん埼玉の人や千葉の人も、神奈川のことはあまり詳しく知らないという人が多いのではないだろうか。

神奈川・埼玉・千葉というのは、それぞれ “東京” という巨大都市を挟んで存在している。

それだけに東京まで出る機会は頻繁にあっても、「東京の向こう側」まで行く機会はほとんど無い。
言ってみれば「近くて遠い存在」なのだ。

僕も埼玉スタジアムには1度だけ行ったことがあるけれども、NACK5スタジアムには行ったことがなかったりする。
さいたまスーパーアリーナで行なわれた「PRIDE男祭り」と高田延彦の「出てこいや!!」が無ければ、埼玉に行く機会はさらに減っていたことだろう。

そんな僕にとってこのさいたまダービーは、埼玉について考える貴重な機会の一つなのだった。

埼玉県さいたま市は 2001年に合併するまで、大宮市・浦和市・与野市という3つの市に分かれていた。
特に浦和・大宮の両市は、ともに 50万人以上の人口を抱える都市同士で、全国でも珍しい「双子都市」の合併として注目を集めた。

しかしこの浦和と大宮の両市の間には、のっぴきならないライバル関係があったそうだ。

その関係は明治維新期まで遡り、廃藩置県の際、大宮と浦和は激しい県庁の誘致合戦を繰り広げたらしい。
その結果、県庁所在地は浦和に落ち着くことになるけれども、その後もたびたび県庁の移転構想が持ち上がり、両市の間には大きな軋轢が生まれた。

そうこうする間、交通の要衝であり埼玉の商業の中心地として発展した大宮に対して、浦和は行政施設や文化施設が集中する文教地区としての地位を確立する。

そんな歴史上の因縁や、両都市の性格の違いもあって、浦和と大宮の間には根強い対立意識が残る。
それが原因で、20世紀中にも何度も合併構想が持ち上がりながらも、そのたびに立ち消えになって実現しなかったという経緯もあった。

そして合併が実現した現在でも、地域間の対抗意識は依然として残り続けている。

そんな浦和と大宮のライバル意識の存在が、このさいたまダービーの背景にも強い影響を落としているのだ。

…というのが、門外漢の僕が調べてみた「浦和と大宮のライバル関係について」である。

それだけにこの試合も、両チームのプライドを賭けた熱い戦いが期待される一戦だった。

しかしゲームは、意外な幕開けを見せる。

試合をリードした浦和レッズ

先制点が生まれたのは、まだ両チームが様子を伺っていたような、前半4分の出来事だった。

浦和レッズは、右サイドを田中達也が突破して中央にクロス。
エジミウソンが潰れたこぼれ球を柏木陽介が拾うと、柏木は見事な切り返しで DFをかわし、ファーサイドに走りこんだ高崎寛之めがけてピンポイントのクロスを上げる。
これが高崎の頭にドンピシャで合い、このヘディングシュートが決まって、浦和レッズが早々に先制ゴールをマークした。

呆然とする大宮アルディージャの選手たち。

この早すぎる失点が影響してか、その後のアルディージャの選手たちは全く地に足のつかないような、浮き足立ったプレーぶりを披露してしまう。

中盤がバタバタと落ち着かず、柏木陽介と細貝萌のボランチコンビと、山田暢久と坪井慶介のセンターバックコンビの激しいプレッシャーに、ボールをやすやすと奪われ続ける大宮アルディージャ。

新加入の元韓国代表、イ・チョンスは積極的な突破を試みていたけれども、周囲のフォローがなく前線で孤立。

逆にエジミウソンや柏木、田中達也たちを捕まえきれないアルディージャは、レッズに押し込まれる時間帯が続いた。

その流れから 16分、2点目が生まれてしまう。

この日はその強引な突破力で大暴れだったエジミウソンが、右サイドの包囲網をぶち破ってこれを突破。

ここから中央にクロスを送ると、これを受けた柏木陽介がダイレクトでボレーシュート。

この、ゴール左上を狙ったコントロールシュートが見事に決まって、浦和レッズが2点をリードした。

立て続けに2点を奪われ、混乱に陥る大宮アルディージャ。
対するレッズは、その後も波状攻撃を続ける。

しかし追加点は生まれないまま迎えた前半終了間際。

浦和レッズの左サイドバック、サヌがクリアミスをしたボールが大宮アルディージャの FWラファエルの足元にこぼれ、ラッキーな形で大宮アルディージャが1点を返すことに成功した。

良い時間帯に1点差として、後半は勢いに乗るかと思われたホームの大宮アルディージャ。
実際、後半はアルディージャのプレスもかかり始めて、レッズに前半のようにはチャンスを作らせない。

ただし攻撃面では相変わらずレッズに抑えこまれ、アルディージャは攻撃の糸口を見つけられなかった。

石原直樹、市川雅彦、橋本早十の3人のアタッカーを連続投入する積極策も実らず、結局試合は 1-2のままタイムアップ。
アウェーの浦和レッズが、危なげなく勝ち点3をゲットした。

不完全燃焼に終わった大宮アルディージャ

これで浦和レッズは7位に浮上。
大宮アルディージャは順位こそ 14位と変わらないものの、降格圏と背中合わせの状況には変わりはない。

上位のレッズとの対戦だったとはいえ、ホームでのこの さいたまダービーであっさり敗れてしまったことは、アルディージャにとってはかなりの痛手だったのではないだろうか。

試合後、大宮アルディージャの鈴木淳監督は「普段使っていないところで試合をするハンディがある」と愚痴をこぼしていたらしい。

この試合は大宮アルディージャのホームゲームだけれども、試合が行われたのは、普段は浦和レッズのホームスタジアムとして使われている埼玉スタジアム。

確かに 15,500人収容の NACK5スタジアムに比べて、埼玉スタジアムは 63,700人収容の巨大スタジアム。
キャパシティの違いは段違いだし、実際にこの日のさいたまダービーも、33,660人の大観衆が観戦に訪れていた。

プロサッカークラブとしては、シーズン中で最も集客の見込めるこの浦和レッズ戦で、少しでも大きい箱で試合を開催したいと考えるのは自然な成り行きだろう。

しかし、そのぶんアルディージャが犠牲にしてしまったものも多かったように、僕には感じられてしまったのだ。

3万人以上が入ったとはいえ、それでもキャパの半分程度の観客ということで、空席も目立ったスタジアム。
場内にはレッズサポーターも多く、そこに「大宮のホーム」という雰囲気はなかった。

指揮官も語ったとおり慣れないピッチだったこともあってか、この日の大宮アルディージャは試合を通じて、まるでアウェーチームかのような落ち着きのない試合運びに終始してしまう。

もしこれが NACK5スタジアムで行なわれていたら、また違った雰囲気、違った結果になっていた可能性も充分にあったように思うのは、僕だけだろうか。

プロのクラブとして、何が正しくて何が正しくないのかは、僕のような素人には判断するべくもない。

しかし大宮アルディージャの選手とサポーターたちにとって、このさいたまダービーが不完全燃焼に終わるものだったことだけは間違いないところだろう。

この敗戦で、さいたまダービーでの大宮の連勝も2でストップ。

残留闘いに向けて、大宮アルディージャの試練の道のりは続く。

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