ヤングなでしこ、痛感した『世界との差』/U-20女子ワールドカップ@U-20日本女子代表 0-3 U-20ドイツ女子代表

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近年稀に見るほどの、ぐうの音も出ないほどの「完敗劇」。
大方の予想通り、やっぱりドイツは強かった。

「開始1分で奪われてしまった先制点が、せめてもっと遅い時間帯だったら…」とか、「3失点全てがミスから生まれていたので、そのミスが無かったら…」とか “たられば” のネタはいろいろ思いつくけれども、仮に日本が多少の幸運に恵まれていたとしても、ドイツに勝つことはかなり難しいミッションだったように思う。それは京川舞や岩渕真奈や村松智子が大会に参加していたとしても、おそらく大きな違いは無かっただろう。

なぜなら現時点でのチームの完成度という点で、日本とドイツには明確な差が存在していたからだ。

ヤングなでしこ、痛感した『世界との差

準決勝のドイツ戦は、誰の目から見ても「完敗」だったと言えると思う。
日本とドイツにはフィジカル、そして戦術レベルでのクオリティーに大きな開きがあった。

もし日本がドイツに何が何でも勝とうと思ったら、なでしこジャパンがオリンピックで見せたように「まずは守備から」入ってカウンターを狙うような戦法を採っていたほうが、その確率は上がっていただろう。

ただし同時に、僕はこの年代でそこまで「勝ちだけ」にこだわる必要は無いとも感じている。

もちろん勝利を目指して戦うのは当然なんだけれども、その一方で若い世代では「戦い方」も重視するべきではないだろうか。そういう意味では、ドイツに真っ向勝負を挑んだ日本の戦い方そのものは間違っていなかったように感じた。
欲を言えば、立ち上がりの時間帯だけは慎重に入っていれば、もう少し接戦に持ち込むことはできたかもしれない。しかし日本にとってはドイツほどの激しいプレスにさらされたのは今大会で初めての経験だったはずで、そこで最初から的確な対応をしろと言うのも酷な話だろう。

それらも含めて、自分たちの力がいまどのくらいのレベルなのかを確認することができたのが、ドイツ戦での最大の収穫だったのではないだろうか。

そして僕は、現在のドイツとの差が、このまま将来のA代表での戦いにも引き継がれていくとは思っていない。

ヤングなでしこが完敗した一番の理由は、個人的には「戦術能力の差」だと考えている。
マレン・マイネルト監督が創りあげたドイツU-20代表は高度に組織化されていて、(日本も含めて)まだ粗さの見られる他国のU-20代表チームに比べると突出して「大人のサッカー」を実践していた。そこにフィジカル面での体格差が加わって、日本は完全に力でねじ伏せられた、という印象である。

しかし裏を返せば、日本の選手たちが今後ハイレベルな戦術能力を身に着けていけば、A代表のようにドイツと互角に渡り合うことも充分可能だろう。
言ってみればドイツは「いま勝つ」ためのスタイルを採用していて、日本は「将来勝つ」ためのスタイルを採用していたのだとも言えると思う。それが実際に将来どれくらいの違いとなって出てくるのかは正確には分からないけれども、個人的には日本の方向性は間違っていないと感じた。

そして後半、柴田華絵がドリブル突破からシュートを放ったシーンに象徴されるように、個人レベルでは手応えを感じ取った部分もあったのではないだろうか。

それにしても無敵と思われたドイツが、グループリーグで3-0と完勝していたアメリカに決勝でリベンジされて優勝を逃してしまうのだから、サッカーは難しいものである。

逆に言えば、強豪のドイツやアメリカと言っても、付け入る隙は充分にあるということだろう。

今回は負けてしまったけれど、彼女たちにとっての本当の戦いは、数年後のA代表の舞台だ。

そこでぜひ、選手たちにはこの悔しさを晴らしてもらいたい。

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