Photo by Dave_B_

サッカーは言わずと知れた、世界各国で最も人気のある “キング・オブ・スポーツ” である。

それは、東南アジアでも例外ではない。

そして東南アジア諸国の中でも、中心的存在のひとつであるベトナムは、「隠れたサッカー大国」なのだ。

ベトナムでのサッカー人気は非常に高い。
2007年にはタイ・インドネシア・マレーシアとの4カ国共同開催で AFCアジアカップのホスト国となり、4カ国中で唯一、決勝トーナメントへ進出。

同じ年には、国内リーグ「Vリーグ」(バレーじゃないよ!)がプロリーグ化もされた。

ちなみにちょうどこの頃、うちの祖父母がベトナムへ旅行に行ったんだけども、たまたまVリーグの優勝決定戦と、旅行の時期と場所がかぶったそうだ。

地元チームの優勝決定直後には、優勝を祝うファンたちの乗るバイクや車が夜中までクラクションを鳴らしまくって、街中が大騒ぎだったらしい。

そんな熱狂的ファンを抱えるベトナムが、日本の第2戰の対戦相手だった。

日本が迎えた、理想的な立ち上がり

来年の U-20ワールドカップの予選を兼ねた、AFC U-19選手権。

日本は初戦の UAE戦を白星で飾ったけれども、その試合内容は散々たるものだった。

その意味でこのベトナム戦は、日本にとっては真価を問われる一戦だったとも言えるだろう。

試合前の国歌斉唱。

初戦で君が代を掻き消した中国人ファンたちの大ブーイングは、このベトナム戦では嘘のように消えていた。
初戦の行き過ぎた日本叩きが問題視されたこともあって、ブーイングを禁止する旨のお達しが出たようである。

その静けさは不気味なほどだったけれども、日本の選手たちにとっては、集中できる環境がやっと整ったとも言えるだろう。

日本はこの日、スタメンをいじってきた。

初戦から入れ替わったのは2トップの2人。
メンバー表には指宿洋史に代わって杉本健勇、永井龍に代わって宇佐美貴史の名前があった。

初戦ではスタメンを外されて、後半からの出場となった宇佐美貴史。
しかしこの短い時間で宇佐美は、劣勢の流れを変える貴重な働きを見せていた。
そしてこの第2戦、宇佐美貴史は堂々のスタメン復帰を果たす。

そうやって迎えた立ち上がり、日本にとっては理想的な形で試合はスタートする。

開始8分、宇佐美貴史が中盤でボールを奪うと、そのままドリブル突破を試みる。
そして1人をかわした宇佐美が、中央で待つ六平光成にラストパス。

ゴール正面、ペナルティエリア外のこの位置から六平が右足を振り抜くと、そのミドルシュートは見事にベトナムゴールに突き刺さったのである。

あっさりと先制に成功した日本代表。

これまでのベトナムとの力関係を考えても、まず勝利は間違いない。
場合によっては大勝もありうる。
おそらくこの試合を観ていたほとんどの日本人ファンが、そう感じていたことだろう。

しかしゲームはここから、意外な展開を見せる。

予想以上の難敵だったベトナム代表

いきなりの先制点の影響もあって、試合開始からしばらくの間は日本の時間帯が続いた。
UAE戦に比べれば見違えるようにパスが回り、2点目が生まれるのも時間の問題かと思われた。

そして日本は、酒井高徳、杉本健勇らが、それぞれ決定的なシュートを枠内に飛ばす。
しかしこれらのシュートは、ベトナム GKのビューグォックの立て続けのファインセーブに阻まれる。

これで勢いに乗ったベトナムは、ここから次第に巻き返しを図っていった。

ベトナムの選手たちは上背はないけれども、俊敏で足技に優れている。

そのアジリティーとテクニックを武器に、両ウイングを使ったワイドな攻撃で、ベトナムは徐々に日本を追いつめてくる。
そして時おり鋭いカウンターを放っては、日本に冷や汗をかかせた。

