気がつけばいま、ちまたでは『完全アウェー』という言葉が定着しつつある。

『このまえ取引先にプレゼンしに行ったらさあ、向こうは重役クラスが5人も出てきて【完全アウェー】状態だったよ。(30代男性・営業職)』

『A子に誘われて合コンに顔出したんだけどぉ、そのA子が仕事で来れなくなっちゃって、【完全アウェー】でまいっちゃった。(20代女性・OL)』

『忘年会でパンツ一丁になってから、女子社員たちから【完全アウェー】の扱いを受けてまして…。(40代男性・中間管理職)』

『お父さんはいつも、家の中では【完全アウェー】だね。(10代女性・両親と娘3人の5人家族の長女)』

このように日常生活でも当たり前のように使われるようになった『完全アウェー』という言葉。

ちなみに僕が最近体験した『完全アウェー』は、”友人の結婚式に呼ばれて行ったら、知人が他に誰も参加していなかった”、というものだったけど、ご祝儀を払いつつも完全アウェーに放り出されるというのは、なかなか得難い体験でもあった。

単に「アウェー」と言った場合と「完全アウェー」と言う場合、その境界線の定義はハッキリしていない。
ただ、「完全」が付くことで言葉のインパクトは格段に増す。

例えるなら「小結と横綱」、「日本猿とゴリラ」、「サイヤ人とスーパーサイヤ人」、「巨乳と爆乳」くらいの違いはあるだろうか。
イマイチよく分からないが、とにかく「とんでもなくアウェー感のある状態」、それが『完全アウェー』と言われる状態だと言えそうだ。

そして日本にとって、歴史的・政治的にも深い因縁を持つ北朝鮮とのピョンヤンでの対戦は、まさに『完全アウェー』と言える、過酷極まりないものとなった。

『完全アウェー』の洗礼

「祗園精舎の鐘の声、 諸行無常の響きあり…」

で始まる平家物語が綴られたのは、今からおよそ700年ほど前だと言われている。
その頃からすでに「諸行無常」、つまり「物事は永遠には続かないよ」と日本では考えられてきたわけだ。

だからザック・ジャパンの不敗神話が16で途切れたことも、いつかは受け入れるべき運命だったと考えるしかないだろう。

そもそも日本はすでにワールドカップの最終予選進出を決めていたし、消化試合となったこの試合では若手を試す布陣で臨んだわけだから、ザックが「勝利」以上に「テスト」を重視していたことは明白だった。

そうして乗り込んだピョンヤンでの一戦。
50,000人収容と言われる金日成スタジアムは、超満員の観衆で埋め尽くされる。
そのうち、日本から駆けつけたサポーターはわずかに150人。

残る50,000人近い観客を、北朝鮮は国内全土から集結させていた。

徹底的に統制された応援。
さらに『君が代』をかき消すほどの、怒号のような巨大ブーイングが場内を覆い尽くす。
そこが『完全アウェー』の場であることは、誰の目にも明らかだった。

そしてその異様な雰囲気に、若き日本代表選手たちは、次第に飲み込まれていってしまう。

一軍半のメンバーを起用した消化試合だけに、この敗戦をして両チームの実力を量ることには無理がある。
しかし、いくつか散見された課題があったことも確かだ。

僕個人的には、大きく3つの問題点が目についた。

1つ目は、北朝鮮の右サイドバック、リ・グァンヒョクを中心に、あまりにもいいようにやられてしまった左サイドのディフェンス。

そして2つ目は、中盤からの構成力の低さ。
特にロングパスの精度の低さ。

この2つが攻守それぞれのボトルネックとなり、この敗戦の要因になったのではないかと僕は感じた。
そしてそれは言い換えれば、遠藤保仁、長友佑都、内田篤人などのレギュラーメンバー不在の穴を、サブの選手が埋め切れなかったことを意味する。

つい最近までは、本田圭佑が不在の時のトップ下のポジションも、日本の抱える大きな課題の一つだった。

タジキスタン戦で中村憲剛が輝いたことでその穴は埋まったけれど、31歳の憲剛が3年後のワールドカップまで計算できるかどうかは微妙でもある。

これらの各ポジションの層の薄さが、今後のザック・ジャパンの重要な課題になってくるだろう。

そしてこの試合で気になった3つ目のポイントが、ザックが終盤に仕掛けた3-4-3へのシステム変更である。

今年の春から、ほぼ1シーズンを通じてトライし続けてきた3-4-3システム。
しかしこれは今のところ、ほとんど機能したことがない。
その3-4-3をザックは「公式戦」の「リードされている場面」で初めて試したわけだけれども、結果は芳しくなかった。

ほとんど何の変化も与えられないまま、日本は3-4-3の布陣とともにピョンヤンの地に沈んだのである。

もちろん1軍半での試合でもあったし、ザックがこれまで築き上げてきた日本での実績を考えれば、この1試合だけで協会や選手、ファンとの信頼関係が揺らぐことは考えられない。

ただし、この3-4-3に対するこだわりが、いずれザッケローニ自身の首を締めることに繋がりはしないだろうか。

直近の結果だけに一喜一憂するのは浅はかだけれども、今後ももし結果が伴わないようであれば、3-4-3がザック・ジャパンの抱える「爆弾」になり得ることも、僕たちは想定しておかなければいけないのかもしれない。

ただ、そんな敗戦劇の中でも得たものはあるはずだ。

空港で4時間も足止めを喰らい、ホテルでも監視の目にさらされ、スタジアムで大ブーイングを浴びた『完全アウェー』の戦い。

選手たちが「これ以上のアウェーは無い」と口を揃えたこの遠征での経験が、今後日本が迎えるであろうタフな戦いの場面で、きっと活きてくるように僕は思った。

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