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「ヤッター、ニッポン、金メダル!!!」
いま、中国で行われている広州アジア大会。
その女子サッカー決勝で、我らが日本女子代表 “なでしこジャパン” が北朝鮮に勝利して、見事に大会初優勝に輝いた。
女子サッカーのいちファンとして、これは率直に嬉しい。
しかもこのアジア大会では、男子サッカーも決勝戦進出を決めている。
その結果次第では、「日本サッカー史上初のアベック金メダル、あるでー!!!」
と思わず関西弁で叫びたくなってしまうような快挙である。
なでしこジャパン、薄氷を踏む金メダル
ただしこの試合の内容を振り返ると、日本にとっては決して芳しいものではなかった。
なでしこジャパンはゲーム全体を通じて、北朝鮮に押し込まれる展開が続いた。
またこの試合に限らず、準決勝の中国戦でも決していい試合をしたとは言えない。
なでしこジャパンにとっては、今大会は非常に評価の難しい大会だったと言えるだろう。
中でも、日本の採った戦術には疑問を感じる部分が多かった。
特に両サイドの編成には佐々木則夫監督の苦労、というか「迷い」の色が濃く伺える。
準決勝、決勝ともに右サイドは MFに近賀ゆかり、サイドバックに矢野喬子という縦のコンビ。
対する左サイドは、2試合ともサイドバックに上尾野辺めぐみが先発し、サイドMFには準決勝は阪口夢穂、決勝は宮間あやという布陣。
しかしこのフォーメーションは、お世辞にも機能しているとは言いがたかった。
右サイドはクラブではサイドバックを務める近賀と、センターバックを務める矢野のコンビ。
それに対して左サイドは、クラブで MFを務める上尾野辺をサイドバックに起用した形。
これだけを見ると右サイド=守備的、左サイド=攻撃的、というイメージが湧くけれども、実際は左サイドからの攻撃はほとんど機能せず、むしろ右からのチャンスのほうが多いような展開に日本ははまっていく。
さらには日本の左サイドは、相手からは「穴」と見られ、中国・北朝鮮の攻撃の的となってしまうような格好だった。
どちらの試合も左サイドバックに鮫島彩を起用してからはリズムが良くなったけれども、なぜ初めからその形にしなかったのか、監督の意図が見えてこない。
結果的に日本は薄氷を踏むような勝利の連続で、なんとかかろうじて、タイトルまで漕ぎ着けることができたという感じである。
来たるワールドカップイヤーに向けて
ただ裏を返せば、今のなでしこジャパンは苦しい中でも勝ち切るだけの「地力」を身につけたのだとも言える。
そして何よりも、この大会に関しては勝ったことが大きい。
世間に広く注目を集めるスポーツの祭典で優勝したことで、なでしこジャパンの活躍はメディアでも大きく取り上げられることになった。
まだまだマイナースポーツの域を出ない女子サッカーにとっては、結果を残して広く存在を知らしめることは何よりも重要なことだと思う。
だから僕は、何はさておきこの優勝を讃えたい。
ただ、来年はいよいよ女子もワールドカップイヤーだ。
この大会のような戦いぶりでは、とても世界は勝ち抜けないですよ、佐々木監督。。。
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