杭州, 宋城
杭州, 宋城 / faungg

Jリーグ王者の初戦は、黒星のスタートだった。

いよいよ開幕した今シーズンの AFCチャンピオンズリーグ。

昨年の大会ではラウンド16までに全チームが敗退するという屈辱を味わった日本勢としては、必勝を期して臨む今シーズン。
しかしその立ち上がりで、早くも名古屋には暗雲が立ち込めている。

杭州緑城のジャイアント・キリング

悲劇の舞台となった都市・杭州は中国東部、東シナ海に面する浙江省の省都で、約800万人の人口を誇る大都市だ。

ここを拠点とするプロフットボールチーム・杭州緑城は、5年前までは中国国内で2部リーグに相当する甲級リーグに所属していた、いわゆる新興チームである。
昨シーズンは超級(1部)4位となって、この AFCチャンピオンズリーグへの出場を決めた。

スタジアムのムードは、日本チームが中国で戦うときにはお約束となった「完全アウェー」の雰囲気だったけれども、杭州緑城は実力的に名古屋を脅かすほどの存在ではない、というのが、僕を含む日本人ファンの大方の予想だっただろう。

しかし、その予測は見事に裏切られてしまう。

確かに技術的には、名古屋のほうが1枚も2枚も上手ではあった。

特に玉田圭司や新加入の藤本淳吾のテクニックはこのレベルでは際立っていて、名古屋はその高いスキルを活かして中盤を制圧する。

ところがゴール前を固める杭州緑城は、中盤でこそある程度自由にボールを持たせてくれるものの、いざバイタルエリアに入ってくる外敵には猛烈なプレッシャーをかけてきた。

結果、名古屋はポゼッションはするけれどもフィニッシュまで持ち込めないという、「よくあるジレンマ」に陥ってしまうのである。

さらに杭州緑城がやっかいだったのは、そこからの攻撃力に長けていたことだ。

杭州はボールを持つと、技術的に不利になる中盤での攻防を避けて、長いボールを早めに両サイドに預けては、そこから起点をつくる作戦に出る。
単純極まりない戦略ではあったけれども、結果的にこれが功を奏した。

ちなみに名古屋はJリーグでは1・2を争う大型なチームだ。

194センチのジョシュア・ケネディをはじめ、191センチの増川隆洋、185センチの田中マルクス闘莉王と、リーグ屈指のエアバトラーを複数揃えている。

しかし杭州緑城の空中戦の強さは驚くことに、その名古屋の上を行くものだった。

ディフェンスラインには 180〜190センチ台の選手たちを揃えてケネディの高さを封じたかと思うと、アタックではサイドからのクロスを再三、191センチの元ホンジュラス代表センターフォワード、ルイス・ラミレスに合わせてくる。

そしてこのサイドアタックとセットプレーから生まれる空中戦で、名古屋は何度となく決定的チャンスをつくられてしまったのだ。

それでも GK楢崎正剛のファインセーブもあって、前半は何とか失点を免れた名古屋だったけれども、後半に入った 60分、サイドアタックからのクロスをラミレスに押し込まれてついに失点。

続いて 86分には、再びサイドの位置から見事なミドルシュートを叩き込まれて2点目を失ってしまう。

その後の反撃も虚しく、名古屋にとっては手痛い黒星スタートとなってしまったのである。

そびえ立つアジアの高峰

今年の AFCチャンピオンズリーグには、日本から4チームが参加している。
そのうちガンバ・セレッソの大阪勢は見事に白星発進に成功。

しかし名古屋は敗れ、鹿島アントラーズも初戦は引き分けに終わった。

そして名古屋と鹿島に共通していたのは、対戦相手がいずれも中国のチームだったことである。

今年の AFCアジアカップで中国代表は、ウズベキスタン、カタールの後塵を拝してグループリーグで敗退している。

13億人の人口を抱えながら、これまで中国代表が残した主な戦績と言えば、2002年のワールドカップに出場したことくらい。
そのワールドカップも、2010年大会はアジアの最終予選にも至らない段階で敗退するという体たらくで、近年は長い低迷が続いている。

ただし、昨年から今年にかけての ACLでの戦いぶりを見る限りでは、代表での弱小っぷりは必ずしもクラブチームには当てはまらなそうだ。

中国は昔から、韓国以上にフィジカル重視(技術軽視)、かつ少数精鋭のエリート指向のサッカーを押し進めていたけれども、そのマイナス面が影響して、国際舞台では良い成績を挙げられないと言われてきた。

しかし、クラブチームであればそのウィークポイントは、外国人選手で埋めることができる。

名古屋と戦った杭州緑城も、屈強な中国人選手たちでディフェンスを固めつつ、攻撃の際に足りないスキルは、ラミレスとウルグアイ人のマティアス・マシエロ、セバスチャン・バスケスたちの外国人選手が補っていた。
さらにはアジア枠でオーストラリア人のアダム・グリフィスも起用していて、外国人選手枠をフルに活用していたのが印象的だ。

経済成長を続ける中国には、年々優秀な外国人選手たちが流入してきている。

今後もしばらくはこの傾向は続くだろうし、いずれは中東のように本物のビッグネームが加入するかもしれない。
いずれにしても、日本勢にとって中国のクラブは、さらに難しい相手になってくる可能性が高い。

今や中国のチームと言えどもアウトサイダーではない。

そこに加えて、さらに力をつけてきた韓国勢、オーストラリア勢、中東勢のライバルたちが立ちはだかる。

日本勢の3年ぶりのアジア制覇という夢の前には、今後も険しい高峰がそびえ立っていそうだ。

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