僕は今は大阪に住んでいるけど、横浜の出身である。
横浜と言っても市内の南のはずれ、湘南海岸までほど近いエリアで育った。
なのでこの2チームには、どちらも「地元のチーム」という意識を持っていたりする。
反町監督が就任してからのベルマーレは、とても質の高いサッカーをするようになった。
「王様」アジエルを軸に、代表における遠藤保仁のような役割を果たす「裏ゲームメーカー」寺川能人、そこに坂本紘司らが絡む攻撃陣と、野澤洋輔、ジャーン、村松大輔、田村雄三らを中心とした守備陣は見応えがあり、J2ながらも十分に「お金を払う価値のある」サッカーをしていたと思う。
マリノスは個人能力でベルマーレを上回るけれども、開幕戦の煮え切らない戦いぶりを見るからに、この試合はそこそこいい勝負になると僕は予想していた。
しかし、その予想は完全に裏切られた。
立役者は、間違いなく中村俊輔である。
お金を払う価値のある「千両役者」、中村俊輔
相手は昨年までJ2だったチームだとは言え、俊輔のプレーは圧巻だった。
一人だけ次元が違っていた、と言ってもいい。
エスパニョールでの失敗や、代表での本田圭佑の台頭などから限界説もささやかれ始めた俊輔だけども、この日のプレーで、日本の中では圧倒的な力を持っていることを改めて証明して見せた。
この試合がホーム開幕戦だったマリノスだけれども、観客動員数は昨年の開幕戦の23,601人を1万人近くも上回る32,228人。
まさに「お金を払う価値のある」、正真正銘の千両役者がJに帰ってきた。
それと、個人的に嬉しかったのが、終了間際の狩野健太のゴールだ。
ポジションもプレースタイルもかぶる俊輔の加入によってスタメンからはじき出された形となった狩野だけど、自らのスーパーゴールの後もぶ然とした表情を一切崩さない。
あの一発に、彼の意地が垣間見えた。
俊輔の加入をきっかけに、眠れる天才が覚醒をしてくれれば二重の喜びである。
この試合は長いシーズンのたった一試合に過ぎないけれど、今年のマリノスは面白くなりそうだ。
[ 関連エントリー ]