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「う〜ん、強い!!」

ユーロ2012・ファイナルの印象をひと言で語るとしたら、僕にはこの言葉以外に思いつかない。
とにかくスペインは強かった。

4-0というスコアもさる事ながら、圧巻だったのは1点目を奪うまでの、そのプレーの質の高さだ。

この両チームはグループリーグの初戦でも対戦していて、その時のスコアは1-1。
ゲーム内容はスペインが押してはいたけれど、イタリアも充分に持ち味を発揮した好ゲームだった。

それだけにこの決勝戦も拮抗した展開を予想していたのだけれど、キックオフからの14分間で見られたのは、ただただスペインの圧倒的な強さだけだった。
驚異的なポゼッションでイタリアを自陣に釘付けにすると、アンドレス・イニエスタのスルーパスに抜け出したセスク・ファブレガスが右からのクロス。
これをダビド・シルバが見事なヘディングで決めて、あっさりとスペインが先制点をものにする。

このあとはイタリアも反撃に出るけれども、それができたのは1点を獲ってスペインのペースが落ち着いたからでもある。
それでも前半の終盤には、スペインがカウンターから加点。
後半もダメ押しの2点を加えての圧勝劇。

終わってみればスペインの強さだけが残った、そんなファイナルだった。

ちなみに現在のスペイン代表がFCバルセロナのスタイルをベースに戦っているのは周知の事実だけれど、史上最強のクラブとも言われるバルサを攻略するためには、今のところほとんど1つの方法しかないと考えられる。
つまり、今年のチェルシーや2年前のインテル・ミラノがチャンピオンズリーグで見せたような、徹底的に引いて守ってのカウンター戦術だ。

そしてカウンターと言えば、イタリア代表の十八番でもある。

しかし、チェーザレ・プランデッリ率いるイタリアは、今回はその戦術を採用しては来なかった。

グループリーグでスペインと対戦した時、イタリアは3-5-2のフォーメーションをとっていた。
しかし、この決勝で採用したのは4-4-2。

中央の守りを固め、守備時には5バックにもなる3-5-2戦術であれば、またスペインを苦しめることができたかもしれない。
それでもプランデッリは、大会途中から採用して得点力アップに繋がった4-4-2システムでの「ガチンコ勝負」に賭けたのだ。

この時、イタリアがより堅実な3バックシステムを採用していれば、どうなっていただろうか。
また仮に、ジョルジョ・キエッリーニやチアーゴ・モッタの負傷退場が無かったとしたら。
あるいは、決勝までのインターバルが中2日ではなく、もう数日長かったとしたら。

確かに、スコアはもう少し拮抗したものになっていたかもしれない。

ただしそれでも、おそらく結果までひっくり返ることはなかっただろう。

それくらいまでに、今大会のスペイン代表の強さは “異次元” に感じられたのである。

スペイン代表のもたらした「戦術革命」

今大会で優勝したスペインは、史上初となるユーロ2連覇を達成。
しかもその間にワールドカップ優勝をはさんでいるので、メジャー大会3連覇を実現した形になる。

これはヨーロッパではもちろん初の記録だけれども、「ワールドカップ優勝を含んでのメジャー大会3連覇」は、コパ・アメリカのある南米でも、これまでに類を見ない大記録だ。
つまり、世界的に見ても初めての快挙となる、まさに「偉業」だと言えるだろう。

そしてそうなると、自然とこんな考えが浮かぶ。

『いまのスペイン代表は、”史上最強の代表チーム” なのではないか?』

現在のスペイン代表の強さは、フットボールの歴史の中でも際立ったものだと言える。
そして、ある国の代表チームがその時代で突出した強さを見せるとき、そこには単に良い選手が揃ったというだけでなく、「戦術的な革命」がセットになっている場合が多い。

例を挙げると、古くは1930年代、当時の最新の戦術だった「WMシステム」をいち早く取り入れ、ヨーロッパの舞台で快進撃を重ねて「ヴンダーチーム(驚異的なチーム)」と呼ばれたオーストリア代表。

そして1950年代にWMシステムをアレンジした「MMシステム」を考案、マンツーマン全盛の時代に「ポジションチェンジ」という概念を生み出して4年間無敗の記録を打ち立てた「マジック・マジャール」、ハンガリー代表。

さらには1970年代にチャンピオンズカップ3連覇を達成したアヤックスをベースに、近代フットボールの源流となる、フィールドプレイヤー全員が攻守両面で機能する「トータルフットボール」で旋風を巻き起こしたオランダ代表などなど。

