彼はもう、ワンダー “ボーイ” ではないように思えた。
ウェイン・ルーニーである。
マンチェスター・ユナイテッドがACミランを撃破したこの試合で、ルーニーの存在感は圧巻の一言だった。
2ゴールはもちろん素晴らしかったけども、チャンスメイクやポストプレーなど得点以外の場面でも、ルーニーは抜群のプレーを見せていた。
クリスティアーノ・ロナウドがユナイテッドの「キング」として君臨していた昨年までも、ルーニーは副官として見事な働きをこなしていたけれど、主役の座を任された今季は “覚醒” と言ってもいいほどの進化ぶりを見せている。
シュートの精度や振りの速さも素晴らしいけども、僕が目を奪われたのはトラップの技術だ。
難しいボールでも「ピタッ」と的確な場所にボールを置いてしまう、そのトラップ技術。
そこから瞬時にシュートまで持っていく。
この一連のプレーの精度が、ルーニーの場合はトッププロの中でも群を抜いている。
それはもはや、神技の域にまで達しているようにも思える。
覚醒した「怪物」
今週のサッカーマガジンの記事によると、かつてルーニーの持つプレミアリーグ最年少ゴール記録を更新したジェームス・ミルナーが、少年時代にルーニーと対戦したことがあるらしい。
その試合でもルーニーは圧巻のプレーを見せ、ミルナーのチームメートたちは皆、相手チームの “怪物” の事ばかり話していたそうだ。
その後、ワンダーボーイと呼ばれるようになった少年は、いま再び “怪物” へと進化しようとしている。
今年ルーニーがチャンピオンズリーグかワールドカップのタイトルを獲れば、バロンドールも夢ではないのではないか。
それくらいの輝きを、いまのウェイン・ルーニーは放っている。
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