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サッカーに「番狂わせ」はつきものだ。

実力上位と言われるチームでも必ず勝つ保証はなくて、むしろバルセロナのように最強と言われているようなチームでも、シーズンに何回かは下位チームに不覚を取るのが普通だ。
それが実力差の小さいリーグなら、なおさらである。

今季こそ名古屋が独走態勢に入りつつあるけれども、ここ数年のJリーグは、優勝争いが最終節近くまでもつれこむのが半ば「お約束」となっていた。

Jはそれだけ戦力格差が小さくて、実力の拮抗したリーグなのだと言えるだろう。

だからだろうか。
Jリーグでは、前年に天皇杯、またはナビスコカップのタイトルを取ったチームが、翌年にはJ2に降格、というパターンが異様に多い。

遡れば 03年の京都サンガ、05年の東京ヴェルディ、そして昨年の大分トリニータ。
また、タイトルには手が届かなかったけれども、J1で最後まで優勝争いをしながら翌年にはJ2降格、というパターンだと 06年のセレッソ大阪も挙げられる。

同じような例は海外の場合でもあるだろうけど、これほど浮き沈みが激しいリーグは、世界中を見渡しても珍しいんじゃないかなと僕は思っている。

それは前述したように、チーム間の力の格差が小さいことが、大きな原因として挙げられるだろう。

しかし僕はそこに、もう一つの要因を付け加えたい。
それは今回の記事のテーマでもある、「メンタル」である。

ミスマッチな降格争い

J1も残り 10節となって、佳境の時期を迎えている。

優勝争いからは当然目が離せないけれども、この時期に同じように気になってくるのが降格争いだ。

降格圏は 16位〜 18位の下位3チーム。
そして今節は、その降格圏内に位置する2チーム、FC東京と湘南ベルマーレの直接対決が行なわれる「勝負の第 25節」となった。

FC東京は、昨年のナビスコカップのチャンピオンとなった強豪チームである。

しかし今季は、前節まで 16位と低迷。
常識的に考えれば、こんな位置にいるようなチームではないはずだった。

対する湘南ベルマーレも、ここまで最下位に沈んでいる。

ただし、僕は今シーズン何度かベルマーレの試合を観たけれども、どの試合も内容的には必ずしも悪いものではなかった。

しかしこの両チームが、前節終了時点でともに降格圏内だというのだから、不思議だとしか言いようがない。

直接対決となったこの試合も、決して降格圏内のチーム同士のものとは思えないような、充実した内容の一戦となった。

白熱の攻防となった「裏天王山」

降格圏脱出のために、ここから先は勝ち点1たりとも無駄にできない両チーム。
FC東京は城福浩氏が解任されて、後任の大熊清監督による2試合目の采配となった。

試合は「絶対に負けられない」両チームの気持ちを反映させてか、前半から激しいゲームとなる。

この日は主審の木村博之さんの好ジャッジもあって、試合がなかなか途切れないスピーディーな展開が続く。
その甲斐もあってか、両チームともにアグレッシブなプレーが見られ、攻守が目まぐるしく入れ替わる白熱の攻防戦となった。

湘南ベルマーレの坂本紘司、馬場賢治、寺川能人らが決定機をつかめば、FC東京も平山相太らが際どいシュートを放つ。
反面、両チームとも中盤のプレスも速く、引き締まった展開が続いた。

そして両者ともに気持ちの入った熱戦が動いたのは、前半 38分だった。

FC東京の右コーナーキック。
蹴るのは石川直宏。

石川のこのキックはゴール前中央に飛び、ここで湘南ベルマーレのマークを外してフリーになった今野泰幸がヘディングシュートを放つ。
このボールはジャストミートしなかったものの、ボールが流れた先に、ゴールハンター大黒将志が待っていた。