その例に照らすと、現在のスペイン代表はFCバルセロナの戦術をベースにした「ポゼッション・サッカー革命」をフットボール界にもたらしているのだとも考えられる。

その誕生からおよそ1世紀半を数え、戦術的にはほぼ飽和状態にあるとも考えられていたフットボールという競技を、さらに次の次元へと進化させたバルセロナとスペイン代表には、ただ驚くばかりだ。

ちなみに例に挙げたオーストリア、ハンガリー、オランダもそれぞれの時代で驚異的な強さを見せたけれども、いずれもメジャータイトルを獲ることはできなかった(ワールドカップではオーストリアが4位、ハンガリーとオランダが準優勝が最高成績)。

それと比べると、メジャータイトル3連覇と結果も残しているスペイン代表が、名実ともに「史上最強」とほぼイコールの存在だということが言えるだろう。

それでも僕が「ほぼ」と書いたのは、今のスペイン代表に匹敵するかもしれないチームが、ひとつ存在するからなのだ。

スペイン代表は「史上最強のナショナルチーム」か!?

今から12年ほど前、20世紀が終わって21世紀を迎える頃。
サッカー専門誌などでは盛んに「20世紀最高の◯◯」といった特集が組まれていた。

その中で、「20世紀最強の代表チーム」として挙げられることが多かったのが、1970年ワールドカップで優勝したブラジル代表である。

当時のブラジル代表は、全盛期を迎えていた “史上最高のフットボーラー” ペレを筆頭に、リベリーノ、ジェルソン、トスタン、ジャイルジーニョ、カルロス・アルベルトといったフットボール史に名を残す名手たちをズラリと揃え、1970年のワールドカップ・メキシコ大会で、史上初の「予選から本大会まで(引き分けや延長での勝利もない)全勝優勝」を成し遂げたチームだった。
これは未だに破られていない、史上唯一の記録でもある。

ちなみにこの大会の決勝でもブラジルの対戦相手はイタリアだったのだけれど、ブラジルは難敵イタリアを4-1と玉砕している。

ただしこの当時のブラジルはワールドカップでこそ優勝したけれども、その前後のコパ・アメリカでは優勝していない(ただ、1967年から1975年までの8年間は、コパ・アメリカの開催自体がなかった)。

その反面、現在のスペイン代表も、メジャー大会での全勝優勝は達成していない(2010年ワールドカップではグループリーグ初戦でスイスに黒星。ユーロでは今大会でも前回大会でもPK戦での勝利を含んでいる)。

もしこの両チームがタイムスリップして対戦した場合、さすがに40年間でフットボールの戦術は飛躍的に進化しているので、スペインが勝つはずだ。

ただし「その時代における相対的な実力」という視点から両チームを比べると、1大会での瞬発的な強さ、という意味では1970年バージョンのブラジルに軍配が上がるだろう。

逆に「数年間に渡る安定的な強さ」という視点から見れば、現在のスペイン代表が上を行くはずだ。

このように、「史上最強の代表チーム」の候補には、今のところ僕の中では2つのチームが存在することになる。

ただし、現役のチャンピオンであるスペイン代表には、まだブラジルを抜いて「史上最強」になるチャンスが残されている。
間違いないのは、1970年のブラジルでも実現できなかった “ワールドカップ連覇” を達成することだ。

これまでワールドカップ連覇を達成したチームは1934-38年のイタリア、1958-62年のブラジルの2チームがあるけれど、
この両チームは前後の大陸別選手権では優勝していない(イタリアの時はユーロ自体がまだ無かったんだけども)。

スペインが2014年ワールドカップで連覇を実現すれば、これらのチームもまとめて乗り越えて、間違いなく「史上最強」の称号を手にすることだろう。

今大会での圧勝ぶりを見る限りでは、2年後にスペインのライバルになりそうな国はヨーロッパでは見当たらない。
となるとスペインを止める可能性がありそうなのは、2年後もおそらく世界最高の選手でいるはずのリオネル・メッシを擁するアルゼンチンと、地元開催で12年ぶりの優勝に燃えるブラジルあたりに絞られる。

特にブラジルとの対戦が実現すれば、両国のプライドを賭けた戦いになるだろう。

ちょっと気が早過ぎるけれども、2年後のワールドカップは、今から楽しみな大会になりそうだ。

ユーロ2012を振り返って

ところで今回のユーロを観ていて気になったのは、何となくどのチームも「均質化」してしまっているように思えたことだった。

これはクラブ間の選手の移籍が活発化して国境の垣根が低くなったことや、インターネットや衛星放送を通じて映像や情報の流通が飛躍的に増えたことが要因だと考えられる。
また、以前に比べれば代表チームのプライオリティ自体が下がってきてしまっているのも原因の一つなのかもしれない。

