懸念される「ネイマールへの重圧」/ワールドカップ2014@ブラジル代表 3-1 クロアチア代表

※写真はイメージです photo by FIFA World Cup Brazil 2014

ブラジルワールドカップ、いよいよ開幕!!!
クぅ〜〜〜!!(カビラ・ジェイ風に)

というわけで、半年以上も更新せずに半ば仮死状態にあった当ブログですが、ワールドカップ開幕を機に、何食わぬ顔で再開しようと思います。
マイペースにですが頑張って更新をしていきたいと思いますので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

さて、ついに2014年ワールドカップ・ブラジル大会が開幕しました!
開幕戦に登場したのは開催国であり、今大会の優勝候補筆頭でもあるブラジルです。

そのブラジルは難敵のクロアチアを3-1で下して、まずまずのスタートを切りました。
ただし、まだまだ優勝トロフィーの行方は、霞の向こうにボヤッと見えてきたかな〜程度でしかありません。

ブラジルの抱える「アキレス腱」

勝ち点3をゲットしてプラン通りのスタートを切ったと言えるブラジルですが、内容的にはやや消化不良な面もありました。
オウンゴールで先制されたのは仕方がないにしても、クロアチアの組織的な守備の前に、ブラジルの攻撃は序盤からかなり抑えこまれていた印象です。

特に自陣内に入ってからのクロアチアのプレスは激しく、ショートパスをほぼ封じられたブラジルは、中盤での連携が分断される格好となってしまいました。

そんなブラジルを救ったのはやはりこの人、今や不動のエースとなったネイマールでした。

ゴール右隅に突き刺す鮮やかなミドルシュートで同点に追い付くと、後半にもPKを決めて逆転。
10番にふさわしい活躍でブラジルを勝利に導きます。

しかしそんなネイマールの活躍を見れば見るほど、僕は逆にネイマールの存在が、ブラジルのアキレス腱にもなるのではないかという懸念を抱いてしまったのです。

ネイマールにかかる大きな負担

ルイス・フェリペ・スコラーリ率いる今大会のブラジルは、同監督のもとで優勝した2002年ワールドカップの時と同じように、(ブラジルにしては)守備に特長を持ったチームです。
チアーゴ・シウバを筆頭にワールドクラスの4人を揃えたディフェンスラインと、ボランチの2人とで堅い守備陣を構築。
まずはディフェンスをしっかり固めてからゲームに入るスタイルだと言えるでしょう。

それでも攻撃に移ると一転、ボランチのルイス・グスタヴォが2人のセンターバックの間まで下がり、入れ違いに両サイドバックが高い位置を取って3バック気味の布陣に変化します。
その超攻撃的な両サイドバックのサイドアタックに前線のタレントたちが絡み、中からも外からも崩していくのがブラジルの攻撃の強みだと思われます。

しかし僕はこの試合を観ていて、今大会のブラジルの、エース・ネイマールへのあまりにも高い依存度が気になってしまったのでした。

ブラジルのボランチの2人は総合力の高い選手たちですが、スペインのシャビやイタリアのピルロのように中盤から攻撃陣を操れるほどの展開力は持っていません。
それが理由なのか、あるいはクロアチアのプレスがきつかった事もあってでしょうが、この試合ではネイマールが中盤の底のあたりまで降りてきてボールを受けるシーンが目立っていました。

そしてネイマールは中盤でゲームメイクの起点となったかと思えば、アタッキングサードではドリブルで敵陣を切り裂くチャンスメーカーとなり、ペナルティエリア付近では抜け目なくシュートを狙うゴールゲッターとしても機能しました。さらに言うと、大半のセットプレーでキッカーを努めたのもネイマールです。
攻撃のあらゆる場面でチームを牽引するその働きは、まさに “攻撃の中心” と呼ぶにふさわしいものでした。