大黒はこのボールに脚を合わせると、ボールは角度を変えて湘南ゴールへ。

これが決まって、FC東京がまずは1点を先制する。

そして2点目は、この直後に生まれた。

失点で気落ちしたか、ベルマーレのディフェンスがややルーズになったところに、石川直宏が右サイドから左のリカルジーニョへとサイドチェンジのパスを通す。

リカルジーニョは短いドリブルを入れると、ここから中央で待つ平山相太へとパス。
平山がこれをポストプレーで落としたところに、走りこんでいたのは再び石川直宏だった。

そして石川がこれをダイレクトでミドルシュート。

このシュートは豪快な一撃となって、湘南ベルマーレのゴールに突き刺さったのである。

あっという間に奪われてしまった2ゴール。

湘南ベルマーレとしては、まさに悪夢のような2失点だった。

後半に入り、何とか気を取り直したベルマーレは再び積極的に攻めこむものの、先日のザック・ジャパンにも選ばれた FC東京のGK、権田修一が立て続けに見事なセーブを披露して、ベルマーレにゴールを割らせない。

そして迎えた 84分、FC東京MFリカルジーニョのミドルシュートが決まって万事休す。

3-0の快勝劇で、FC東京がこの「裏天王山」を制した。

チーム浮沈の鍵を握る「メンタルの差」

結果的には 3-0という大差がついてしまったこの試合。

しかし、内容にはそれほどの差があったようには思えなかった。
そもそもこの両チームが降格圏にいることが僕にはあまり信じられないのだけども、それでもこれが現実なのである。

FC東京は、A代表やアンダー世代の代表選手を大量に抱える強豪チーム。
対する湘南ベルマーレも、新潟を強豪に育てた反町康治監督のもと、よくまとまった好チームである。

それがなぜ、こんな状態になってしまったのだろうか。

僕が思うに原因は、先程も書いたとおり「メンタル」ではないかと思っている。

実力の拮抗したJリーグでは、ほんの少しの集中力の差、モチベーションの差が結果を大きく左右してしまう。
そして、一度狂った歯車は簡単には元に戻せない。

前節まで湘南ベルマーレは 11試合、FC東京は 10試合の間、未勝利が続いていた。
その間、1点差以内の試合が、湘南ベルマーレは6試合、FC東京は8試合。
それぞれ半分以上の試合で1点差ゲームを演じながら、1勝もできていなかったことになる。

これはすなわち地力の差ではなくて、ディティールの差。
つまりメンタルの差なのではないかと僕は考えた。

それは詰まるところ「自信の有無」の差でもある。

明暗を分けた「スパイラル」

自信を失っていた FC東京は、監督解任というショック療法をとった。

新指揮官の大熊清監督は、99年の FC東京のJ1昇格時の指揮官であり、チームの礎を築いた人物。
U-20代表監督や岡田ジャパンでの代表コーチを歴任し国際経験も豊富で、何より勝負強さとモチベーターとしての手腕には定評がある。

その大熊監督の持ち味が、この2戦目で早くも効果を発揮したと言えるだろう。

逆に湘南ベルマーレは、負のスパイラルから未だに抜け出せていない。

この日もセットプレーでのミスという形から失点し、そのショックから簡単に2点目を失って敗れ去った。
地力がないわけではないだけに奮起を期待したいところだけど、自信を失ってしまっている今は、効果的な対策を見つけるのも簡単ではないだろう。
ただいずれにしてもこのままでは、指をくわえて降格を待つだけになってしまう。

この試合を経て、湘南ベルマーレは依然として最下位をキープ。

対する FC東京は、ヴィッセル神戸を抜いて 15位に浮上。
わずか勝ち点1の差ながら、降格圏を脱出した。

現在、降格圏の3チームは、いずれも僕の応援する神奈川のチームと関西のチーム。
う〜ん、状況は非常に厳しい。
厳しいけれども、何とか頑張って欲しいところである。

結果的に、降格争いの明暗を分けたこの一戦。

両チームの差を分けたのは、微細ながらも、両チームの持つ「自信」の差だったように思えた。

そして自信をつけるには、何といっても「結果」を残すことが一番だ。
逆に結果を出せなければ、自然と自信は失われていってしまうだろう。

FC東京は掴み、湘南ベルマーレは掴み損ねた「正のスパイラル」へのきっかけ。

残り10試合。
シーズンの終わりに振り返ったとき、この一戦は両チームの命運を分けた一戦と、なってしまっているのだろうか。

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