いずれにしてもその副作用で、どのチームも似たり寄ったりの、個性の乏しいチームになってしまっていたような印象を受けるのだ。

そういった中で、チームの成績を左右したと個人的に感じたのは、そのチームが「明確なスタイルを持っていたかどうか」という点だ。

僕がグループリーグを見終わった時点で実力的に抜けているな、と感じたのはスペイン、イタリア、ドイツの3チームだったのだけれど、この3チームに共通していたのはそれぞれが「明確なスタイル」を持っていたことだった。

優勝したスペインには、バルセロナ式の「ポゼッション・サッカー」という誰にも真似できないスタイルがあった。
準優勝のイタリアも従来の勝負強さを活かしつつ、よりポゼッションを重視した攻撃的なスタイルを身に着けていた。
ドイツも組織的なプレッシングからのショートカウンターをベースにしつつ、遅攻の際にはサイドをワイドに使ったパスワークで崩す、というハッキリとした意図が感じられた。

ベスト4に残ったチームで唯一の例外はポルトガルだけれども、ポルトガルはチームとしての戦術レベルは高くはなかったと思うけれど、大会が進むに連れて「とにかくクリスティアーノ・ロナウドにボールを集めて、クリスティアーノ・ロナウドに点を獲らせる」= “戦術クリロナ” というやり方を徹底させてきた。
『チームのストロングポイントを最大限に活かす』という意味では、これも明確なスタイルの一種だったのだろうと思う。

逆に、早期敗退したチームからは、あまりスタイルや哲学が感じられなかったとも言える。

その一番悪い例はオランダになるだろう。
ロビン・ファンペルシー、アリエン・ロッベン、ウェズレイ・スナイデル、クラース・ヤン・フンテラール、ラファエル・ファンデルファールト、イブラヒム・アフェライ、ディルク・カイトと、タレントの量だけで見ればスペインにも引けをとらないほどの陣容を揃えながら、グループリーグ3戦全敗という大惨敗。

僕はこれは、チームにスタイルが存在しなかったことが一番の原因だと考えている。
豪華なタレントをいかに組み合わせて得点まで繋いでいくのか、という狙いが、オランダからは全く感じられなかったのだ。

仮に「スナイデルのゲームメイクからロッベン、アフェライがサイドをえぐって、中央のファンペルシーがゴールを狙う」みたいな必勝パターンを一つ持っていれば、あのメンツであれば充分に強力な武器になったはずだ。
しかし実際には、タレントたちが無秩序に動き回って、何となく個人能力で得点を狙いに行っているような印象しか感じられなかったのである。
似たようなことはフランス代表にも当てはまるだろう。

ポーランドとウクライナの共同開催2国も、前回大会のスイスとオーストリアに続いてグループリーグを突破できなかった。

この両国は、ヨーロッパではそこそこの人口規模を持ちながら(ポーランドが約3,800万人、ウクライナが約4,500万人)あまりにも選手層が薄いのが一番の問題なので育成を根本から見直す必要があると思われるけれど、戦術的にも稚拙で、やりたいことがハッキリしていなかった印象を受ける。

特にポーランドは、サイドを突破してエースのロベルト・レヴァンドフスキに合わせる、というほとんど唯一の得点パターンしか持っていないのだけど、オランダほど抜きん出たメンバーを揃えているわけでもないのでそれもイマイチ迫力に欠けた。
そしてそれを補うために、中途半端にパスサッカーを志向しているような印象を受けてしまったのだけれど、けっきょくは西側のチームの劣化コピーで終わってしまったように思う。
それならば変な色気を見せず、昔ながらのガッチリと守ってからのカウンターサッカーをベースにしたほうがまだ可能性があったように感じるのは僕だけだろうか(まあ、それで結果が出なくなったので今に至るのかもしれないですが…)。

いずれにしても、大会で最もレベルのイマイチだったグループAで、1勝もできないまま最下位で敗退というのは、ホスト国としてはあまりにも不甲斐ない成績だったと言えるだろう。

このように全体として「没個性」「均質化」の傾向が見られたように感じられた今大会。

その中でも「自分たちのスタイル」を貫いたチームが上位に進出し、それが一番強烈に感じられたスペインが、ぶっちぎりの強さを見せつける結果となった。

大観衆で埋まったスタンドを見ても、国と国との威信を賭けた戦いが、人々を惹きつけることは今後も変わりがないだろう。

2年後にはワールドカップ、4年後には再びユーロが開催される。

敗れたチームたちもぜひ、自分たちのフットボールに磨きをかけて、次にやってくる大会を盛り上げてくれることを期待したい。ということで。

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