正直なところ、予想していた以上の数のチャンスを、日本はベトナムに作られてしまった。

そしてベトナムは、非常に「ラフ」なチームでもあった。

審判の目を欺いては、ヒジ打ち・平手・踏みつけなどの危険行為を連発。
カードが出てもおかしくないシーンも何度もあったけれども、中東からきた主審はこれをスルーしまくる。

このラフプレーの応酬の影響もあってか、日本からは次第に、序盤の良いリズムが失われていってしまった。

しかしそれでも、初戦から続く勝負運を、まだ日本は持っていた。

前半終了間際のロスタイム。

FKからのロングボールを、杉本健勇がヘディングで競り合う。
これはルーズボールとなったものの、そこに走りこんだのが日本のエース、宇佐美貴史だった。

宇佐美はドリブルでベトナム DFのマークを外すと、左足を豪快に振り抜く。
これが強烈な弾道を描いて、ベトナムゴールに突き刺さったのだ。

難しい展開が続く中、名解説者の原ヒロミさんでなくとも「いい時間帯の得点ですね」と言いたくなるような、最高の時間帯に生まれた追加点。

このエースの一撃で、日本は悪い流れを断ち切って、2点をリードすることに成功した。

爆発した絶対エース、宇佐美貴史

迎えた後半。
2点をリードした余裕もあって、前半に比べれば日本は、落ち着いた展開で試合を運んでいく。

ただしベトナムは、相変わらず積極的な姿勢を崩さない。
予想以上に骨太なチームだったベトナムに日本は、後半もカウンターから何度か危ない場面を作られた。

2-0は危険なスコアだと言われる。
日本が有利な立場には違いないけれども、油断をすれば、どちらに転んでもおかしくないような時間帯が続く。

しかし結果的に日本は、このピリピリとした展開を断ち切ることに成功した。

決めたのはまたも、あの男である。

77分、左サイドでボールを受けた杉本健勇から、酒井高徳にボールが渡る。
酒井がこれをシンプルに繋ぐと、そこに走りこんだのはまたしても、宇佐美貴史だった。

宇佐美は DFを引きずりながら、ツータッチで左足を振り抜く。
このシュートが決まって、日本が 3-0とベトナムを引き離した。

これで勝負は、ほぼ決した。

さらに宇佐美は 90分、交代出場の加藤大のスルーパスに抜けだして、ワントラップから右足でミドルシュートをゲット。

ハットトリックを達成した宇佐美貴史の活躍で、日本がけっきょく 4-0の勝利を収めた。

日本が挑む試練の道のり

最終的には大差がついたこの試合。

しかし、その内容は決して楽なものではなかった。

絶対エース・宇佐美貴史の活躍に救われた格好になったけれども、もし宇佐美がいなかったら、勝負はどう転んでいたか全く分からない。

その宇佐美にしても、90分を通じてコンスタントな活躍を見せられていたわけではない。
ガンバでもそうだけれども、この日も多くのチャンスに絡んだ反面、時間帯によっては消えていることも少なくはなかった。

チーム全体としても、宇佐美貴史に対する依存度が高すぎるようにも思えた。

これで2連勝とした日本は、もう一方の会場で行われた UAE x ヨルダンが引き分けたこともあって、この時点でグループリーグの1位通過が決定。

それだけを見れば理想的な展開。
しかし、内容がそれに見合うものだとは言い難いだろう。

しかも決勝トーナメント1回戦で、日本はグループDの2位チーム、つまり韓国かオーストラリアと当たることになる。
いずれもアジアを代表する強豪チームだ。

2年前の日本はこの決勝トーナメント1回戦で韓国に敗れ、ワールドカップへの出場権を逃した。

同じ轍を踏むことは絶対に許されないけれども、いまの日本に、この2大ライバルに楽勝できる力はまず無いだろう。
どちらと当たるにしても、非常に厳しい試合展開が予想される。

日本にとっては試練の続く、この AFC U-19選手権。

しかしどんな理由があろうとも、日本は絶対に、この険しい山を越えなくてはならない。

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