しかし逆にもし、ネイマールが故障や出場停止となった場合、ブラジルの攻撃はどうなってしまうんだろう?
という疑問も、僕の中で湧いてきてしまったのです。

ブラジルが優勝した2002年の日韓ワールドカップでは、ロナウド、リバウド、ロナウジーニョと、バロンドール受賞者の3人(ロナウジーニョの受賞は大会後の2005年)が “3R” と呼ばれるトリオを形成して攻撃を牽引しました。
同じくブラジルが優勝した1994年アメリカ大会でも、ロマーリオとベベットの2トップは「世界最強」と謳われ、チームの攻撃の要となりました。
それぞれの大会でロナウド、ロマーリオというエースは居たものの、彼らをサポートする強力なパートナーたちの存在が、ブラジルの厚い攻撃力を支えていたのも事実です。

その逆に1998年のフランス大会では、21歳の若さでセレソンのエースとなっていたロナウドに過大なプレッシャーがかかっていました。
この大会でブラジルは、前年までロナウドと共に “Ro-Ro コンビ” と呼ばれ破壊的な2トップを形成していたロマーリオをメンバーから外しています。
しかし前回ワールドカップ優勝の立役者だったロマーリオの離脱は、戦力的な意味でも精神的な意味でも、ロナウドに対する負担を倍増させる事態を招いてしまいました。

そして決勝戦の数時間前。
過剰なストレスから痙攣に見舞われたロナウドが、意識不明に陥るというアクシデントが起こってしまいます。
ロナウドは決勝戦の先発メンバーから外れ、彼の穴を埋められなかったブラジルは、地元フランスに0-3の完敗を喫して、連覇を逃してしまいました。

今大会のネイマールも16年前のロナウドのようになる、と言うわけではないのですが、その可能性も無きにもあらずかなとも思ってしまうのです。
22歳のエースはセレソンの攻撃の中心であるだけでなく、国民のアイドルであり、スターであり、アイコンにもなっています。
さらに今大会は、ブラジルが国を挙げて必勝体制で臨む、自国開催の大会というプレッシャーもあるでしょう。

すでに「いちプレイヤー」を遥かに超えた存在になってしまっているネイマール。
彼ににかかる負担をどこまで軽減してあげられるかが、ブラジルの優勝に向けてのひとつの鍵となってくるのではないでしょうか。

グループリーグ展望

そんなブラジルではありますが、それでも1年前のコンフェデ杯で見せた強さはやはり印象的で、僕も今大会の優勝予想チームをひとつ挙げるとしたらブラジルを推します。
攻撃に課題を残すもののディフェンスの安定感は抜群で、変なところでコロッと負ける姿が想像できません。
グループリーグも間違いなく突破してくるでしょう。

なのでブラジルの属するグループAは、実質的には2位争いが焦点となってくると思われます。
ブラジルに次ぐ2位の座(たぶん)に座るのは、相変わらずの「お家騒動」で到着が遅れるなど準備不足のカメルーンよりは、クロアチアとメキシコのほうにチャンスが大きいのではないでしょうか。

その中でも、強いて言えばクロアチアが最もチーム全体のバランスが良く、決勝トーナメント進出の可能性が高いかなと思うのですが、そういう意味でも第3戦のクロアチアVSメキシコは、注目の一戦になるように思います。

ちなみに僕の無責任なグループリーグ突破予想を書かせていただくと、

【グループA】ブラジル、クロアチア
【グループB】スペイン、チリ
【グループC】日本、コロンビア
【グループD】イタリア、ウルグアイ
【グループE】フランス、エクアドル
【グループF】アルゼンチン、ボスニア・ヘルツェゴヴィナ
【グループG】ドイツ、ガーナ
【グループH】ベルギー、ロシア

という感じになるんですが、あくまで無責任なので大ハズレする可能性もございます(;)。

ただ、こんな予想を立てながら「あーだこーだ」と楽しめるのも、ワールドカップならではの醍醐味です。
この開幕戦を観て改めて感じたのですが、4年に一回のお祭りは、やっぱりワクワク感が違います!

残り63試合、1ヶ月間に渡る長丁場の大会。
先は長いですがみなさん、このお祭を、ぜひ一緒に楽しみましょう!

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