Islamic Centre, Doha, Qatar.Islamic Centre, Doha, Qatar. / jemasmith

『女心と秋の空』とはよく言ったもので、「移ろいやすいもの」を例える時に使われることわざだ。

読者の方々もこれまでの人生で、異性の心変わりに泣かされた経験をお持ちの方もいらっしゃるのではないだろうか。

かく言う僕もその中の一人で、思い起こせばMさんSさんRさんとの悲しい恋の記憶が……あ、涙でモニターがかすんで来t……。

それはともかく、そんな慣用句の中で語られる女性像と同じく、ワールドカップの女神も移り気な存在である。

8年後の 2018年ワールドカップと、12年後の 2012年ワールドカップの開催国が決まった。

2018年はロシア、2022年はカタール。

この決定は少なからず、世界のサッカーファンに驚きを与える「意外な結末」だったのではないだろうか。

ヨーロッパの「眠れる大国」、ロシア

個人的に、ロシアの開催地決定は順当なものだったと思う。

近年の民主化以降のロシアは、経済的にもサッカー的にも急成長を遂げていた。

もともとロシアは人口 1億4000万人と、ヨーロッパ最大の規模を誇る大国である。

サッカー人気も昔から高かったけれども、ソ連時代は経済的基盤の弱さと、共産圏特有の閉鎖的な体制から、西側のサッカーの進化に遅れをとって、欧州では中堅国の座に甘んじていた。

90年代ごろまでのロシアは、ヨーロッパサッカー界のいちローカル地域に過ぎなかったのである。

しかし、ここ数年のロシアリーグは成長著しい。

各クラブにはブラジルやアルゼンチン、アフリカやアジアなどから優秀な選手が流入して強化が進み、数 10億円という移籍金が動くことも珍しくはなくなった。

我らが日本代表の本田圭佑や松井大輔も、今はロシアを舞台に戦っている。

いまヨーロッパの3大リーグと言えばイングランド・スペイン・イタリアの名前が挙がる。
5大リーグと言った場合には、ここにドイツとフランスが加わる。

しかし僕は近い将来、ロシアがその一角に食い込むのではないかと睨んでいる。

豊富な天然資源を背景にした経済力の面で見ても、優れた才能を輩出する人口の面で見ても、ロシアはそれを可能にするだけの充分なポテンシャルを持っているように思う。

そのロシアがついに初めてのワールドカップを開催することは、将来の6大リーグの形成を大きく後押しする出来事だと思う。

これはロシアだけでなくヨーロッパ全土、または世界のサッカー界にとっても有益なことになるのではないだろうか。

中東の伏兵、カタール

そんなわけでロシア開催には大いに納得した僕だったけれども、2022年の開催国が決定した瞬間には、さすがに我が目を疑った。

「2022年の開催国は………カタール!!」。

FIFAのゼップ・ブラッター会長が、相変わらずのしれっとした表情でその名を読み上げる。

瞬間、「キャーー!!!」。

会場から悲鳴にも似た歓声が沸き上がった。

僕がカタールでのワールドカップ開催決定に驚いたのは、招致活動が本格化したころからずっと、2022年の本命はアメリカかオーストラリアだと言われていたからだ。

ただしワールドカップがカタールで開催されることは、実は投票の直前からは、まことしやかに囁かれていたことではあった。

何でも賭けの対象にすることで有名なイギリスのブックメーカーの直前のオッズでは、カタールがダントツ人気の 1.5倍。
投票前から、半ば当確が出ていたことを匂わせている。

その情報は僕も事前に知ってはいたのだけれども、それでも「そんなアホな」という気持ちは拭い去れなかった。

なにせカタールは、人口わずか 140万人、面積も秋田県よりも小さい小国である。

ワールドカップの初代開催国であるウルグアイが当時にどれくらいの人口規模だったのかは分からないけれども、間違いなくカタールも史上最小クラスの開催国になるだろう。

確かにカタールは、石油と天然ガスで経済的には急成長を遂げている新興国だ。

そしてそのお金をサッカー界にも投資していて、国内リーグでカブリエル・バティストゥータ、マルセル・デサイー、フェルナンド・イエロ、シュテファン・エッフェンベルクなどの世界的名手がプレーしていたことも広く知られている。

