崖っぷちに立たされていたはずの若武者たちは、気がつけば「世界への扉」に手をかけていた。

しかも、その運命が逆転するのにかかった時間は、ほんの数時間 ーーー。

クアラルンプールに乗り込んだU-23日本代表はアウェーの地で、U-23マレーシア代表を4-0で一蹴する。

しかしこれは、ある程度「想定内」のスコアだった。

むしろ大量得点が必要だった日本としては、最低限のノルマを達成した形だったと言ってもいい。

サプライズだったのはむしろ、グループCのもう一試合のほうである。

アンマンで日本を相手にあれほどのタフさを見せつけたシリアが、バーレーンにあっさりと破れて首位から陥落。
中東の国同士は日本人が想像する以上にライバル意識が強いとは聞いていたけれど、駆け引きも駆使した乱戦をバーレーンが制し、結果、日本はグループ首位に返り咲く。

残るホームでの最終戦でよほどの大敗でも喫さない限り、日本のオリンピック出場はほぼ決まったと言えるだろう。

U-23に求められる進化とは

この世代は2大会連続でU-19アジア選手権で敗れ、1人としてU-20ワールドカップを経験していない世代である。
その意味でも、オリンピック出場は「絶対に失敗してはいけないミッション」だった。

まだ予選が終わったわけではないけれど、本大会出場を半ば決定的にした選手たちと関塚隆監督の功績は、一定の評価を与えられて然るべきだろう。

ただし、この先のことを考えると気になる部分もある。

日本は半年後の本大会で、どこを目指して戦うのだろうか?

もちろん、出る以上は「優勝」ということになるのだろう。
しかし現実的にはアジア予選の、しかも比較的楽だと見られていたグループCで苦戦した、現メンバーのままで本大会を戦ったとしても、メダルに手が届く可能性は低いのではないだろうか。

特にボランチの層の薄さは深刻で、ここから「生きたボール」が出ないことが、シリア戦の大きな敗因の一つにもなっていた。
このマレーシア戦では山口蛍と扇原貴宏のコンビがうまくバランスを取って機能していたけれども、扇原が退いた後半20分過ぎからは攻撃が停滞し、その後は無得点に終わっている。

このチームが世界で互角以上に戦うには、そのボランチのポジションを筆頭に、全体的な底上げが求められてくるだろう。

反面、海外組に目を向けると、U-23の選手だけでも香川真司、宮市亮、宇佐美貴史、指宿洋史、大津祐樹、酒井高徳、高木善朗など錚々たる名前が並ぶ。

またU-23を飛ばしてA代表に選出された柴崎岳、久保裕也、磯村亮太、さらにはオーバーエイジ枠も加えた場合、面子だけを見れば「史上最強」とも言えるだけのメンバーを揃えられるポテンシャルを、この世代は秘めている。

前述のボランチのポジションでも、柴崎や小島秀仁、茨田陽生など、あまりU-23で試されていない選手たちがまだ控えているのが現状だ。

もちろん、チームは足し算で考えられるほど単純なものではないので、上に挙げた選手たちを全て招集したとしたら、おそらくチームが崩壊してしまうだろう。

つまり適材適所での補強が必要になってくるわけだけれども、今後このチームにどんな選手を加えていくかによって、関塚監督と協会の、オリンピックに対する考え方が分かってくるはずだ。

日本はベストメンバーで「メダル」を獲りに行くのか、それとも「育成」を重視するのか。

3戦全敗に終わった北京五輪のチームから本田圭佑や長友佑都が育ったことを考えれば、現有メンバーを主体に経験を積みに行くのも無駄ではないかもしれない。
しかしあくまで個人的な希望だけれども、最強メンバーで世界とどこまで戦えるのか、を見てみたいという期待もある。

いずれにしても参加をする以上は、「勝利」を目指して戦わなければ本当の意味での経験も積めないはずで、首脳陣には「勝つためのメンバーづくり」が求められてくるだろう。

予選はまだ終わってはいないけど、本戦まで残された時間も長くはない。

出場権をほぼ手中に収めたいま、本大会を視野に入れた戦いも、もう始まっているのだ。

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