暖かい春の陽光に包まれたスタジアム。
広島ビッグアーチには、「開幕」にふさわしい華やいだ空気が漂っていた。
ちなみに広島にはあちらに嫁いだ姉が住んでいるのだけれども、震災に関しては「こっちには(今のところ)ほとんど影響ないねー。」だそうで、その辺は大阪と変わりない。
前日の国立競技場の閑散とした光景を観た直後だけに、何だか平和だった時代まで巻き戻されたVTRを観ているかのような、錯覚すら覚える景色だった。
ガンバを圧倒したサンフレッチェ広島
最終スコアは 4-1。
3点差というスコアだけでなく試合内容も、前日の鹿島 x 横浜M戦とかなり似通ったものだったと言っていい。
技術に優るガンバ大阪がポゼッションでは優位に立つものの、実際に主導権を握ったのはサンフレッチェ広島。
高い位置からの激しいプレスと、そこからの鋭い速攻で、ガンバの急所を牽制し続けた。
そして先制点が生まれた時間帯も、ほぼ同じ。
前日のマリノスは開始3分で先制点を奪ったけれども、この日のサンフレッチェのファーストゴールはさらに早い、前半わずか 27秒。
右サイドからの展開から李忠成が決めて、まずは 1-0とサンフレッチェがリードする。
続いて 11分には、ゴール前正面のフリーキックを森崎浩司が沈めて 2-0。
36分にはロングフィードに抜けだしたミキッチが冷静なゴールゲットで 3-0。
後半に入っても 77分、佐藤寿人のゴール右隅を突いたシュートで 4-0とガンバを圧倒した。
ガンバは 87分、ルーキー川西翔太のプロ初ゴールで一矢を報いるのがやっと。
ゲーム内容でも圧倒したサンフレッチェが、スコア通りの完勝劇を見せた一戦だった。
サンフレッチェの迎えた「理想的な開幕戦」
これだけの大差がついた理由としては、まずはサンフレッチェの出来が素晴らしかったことは間違いない。
そしてガンバが前日のアントラーズと同じく、ACLの疲れから普段の動きができていなかった部分もあっただろう。
しかしそれ以上に僕は、ガンバ大阪に一種の「倦怠感」を感じるのだ。
ガンバ大阪を西野朗監督が率いるようになってから、とうとう今年で 10年目のシーズンを迎える。
西野監督はガンバの現在の地位を築いた最大の功労者だというのは間違いないところだけれども、長期政権にはどうしても「マンネリズム」という弊害がついてまわる。
バルセロナのグアルディオラ監督が言うように、「次第に選手も飽きるし、監督も飽きる」のがチームというものだ。
とは言ってもマンチェスター・ユナイテッドのアレックス・ファーガソン監督のような例もあるので、個人的には長期政権そのものには必ずしも反対ではない。
それでもガンバの場合は監督も長ければ、主力選手たちもベテランが多い。
チームとしての鮮度を保つためには、多少のリスクを背負ってでも、そろそろ宇佐美貴史などの次世代の選手たちに主力層をシフトさせていく時期なのかもしれない。
逆にサンフレッチェはこの日、文句のつけようのない出来だった。
スタンドの雰囲気も含めて、理想的なホームの開幕を飾ったのではないだろうか。
僕は昨日の記事で、 “これから待ち受けるかもしれない「日本サッカー界の受難の時代」〜” と何とも不穏当なことを書いてしまったのだけれども、もちろんそんな予想は外れてくれることに越したことはない。
そしてこの日のゲームを観る限り、日本サッカーが再び立ち上がるキーの一つは、やはり “西日本” にあるのではないか、と強く感じたのである。
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