ただし、だからと言ってカタールの国内リーグが AFCチャンピオンズリーグで優勝を争うほど強化されたということはない。

もともと人口が少ない国だけに、スター揃いの国内リーグも観客はまばら。
代表チームも力をつけて来ているとは言っても、チームの主力を成すのはアフリカや南米から帰化させた外国出身のプレイヤーである。

そんなカタールでワールドカップを開催したところで、将来のサッカー界の発展にどれだけ関係してくるのかは疑問な部分も多かった。
実際にカタールは、事前の FIFAの報告書でも評価は低かったのである。

しかし 2022年の開催国は、カタールに決まった。

これはあまり言いたくはないけれども、やはり「お金の力」によるところが大きいのだろう。

とは言ってもちょっと前に問題になっていた「賄賂」のような真っ黒なお金というわけではではない。

カタールは今回の招致活動に並行して、2014年のブラジル大会の資金援助を行っている。

また、カタール開催時に予想される灼熱の暑さに対しては、ソーラー発電とエアコンを完備したハイテクスタジアムの建設計画を打ち立てている。
さらに大会後にはいくつかのスタジアムを解体して、途上国に寄付する計画なんだそうだ。

ちなみにスタジアムはそのほとんどが今後新たに建設されるもので、カタール政府の全面的なバックアップのもと、総額 3,000億円を超える資金が投入されるらしい。

こういったサッカー界に寄与する部分にふんだんにお金をかけるカタールの経済力と、「中東エリア初」「アラブ初」という新規性、そしてカタールの国を挙げた本気度が、結果的に FIFA理事たちを動かしたのだろうか。

いずれにしても、ツンデレなワールドカップの女神は、最後にカタールに微笑んだ。

そしてカタール開催が決定した以上、2022年もこれまでの大会と同様、素晴らしいワールドカップになってくれることを願うばかりである。

時期尚早だった日本の惨敗

ところで 2022年大会には日本も立候補していたけれども、案の定というか、今回はあっさりと敗れた。

日本サッカー協会の小倉純二会長いわく、どこへ行っても「日本は最近やったばっかりジャン」と言われたそうだ。

まあそうだろう。

だって、日本人の僕でもそう思うもの。

2002年のあの熱狂を体験した人間としては、もちろんもう一度日本でワールドカップをやってほしいという希望は持っている。

ただし個人的には、ワールドカップはあくまでも世界のサッカー界全体にとってのお祭りであって、一部の国が独占的に開催するものではないとも思っている。

これまでワールドカップを複数回開催した国のうち、間隔が最も短いのは 1970年と 1986年に開催したメキシコである。

しかし 86年のメキシコ大会は、もともとコロンビアでの開催が決定していたところが、準備の遅れから開催不可能と判断されて、急遽「ピンチヒッター」として開催実績のあるメキシコに白羽の矢が立ったものである。

それ以外の例となると、ドイツ(西ドイツ)が 32年、イタリアが 56年、フランスが 60年、ブラジルが 64年の時を隔てて複数回開催を実現させている(ブラジルは予定)けれども、世界のサッカー大国ですら、それくらいのインターバルは求められているのだ。

そいういう意味ではわずか 20年間隔で2回目の開催にチャレンジした日本や韓国は、やはり無謀だと言わざるを得ないだろう。

それでも日本が立候補に踏み切ったのは、けっきょくところ協会の前会長・犬飼基昭氏の「一人相撲」に過ぎなかった。

世間的にも行政的にも機運が高まっていない中、得意の「豪腕」で見切り発車的にスタートした招致活動は、犬飼会長がその途中で失脚したことで完全に尻すぼみ状態に。

前回の日韓大会の招致活動にかけた資金が約 90億円、2016年のオリンピック開催に立候補した東京都のかけた資金が 150億円と言われている中、今回の招致活動資金はわずか 9億円だったというから、いかにサッカー協会的にも本気度が低かったかが伺えるというものだろう。

結果的に 9億の損失で済んだ、という見方もできるけれども、9億という大金を損失したとも考えられる。

正直言って勝算もなくやる気もないところに 9億も費やすのならば、それをトリニータやヴェルディにくれてやれよ、という気もしてしまった。

とりあえず、何にしても日本の単独開催の夢は散った。

ただしもちろん、これで全てが終わったわけではない。

また何年後になるかは分からないけれども、いつか必ず、また日本でのワールドカップ開催を実現させてほしいと思う。

そしていちサッカーファンとしては、ロシアとカタール、2つの初開催国でのワールドカップを、楽しみに待とうと思うのだった。

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