Karkar From New Guinea

『パプアニューギニア』と聞いた時、皆さんはどんなイメージを連想するだろうか。

青い海?白い雲?珊瑚礁とビーチと椰子の木?

あとは、昔『パプワ君』というマンガもあったっけ…。

何にしても、パプアニューギニアという国に対して抱くイメージに、「フットボール」という文字は出てこない。

それもそのはずで、パプアニューギニアの FIFAランキングは、世界中の国々の中で最下位タイの 203位。

オセアニアサッカー連盟に所属するこの南の国は、これまでおおよそ、フットボールの国際舞台とは無縁の存在だった。

そんなマニアックな国の、マニアックなチームが拝める機会。

それがクラブワールドカップである。

今大会で7回目の開催、第1回大会からはちょうど 10年という節目を迎えたこの大会は(ちなみに第1回大会のころの呼称は FIFAクラブ世界選手権)、言わずと知れた、世界ナンバーワンのクラブを決める祭典だ。

クラブ界の世界チャンピオンを決めるこの大会には、毎年 FCバルセロナやマンチェスター・ユナイテッド、インテル・ミラノなどのようなビッグクラブが姿を見せる。

しかしその反面、オセアニアやアフリカなどの、普段滅多に見る機会のないチームの活躍が拝めることも、このクラブワールドカップの隠れた醍醐味の一つになっている。

世界のフットボールシーンを代表する「スーパースター」たちと、普段は消防士だったり学校の先生だったり、単なるそのへんのオッサンだったりするような、純粋な「アマチュア選手」たちが一堂に会する舞台。

クラブワールドカップは、そんなヘンテコな大会でもある。

しかし僕はそんなクラブワールドカップが大好きで、毎年その開幕を心待ちにしていたりもするのである。

そして今年もいよいよ、クラブワールドカップのシーズンがやってきた。

未知のクラブ、ヘカリ・ユナイテッド

今年のクラブワールドカップ開幕戦は、開催国である UAEのリーグチャンピオン、アルワハダ・アブダビと、OFCチャンピオンズリーグ(オセアニア)チャンピオンの PRKヘカリ・ユナイテッドFCという顔合わせになった。

おそらく日本のコアなフットボールファンの中でも、この両チームについて詳しく知っている、という人はほとんど居ないだろう。

僕もそのうちの一人で、特にヘカリ・ユナイテッドについては、最近まで名前すら聞いたことがなかったくらいだ。

これまでクラブワールドカップのオセアニア枠は、はじめはオーストラリア、オーストラリアがアジアに転籍してからはニュージーランドのチームの独占状態。

ニュージーランド以外の国は小さな島国か発展途上国ばかりで、今後数年はニュージーランドの独り勝ちが続くのだろうと僕は思い込んでいた。

しかし今年、パプアニューギニアのチームがクラブワールドカップへの出場権を手にしたと知った時、僕は戸惑いと同時に、胸に熱いものを感じた。

なんせパプアニューギニアのフットボールに対するイメージが、(いい意味で)全く無いのである。

いったいどんなチームが出てくるんだろう???

いやが上にも、僕の好奇心は掻き立てられたのだ。

ちなみに僕の中でパプアニューギニアと言えば、これまでは前述したような「南の楽園」的なイメージしか無かった。

試しに Googleで「パプアニューギニア」と画像検索してみると…やっぱり出ました。
裸に腰ミノを巻いて、顔に派手なペイントをあしらった褐色の現地人たち。
みんな木製の槍なんか持っちゃって、いわゆる「コテコテのパプアニューギニア人」の写真のオンパレードである。
まあ僕に限らず、だいたいみんな同じようなイメージを持っているということなのだろう。

一般的にはそんな「未開の地」のイメージが強いパプアニューギニアのチームが、いったいどんなフットボールを見せるのか?

「ヘカリ・ユナイテッド」というチーム名は、名前からしてちょっとヘタレ感が漂っているけれども、実際はどうなのか??

