Matsushima, Sendai
Matsushima, Sendai / shibuya246

先日のゴールデンウィークを利用して、会社の先輩が岩手県までボランティア活動をしに行ったそうだ。
ボランティア登録をした上で仲間内で海岸沿いの街を訪ね、避難所で炊き出しをしたり瓦礫の処理を手伝ったとの事だった。

被災地の様子を尋ねたところ、
「う〜ん、自分は戦争体験者じゃないけど、なんか本当、戦場にいるような感じだったね…。」

2ヶ月経って震災の報道は減りつつあるけれども、復興への道のりはまだまだ長いようである。

ベガルタ仙台は現在のJ1の中で、間違いなく最も震災の影響を受けたチームだろう。
本拠地のユアテックスタジアムやクラブ事務所の一部が損壊し、原発事故の影響で新戦力のマルキーニョスが退団。
開幕を迎えるにあたって、ベガルタに明るい話題と言えるようなものはほとんど無かったと言ってもいい。

実力伯仲の上位対決

前節まで7試合を消化した時点で2位と3位。

Jリーグ再開前に、この両チームがこの順位で対戦することを予想した人は、かなり少数派だったのではないだろうか。

震災のダメージが大きいベガルタ仙台と、昨シーズン終盤の主力選手の大量解雇騒動でサポーターからの怒りを買った横浜マリノス。
どちらもネガティブな要素が多く、「中位から下位に低迷」という予想が多かったチーム同士。
しかしこの両チームがいま、想定外の快進撃を見せている。

試合は序盤、ほぼ互角の立ち上がりを見せた。

両チームの好調の要因は、今シーズンこれまでの戦いぶりを観れば明らかだった。

ベガルタは震災という逆境をパワーに変えて、昨年以上に集中力の高いプレーを見せている。
対するマリノスは中盤やバックラインに体を張れる「ファイター」タイプの選手が増えたことで、より攻守にアグレッシブなチームへと生まれ変わっていた。

そしてこの試合でも、両チームは序盤から激しいぶつかり合いを展開する。

そんな中、まず先手を取ったのはベガルタ仙台。
20分、左サイドの朴柱成からのファーサイドへのクロスを、右サイドをオーバーラップした菅井直樹が折り返す。
このボールを赤嶺真吾が頭で押し込んで、ホームのベガルタがまず 1-0とリードに成功した。

サイドバックからのクロスを逆サイドのサイドバックがダイレクトで折り返すというダイナミックなプレー。
このワンプレーからも、今季のベガルタのチーム一丸となったプレースタイルが伺える。

この日のベガルタは、特に日本代表の関口訓充のプレーが光った。
攻撃面で何度もフィニッシュに絡むプレーを見せたかと思えば、精力的な動きでディフェンスにも貢献する。

そしてこの関口に象徴されるように、全員が「サボらない」プレーを見せていることが、今季のベガルタの快進撃を支えているように思う。

対するマリノスも、今シーズンは前節までにリーグトップの 16得点の攻撃力を誇るほどに攻撃力が開花。
しかしこの試合ではボールこそキープするものの、ベガルタの集中力の高いディフェンスをなかなか崩すことができないでいた。

しかしそんな流れに変化が見えたのは、後半のマリノスの選手交代からである。

62分、木村和司監督は渡辺千真に代わって、本来はディフェンダー登録のキム・クナンをフォワードとして投入する。
そしてこの 193cmのターゲットマンが入ったことで、マリノスの攻撃に軸が生まれた。
キム・クナンがポストプレーヤー、あるいはオトリとして機能するようになったことでベガルタのディフェンスに僅かな綻びが生じ、マリノスはより高い位置でのボール回しができるようになってくる。

そしてその効果は、交代後間もない 69分に現れた。

ベガルタゴール前、高い位置でのパス回しから、右サイドに流れたマリノスの攻撃の要・中村俊輔が右足でのクロスを上げる。

「思わず見とれてしまった。」

敵将の仙台・手倉森誠監督もこう表現したほどの見事なクロス。
これが今季新加入の谷口博之の頭にドンピシャで合って、ベガルタのゴールを割った。

これでスコアは 1-1。
攻め続けたマリノスが、とうとうベガルタの堅陣を崩した瞬間だった。

その後は両チームとも、追加点を狙ってゴールを目指す展開となる。
ただしそこは好調のチーム同士の対決、両軍のディフェンス陣はなかなか隙を見せない。

けっきょく試合はこのまま終了し、1-1のドロー。
両チームの順位は変わらず、引き続き首位の柏レイソルを追う展開が続くこととなったのである。

「逆境」から生まれる『みちのく魂』。

ホームで一度は勝利に近づきながら、結果的に勝ち点2を失ったベガルタ仙台。

現在のベガルタは非常にモチベーションが高く、チームが一つになっている印象を受ける。
特にディフェンス面での充実ぶりは見事で、それが開幕から8戦無敗という現在の成績に繋がっているのだろう。

しかし反面、選手層の薄さは不安材料のひとつだ。
特に、今季大きな期待をかけられていたツートップ候補、マルキーニョスと柳沢敦が、それぞれ退団と怪我によって戦線離脱した影響は大きい。
この日も同点に追いつかれてからのベガルタには攻撃のオプションが乏しく、それが大きなウィークポイントになっているとも感じられた。

しかし「震災からの復興」という大きな使命を背負った今季のベガルタ仙台は、簡単にそのモチベーションが下がるようなことはないだろう。

まだ先の見えない復興への道のり。

それでもこの逆境は同時に、ベガルタ仙台の「みちのく魂」を引き出すための、大きな力となり続けるのではないだろうか。

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