「クアトロ・クラシコ」の綴るプロローグ/UEFAチャンピオンズリーグ@FCバルセロナ 1-1 レアル・マドリード

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「逆転はミッション・インポッシブル(不可能なミッション)だ。」

世界広しと言えども、レアル・マドリードから勝利を半ば諦める発言を引き出せるチームは FCバルセロナしかいないだろう。

ホームでの 1stレグを 0-2で落としたのも去ることながら、ディフェンスの要のぺぺ、セルヒオ・ラモスを出場停止で欠き、さらにジョゼ・モウリーニョ監督もベンチ入りを禁じられたこの試合。
そして相手は世界最強の誉れ高い FCバルセロナ。

これだけ不利な条件が揃えば、世界最高クラスの負けず嫌いであるモウリーニョも、戦前に敗北宣言をせざるを得なかった。

勝負を分けた「幻のゴール」

それでもレアルに逆転のチャンスが無かったわけではない。

前半開始早々、ゴンサロ・イグアインのシュートがバルセロナのゴールネットを揺らす。
これはしかし、直前のクリスティアーノ・ロナルドのプレーが反則とみなされて幻のゴールと化した。
認められていれば1点差となっていただけに、レアルサイドから試合後に審判批判が飛び出したのは当然の成り行きだった。

しかし、もちろん判定は覆らない。

フットボールにおいては、極論をすればジャッジの「ゆれ」もプレーの一部であり、全てのチームがそれによって恩恵を受けることもあれば、不利益をこうむることもある。

前半を集中したディフェンスでしのいでいたレアルはこのゴール取り消しの後、54分にペドロ・ロドリゲスの一撃で通算 0-3とリードを広げられた。
それだけに「幻のゴール」の影響は大きかったけれども、それでも審判のジャッジや幸運を味方につけることも勝利者のひとつの条件だ。

今回、レアルにはそれが足りず、バルサにはそれがあった。

そしてバルサ攻略の必須条件となる「ロースコアゲームに持ち込むこと」を実現されられなかった時点で、やはりこの敗北は、レアルの戦略的敗北だったと言えるのではないだろうか。

「クアトロ・クラシコ」の綴るプロローグ

この春の「エル・クラシコ」4連戦は、スペイン国内では「クアトロ・クラシコ(4つのクラシコ)」と呼ばれた。
その戦績は、FCバルセロナとレアル・マドリードがともに1勝1敗2分けという5分で幕を閉じる。

それでもスカパーでこの試合の解説を務めていた金子達仁氏は、「戦績は5分だったけども、5分の力がある両チームという印象ではなかった」とこの4連戦を総括した。

確かにこの試合のボールポゼッションは、バルサ 64%に対してレアル 36%。
シュート数は 11対3。
そのうち、オンターゲットは 6本対 1本。

通算戦績は5分でも、バルサはまだ充分な余力を残しているように感じられた。

ただしそれでも、これがモウリーニョとレアルの完全な敗北を意味するわけではない。
モウリーニョは自身が語るように、就任2年目に最も結果を残すタイプの監督だ。
来季はより強力なチームを創り上げて、バルセロナの前に立ちはだかるだろう。

明暗を分けたクアトロ・クラシコ。

しかしこれも、まだ壮大な物語の序章(プロローグ)に過ぎないのかもしれない。

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