そんな物好きなファンの興味に対する答えが、この試合でいよいよ、白日のもとにさらされたのである。

アルワハダに立ち向かったヘカリ・ユナイテッド

実際に目にしたヘカリ・ユナイテッドは、全くヘタレではなかった。

オセアニアは伝統的にラグビーが強い地域だけれども、その影響だろうか。

ヘカリ・ユナイテッドの選手たちは見るからに筋骨隆々で、ラガーマン体型の「走れるマッチョマン」ぞろい。

それでいて足元が下手かと言えば、決してそうでもない。

派手なフェイントなどは少ないけれども、彼らは僕が予想していた以上にしっかりした技術も持っていた。

そしてそのヘカリ・ユナイテッドは、前半途中までは、ホームのアルワハダとも互角の戦いを展開する。

体格を活かした激しい守備でボールを奪うと、2トップを中心にアルワハダのゴールに迫った。

ヘカリ・ユナイテッドの2トップは、193センチのポストマン、オセア・バカタレサウ(凄い苗字だ!)と、「元漁師(現在休業中)」、「フットボールを始めてまだ7年」、「なのに3年連続国内リーグ得点王」という、キャラが立ちすぎのエースストライカー、ケマ・ジャックのコンビ。

技術ではアルワハダに劣るものの、体格では勝るこの2トップは、時おりその破壊力の片鱗を見せつけては、アルワハダに冷や汗をかかせる場面もあった。

しかし 40分、アルワハダのウーゴ・エンリケにゴールを割られると、さすがにヘカリ・ユナイテッドの勢いもトーンダウンしてしまう。

4分後の 44分にはフェルナンド・バイアーノに追加点を奪われて 0-2。

後半に入った 71分には、交代出場のアブドゥルラヒーム・アルジュナイビにとどめの3点目を食らって力尽きた。

クラブワールドカップ、もうひとつの醍醐味

しかし敗れたとは言え、ヘカリ・ユナイテッドは予想以上の健闘を見せてくれた。

FIFAランキングで最下位の国のチームは、強いフィジカルと闘志で、キックオフから 40分間は UAEの金満プロ選手たちを苦しめ続けた。

彼らはもちろん「裸に腰ミノ」などではなく、カッコイイ白と黒のユニフォームに身を包み、自分たちのフットボールの魅力を存分に伝えてくれたように思う。

そして FIFAランキング最下位の国のチームが、決してヘタクソ集団ではなかったという事実は、僕にとっては大きな感動でもあった。

いまや完全なる「フットボール未開の地」などは、地球上にほとんど存在しないというわけである。

そんなフットボールの裾野の広大さが、こんなところからも垣間見れたように僕には感じられた。

こんな風に、広い広いフットボールの世界の、末端の息吹まで感じることができるから、クラブワールドカップは面白い。

本当は勝者のアルワハダにも、元東京ヴェルディのウーゴ・エンリケや元横浜マリノスのマグロン、2003年のワールドユースで MVPに輝いた UAEの英雄、イスマイル・マタルなど、日本でも名前の知られた選手たちが何人かいるのでそちらにスポットライトを当てたいところだったけれども、今回は僕の中ではヘカリ・ユナイテッドのインパクトが上回った。

まあ、アルワハダについては準々決勝にと言うことで…。

しかしヘカリ・ユナイテッドのようなチームを観れることこそ、クラブワールドカップの醍醐味の一つである。

その楽しさを、改めて実感した一戦だった。

なお余談ながら、「南海の楽園」のイメージが強いと書いたパプアニューギニアだけれども、調べてみたら南アフリカにも引けを取らないほどの犯罪大国で、日本の外務省からは 2010年11月現在、「渡航の是非を検討してください。」と警鐘を鳴らされているような国だったらしい。

日中であっても一人での徒歩での行動は危険極まりなくて、2009年には440人の凶悪犯が脱獄して、そのほとんどは未だに捕まっていなかったりするんだとか。

ああ、楽園のイメージが…。

何と言うか、そういうことも含めて、世界ってやっぱり広い。

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