内田篤人、「想定外」から「想定内」へ/UEFAチャンピオンズリーグ@シャルケ04 0-2 マンチェスター・ユナイテッド

England vs Portugal, GelsenkirchenEngland vs Portugal, Gelsenkirchen / katielips

『このような事態は “想定外” でありまして…。』

今年の「裏・流行語大賞」というものがあったとしたら、間違いなくノミネートされそうなフレーズ「想定外」。
なんとも便利な言葉だけれども、学者や専門家と呼ばれる人たちがこれを使ってしまうのはちょっとタチが悪い。

ちなみにこのフレーズを使ってチャンピオンズリーグのこの一戦を形容するのであれば、さしずめ「想定内」の試合だったと言えるだろう。

マンチェスター・ユナイテッドが、シャルケ04とのアウェーゲームで 2-0の快勝劇。

そもそもシャルケがベスト4にまで残ったこと自体が「想定外」だったわけだけれども、そんな「想定外」のチャレンジャーが、イングランドの強豪に「想定内」の敗北を喫する。

「想定外」の「想定内」は「想定内」で、これで、いいのだーーー!!

…と想定外の脱線をしてしまったところで、それでもとりあえずこの試合、シャルケは健闘をしたと思う。
少なくとも67分間は、圧倒的に押し込まれながらもマンUの猛攻をしのぎ続けた。

シャルケがここまで耐えられたのは、守護神マヌエル・ノイアーのスーパーセーブによるところが大きい。

来季には移籍が決定しているノイアー。
しかし、移籍先まではまだ決定していない。
その候補の一つとしてマンチェスター・ユナイテッドの名前も浮上していたけれども、この日の活躍でそれも現実味を帯びてきたのではないだろうか。

ただシャルケにとって不運だったのは、クリストフ・メッツェルダーと並んでセンターバックの不動のレギュラーだった、ベネディクト・ヘーヴェデスを欠いていたことだろう。

結果的にはそのヘーヴェデスが守っていた中央を2度に渡って突破され、そこから致命的な2点を失ってしまうことになる。

1点目はウェイン・ルーニーのスルーパスからライアン・ギグス。
2点目はハビエル・エルナンデスのパスからウェイン・ルーニー。

この2発のアウェーゴールで、シャルケの決勝進出の夢は、大部分絶たれてしまったと言ってよかった。

内田篤人、「想定外」から「想定内」へ

このように、勝負の大勢がほぼ決まってしまった準決勝 1stレグ。

しかし僕は、それでも 2ndレグに見所はまだあると考えている。
勝負とはまた違った意味での、この試合に対する個人的な「裏コンセプト」があるからだ。

それはこの 1stレグで、日本人として初めてUEFAチャンピオンズリーグ準決勝の舞台に立った、内田篤人の活躍に他ならない。

そして、内田が将来ビッグクラブ入り…あわよくばマンチェスター・ユナイテッドに加入するための布石として、次の試合が重要な意味を持っていると思うのだ。

もし1年前にこんなことを書こうものなら、一笑に付されていたに違いない。

しかし、長友佑都のインテル加入が実現した今では、内田のマンU入りは必ずしも夢物語ではないだろう。
しかも内田は、その長友を破ってチャンピオンズリーグ準決勝の舞台でプレーしているのだ。

もともとマンチェスター・ユナイテッドはガリー・ネヴィルの後継者をいまだに見つけられていない。
マンUにとって右サイドバックは GKと並ぶアキレス腱と言ってもいいポジションだ。
そしてパク・チソンの活躍を間近で見ているアレックス・ファーガソン監督は、アジア人選手の有効性を熟知していることも大きい。

そう考えれば、内田篤人に白羽の矢が立つ可能性も決してゼロではないのでは…と妄想してしまう自分がいる。

仮にマンU入りが高嶺の花だとしても、この欧州4強の試合に世界中のスカウトたちからの熱視線が注がれていることは間違いない。
そして幸いにも内田篤人は、「スピード」そして「若さ」という、数字で測れる明確な特長を持っている。
次戦の活躍次第では、内田の商品価値も大きく跳ね上がる可能性もあるだろう。

昨年までは「想定外」だった色々なものが「想定内」となった今、内田にどんなサクセスストーリーが訪れようとも不思議ではない。

昨年7月のシャルケ加入以降、内田篤人が駆け抜けてきた激動の1シーズン。

次の 2ndレグは、内田にとってその集大成となるはずだ。

[ 関連エントリー ]

トップページへ戻る