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ヤマザキナビスコカップ。

初めて聞いたときには「味の素スタジアム」や「金鳥スタジアム」に匹敵するインパクトを感じた名前だったけれども、既に 18年の歴史を誇るこの大会は、今では立派なメジャータイトルへと成長した。

Jリーグ、天皇杯と並ぶ日本の3大タトルとして、確固たる地位を築いたと言っていいだろう。

11月3日の「文化の日」が決勝戦というのも、すっかり定着した感がある。

そして今年のナビスコカップ決勝は、ジュビロ磐田とサンフレッチェ広島という、期待通りの新鮮な名前が並ぶ好カードとなった。

点の取り合いとなった、白熱の決勝戦

試合は「若さ」に定評のある両チームの勢いを反映してか、非常にスリリングな展開を見せる。

序盤は拮抗した試合展開。

しかし、徐々にジュビロ磐田がペースを掴むようになっていく。

そして 36分、船谷圭祐から右サイドへのロングパスを受けた前田遼一が、中央へクロス。
ここに再び船谷圭祐が合わせて、ジュビロがまずは先制。

しかし 43分、サンフレッチェ広島も反撃に出た。

森崎和幸から、右サイドのミキッチへとワイドな展開のパスが通る。
これを受けたミキッチはドリブル突破を仕掛けると、なんと3人抜きの見事な突破を見せつける。

そして上がったクロスに李忠成が合わせて、サンフレッチェが 1-1の同点に追いついた。

さらにサンフレッチェは 47分、中島浩司からのロングパス1本に抜け出した山岸智がゴールキーパーと1対1に。

これを山岸が落ち着いて決めて、2-1と逆転に成功。

チーム初の年間タイトルへの可能性を、サンフレッチェ広島がグッと引き寄せた瞬間だった。

そして試合はそのまま進み、時間帯は終盤へ。

手負いのジュビロは猛攻を仕掛けるけれども、サンフレッチェも集中した守りでこれに対抗する。

サンフレッチェの初優勝が近づいてきたと思われたその瞬間、ドラマは待っていた。

試合終了間際の 89分、ジュビロがコーナーキックのチャンスを得る。
上田康太の放ったキックに、那須大亮がヘディングで合わせた。

これをサンフレッチェ GKの西川周作が弾いた、そのこぼれを押し込んだのが、前田遼一だった。

ジュビロのエースの劇的なゴールで、勝負は延長戦へともつれ込むこととなったのである。

延長に入ると、後半 45分間を攻め続けたジュビロの勢いがサンフレッチェを凌駕する。

そして延長 12分、コーナーキックから菅沼実が押しこんで、ついにジュビロが逆転。

さらにその直後の延長 14分、カウンターから山崎亮平が決めて、ジュビロが 4-2と突き放した。

しかしサンフレッチェもこのままでは終われない。

延長前半ロスタイムには、この日は攻守に奮闘し、両チームで最も目立っていた日本代表、槙野智章が直接フリーキックを決めて 4-3と一点差に詰め寄る。

ところが延長後半に入った 19分、フリーキックからのロングボール1本で抜けだした前田遼一が素晴らしいループシュートを決めて、ジュビロが再び 5-3と突き放した。

ノーガードの打ち合いのようになった延長戦、最後にチャンスを迎えたのはサンフレッチェ広島。

延長後半ロスタイムに槙野智章が倒されて、PKを獲得する。

これを蹴るのは槙野自身。

しかしこのキックは川口能活のスーパーセーブに阻まれて、その直後、120分の激闘の終わりを告げるホイッスルが吹かれたのである。

ナビスコカップの抱える課題

両チーム合わせて8ゴールが生まれた熱戦は、まさにファイナルに相応しいものだった。

ところでこのナビスコカップ決勝。
国立競技場には 39,767人の大観衆がつめかけていた。

これだけを見れば興行的にも大成功だったと言えるだろう。

しかし決勝戦以外に目を移せば、準決勝第2戦の2試合は、それぞれ 13,417人と 12,384人。
日曜日開催の準決勝としては、若干寂しい数字になってしまう。

さらに準決勝第1戦では、平日開催とは言え、サンフレッチェ広島 x 清水エスパルスの試合はわずか 5,034人の入りだった。

準々決勝以前はさらに寂しくなって、今年はワールドカップでJが中断していた期間こそそこそこお客さんが入っていたけれども、それ以外の試合では観客 5〜6千人台の試合が頻発している。
中には 3,000人台という試合もあった。

ある程度は仕方がないとは言っても、3大タイトルの一角としては、ちょっと寂しい数字ではある。

天皇杯でも同じように、決勝戦以外は極端にお客さんが入らないという悩みを抱えてるけれども、何か打開策が必要なのではないだろうか。

ナビスコカップの問題点は僕が思うに、その存在意義が曖昧なところにある。

もう一つのカップ戦である天皇杯との差別化が図られていなくて、リーグ戦と何がどう違うのか、という境界線もはっきりしていない。

今のところ、単に「試合を増やす」「タイトルを増やす」ためにやっている感が否めない。

だから決勝戦以外では、特定チームの熱心なサポーター以外は、あまり興味を抱きにくいのではないだろうか。

逆に言えば「ナビスコカップならではの面白さ」というものを打ち出していければ、その価値も再認識されるのではないか、という気がする。

ここから先はごく個人的な意見になるのだけれども、犬飼基昭前サッカー協会会長が以前に提唱していた「ナビスコカップの U-23化」は、(犬飼会長のその他の案の大半は共感できなかったけれども)面白い案なのではないかなと思った。

実際、いつも同じメンツの「ベストメンバー」の試合を見るよりは、時には若手を中心とした「未来に期待を抱かせる」チームの試合を観るのも、サポーターとしても新鮮に感じられる場合もあるのではないだろうか。

同時に、若手に出場機会を与えるという効果も生むことになる。

完全な U-23化が難しいのであれば、オリンピックのように3人までオーバーエイジを認める、とかでもいいかもしれない。

その上でさらに、外国人選手を禁止するなどのルールを設ければ、リーグ戦とは少し違ったフレッシュな布陣が見られるだろう。

そして個人的にぜひお願いしたいのが、J2チームの参戦である。

やはり下部リーグと上部リーグとの対戦が組まれる数少ない機会であることが、カップ戦の醍醐味でもある。

普段観られない対戦カードが生まれることは、特に下部リーグのチームのサポーターからすれば、大きな喜びにつながるだろう。

ギラヴァンツ北九州のホームに浦和レッズが来たり、横浜マリノスと横浜FCの「横浜ダービー」がナビスコで実現したりするかもしれない。

そういう「意外性」が、リーグ戦との差別化を生むのではないだろうか。

そしてその上で、下部リーグのチームには上記の U-23枠を撤廃してベストメンバーを組めるようにする、などのハンデを与えれば、より拮抗した「結果の読めない試合」が増えて、大会もエキサイティングなものになるような気がする。

とまあ、ひとしきり妄想を書き綴ってみたけれども、何にせよJリーグ側には色々と試行錯誤をお願いしたい。

もしかしたらそれが、難しい「第2のカップ戦」の位置づけを変えることになるかもしれないのだ。

そんなウルトラCに、ちょっとだけ期待をしてしまう秋なのだった。

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