「失敗」に終わったスタートダッシュ/アルガルヴェ・カップ@日本女子代表 0-2 ノルウェー女子代表

AlgarveAlgarve / Sue Elias

さて始まりましたアルガルヴェ・カップ。
あのオリンピック決勝から7ヶ月ぶりとなる、なでしこジャパンのAマッチ。
いよいよこの試合から、次のワールドカップ、そしてオリンピックに向けての新しいサイクルがスタートを切りました。

この試合では「なでしこジャパンのリスタート」を象徴するかのように、スタメン11人中、実に5人がA代表でのデビューを迎えています。加えて、Aマッチのキャップ数が5以下の選手も3人。計8人がほぼ代表歴の無い選手ということで、おそらくそこそこ女子サッカーを観ているファンであっても「誰だこの選手???」と一度はメガネをこすったであろうことは想像に難くありません。

裏を返せばそれだけ大胆な選手起用だったわけですが、結果的にこの試みは佐々木ノリオ監督も認めたとおり「失敗」に終わりました。

それは単に試合に負けた、というだけではなく「チームとしての形」が見えなかったこと、2年後・3年後に向けてどういうチーム作りをしていきたいのか、という未来像の「片鱗」すら見えなかったことが、大きな要因だったように感じました。

「失敗」に終わったスタートダッシュ

この試合で起用された若手たちのほとんどは、その持ち味を発揮したとは言いがたかったと思います。
ただし初めてプレーする選手も多くてコンビネーションも皆無、しかも普段やっていないポジションで試された選手たちも居るというシチュエーションは、若手選手たちにとっても酷だったと言えるでしょう。

正直なところ、この日の布陣は男子学生とのテストマッチあたりで試しておくようなメンバーだと思うのですが、それをアルガルヴェ・カップという国際Aマッチでテストせざるを得なかったところに、新生なでしこジャパンの準備がスタートの時点で既に遅れてしまっていることを物語っているようにも思いました。

オリンピックがこの前終わったばかりですが、次のワールドカップは早くももう2年とちょっと後に迫っています。
なでしこジャパンが新鮮力を発掘するために使える時間は限られているので、このスタートでの出遅れが大きな失敗に繋がらないことを願いたいところです。

ところでこの試合でA代表デビューを飾った選手の中には、U-17代表やU-20代表で大活躍した田中陽子選手が名を連ねていました。
0−2で迎えた56分に交代出場してから、およそ35分間のプレー。

その内容は、はじめの20分間ほどに関しては、正直なところ予想していた以上に良かったように思います。
持ち前の運動量と積極性で、攻守にわたって光るプレーが見られていたように感じました。

ただし、ラスト10分間ほどはトーンダウン。
Aマッチの舞台に気後れしたか、だんだんミスを恐れたような消極的なプレーが目立つようになり、「プレーに絡んでいるようで、あんまり絡んでいない」的な中途半端なプレーが続くようになります。
あえて意地悪な言い方をすると「アリバイ作り」とも取れるような、「なんとなく」のポジショニング、ランニングが多くなってしまい、終盤は物足りなさが残る出来でした。

というわけで田中陽子選手にとってのA代表デビューは、全体としてはホロ苦いものになってしまったわけですが、それでも大器の片鱗は充分に見えたように感じました。
U-17の頃から田中陽子選手を応援している当ブログとしては、今後もその成長と活躍を見守って行きたいと思います。

敗戦ということもあって、2013年は厳しい船出となってしまったなでしこジャパン。
しかし次のドイツ戦では主力を起用して、今大会のベストメンバーでの戦いが見られることでしょう。

ぜひこのノルウェー戦で残ったモヤモヤ感を払拭するような、爽快な戦いぶりを期待したいと思います。

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