「韓国は強いのか?」それとも「弱いのか?」

男子サッカーを昔から観ているファンであれば、おそらく「強い」と答える人が多いのではないだろうか。
少なくとも「弱い」という表現は、かなり強気な人でなければ、なかなか口には出しにくい。

それくらい、男子サッカーにおける韓国は日本にとって脅威の存在だった。
日本が韓国に対して互角に渡り合えるようになったのは、Jリーグが出来て以降の90年代に入ってからのことである。

しかし女子サッカーにおいては、少し前までの韓国は「弱かった」。

日本女子代表がワールドカップ通算6回、オリンピック3回の出場を誇るのに対して、韓国女子代表はこれまでワールドカップ出場はわずか1回、オリンピックに至っては出場ゼロ。
しかも、世界大会の舞台では未だに1勝も挙げたことがないのだ。

現役世界チャンピオンの日本=なでしこジャパンと比べれば、その実績の差は歴然だった。

しかしそんな韓国も、近年では女子の強化に本格的に着手をし始める。
まず若い世代の大会で、その成果は顕著に現れた。

昨年2010年に行われたU-20女子ワールドカップで韓国は、世界3位という好成績を収める。
さらに続くU-17女子ワールドカップでは決勝で日本を破って、同国史上初の世界一に輝いたことは記憶に新しい。

そしてその若い世代の台頭によって、韓国の女子サッカーは変貌を遂げつつあった。

日本の迎えた「理想の立ち上がり」

来年のロンドン・オリンピック出場をかけたアジア最終予選の第2戦、韓国戦。

この試合で日本の佐々木則夫監督は、ワールドカップ決勝を戦ったのと全く同じスタメンを投入してきた。
つまり、完全なベストメンバーということである。

11日間で5試合を戦うという超・強行スケジュールだけに、緒戦のタイ戦と同じように若干メンバーを落としてくることも予想されたこの試合だったけれども、佐々木監督は韓国を「格下」だとは見ていなかったことになる。

実際、ワールドカップ直前の壮行試合で同じ韓国と対戦した時には、豪雨という悪コンディションの中の試合とは言え、日本は苦戦の末に1-1で引き分けていた。

この直近の戦績を見ても、韓国を警戒することは、それなりに理にかなった判断だったと言えるだろう。

ただしこの試合の序盤は、世界王者の日本がその貫禄を見せつけ、韓国を圧倒する形でスタートする。

速いプレスで圧力をかけ、小気味良いパスワークで韓国を翻弄する日本。

そして宮間あやのコーナーキックから阪口夢穂のヘッドで先制点を挙げたのは、前半もわずか10分の出来事だった。

日本はやっぱり強い。
これは大勝もあり得るか ーー。

そんな楽勝ムードも漂い始めた立ち上がりの時間帯。

しかしなでしこジャパンの運命は、まるでゲリラ雷雨に見舞われたかのように、ここから急激な暗転を見せてしまうのである。

暗転した命運

味方からのパスを受けようとした熊谷紗希が足を滑らせ、そこからインターセプトをされてカウンターを食らい、失点。

とは言っても熊谷のミスは、スリッピーだったグラウンドの状態が影響していたこと。
韓国の得点はINAC神戸所属の若きエース、チ・ソヨンによる、コースを突いた見事なミドルシュートだったこと。

これらを合わせて考えれば、この失点にはやむを得ない部分もあった。
しかし日本にとって一番痛かったのは、この失点で韓国を「乗せて」しまったことである。

徐々に日本の「世界基準のプレー」に慣れつつあった韓国は、同点に追いついたことでさらにその勢いを増してきた。

パスワークにもリズムが生まれ、徐々に日本から主導権を握り返していく韓国。

しかし日本は、韓国にはまだない「勝者のメンタリティ」を持っていた。

前半ロスタイム、安藤梢の左サイドからのスローインを、澤穂希が持ち込んでクロス。
これをゴール前で受けた川澄奈穂美が体を張ったキープで繋ぎ、最後は大野忍が冷静に蹴り込んでゴールゲット。
これで日本が、再び勝ち越しに成功する。

そして結果的に、このゴールが日本の運命を左右する、”虎の子の1点” となったのである。

日本が手にした「最大の成果」

後半の日本は、前半の立ち上がりとはまるで別のチームのようだった。

韓国の激しいプレスに中盤を制圧され、そこからチ・ソヨンを中心としたチャンスメイクで幾度と無く危ないシーンを作られる日本。

逆に日本の中盤は運動量が低下して、どこか動きも重い。
プレスがかからず、ミスも増え、韓国に対して完全に後手に回る格好となってしまう。

試合後、澤穂希はこのように歯車が噛み合わなくなった原因を「バランス」と表現したけれど、その裏には、緒戦のタイ戦からスタメンを7人入れ替えたことによる「試合勘の不足」が影響していたのかもしれない。
実質、日本の多くの選手にとっては、これが大会の最初の試合という位置付けだった。

また、試合が進むに連れて調子を落としていったことは、ワールドカップ以降休みなくフル稼働してきた代表選手たちのスタミナの問題が露呈したとも考えられる。

ただそれでも、日本は「勝った」。

課題が山積みのゲームではあったけれども、とにかく勝ったことは大きい。

終盤には世界王者のプライドを捨てて、時間稼ぎのボールキープも見せた日本。
しかしそれが実り、日本はこのオリンピック予選で最も優先される「勝ち点」をゲットしたのである。

最近の試合を見る限り、韓国は近い将来、日本にとって新しい脅威となるだろう。

それでもこの試合で日本が挙げた勝利の価値は、計り知れないほど大きい。

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