Photo by Francesco Rachello

僕はブログを書き始めて半年ちょいになるけれど、これほど書く気が起きない記事は初めてだった。

いや正確に言うと、先月の U-17女子ワールドカップ決勝で日本が韓国に敗れた時も、本当にキーボードを叩く指が重かった。

ただあの時は、日本女子サッカー界初の世界大会準優勝ということで、まだ 10%くらいは希望が残った部分もある。

しかし今回は違う。
今回は絶望感しか残っていない。

日本がまたもや韓国に敗れ、そして2大会連続で U-20ワールドカップへの出場権を逃した、AFC U-19選手権である。

日本代表、思いがけない2点のアドバンテージ

この試合で日本が苦戦するのは、試合前からある程度は想定されていたことだった。

この大会のグループリーグで日本は、3戦全勝という理想的な形で1位通過を決める。
ただし、内容はとてもそれに見合うようなものではなかった。

それだけに、決勝トーナメント1回戦で当たる宿敵・韓国には、厳しい戦いを強いられるであろうことは、おそらくグループリーグを観戦したほとんどの方が感じたことだろう。

そしてその大方の予想通り、日本は立ち上がりから一気に韓国に押し込まれる。

球際の攻防でことごとく競り負け、空中戦でも日本より平均身長で5cm高い(181cm)韓国にほぼ完敗。
特に 170cm台の小兵を並べた日本の DFラインは、韓国の FWに空中戦で競り負け続けた。

しかし、グループリーグでもラッキーな形から得点を奪ってきた日本は、この試合でもワンチャンスをものにする。

14分、エース・宇佐美貴史のシュートから生まれた CK。
このコーナーの流れから、遠藤航がヘッドで竸ったボールがルーズボールになる。

このこぼれ球に反応したのが、ここまで2ゴールを挙げている日本のハイタワー、指宿洋史だった。

フリーでボールを拾った指宿はワントラップしたあと、このシュートを冷静に決めてゴールゲット。

圧倒的に押し込まれていた日本が、少ないチャンスの中から先制点を奪い取ったのである。

思いがけずに優位な立場に立った日本。

その後も韓国に押し込まれる時間帯が続くものの、集中した守りで何とかこれをしのぎ続けた。

そして耐え続けた日本に、またしてもチャンスが訪れる。

29分、日本のスローインが指宿洋史に渡る。

これを後ろ向きに受けた指宿が、DFのマークを受けながらも強引に体を反転させて、ドリブル突破を試みる。
たまらずこれを韓国 DFが引き倒して、日本に PKが与えられた。

キッカーは指宿自身。

この PKは一度は韓国 GKにストップされてしまうものの、動き出しが早いとして蹴り直しに。
そして2本目をキッチリ決めて、日本が圧倒的劣勢の中、2-0とリードに成功した。

まるで UAE戦を再現したかのような、試合内容に反するゲーム展開。
日本の勝ち運は、この試合でも発揮されるのか…と思われた。

しかし日本が歓喜に沸いたのは、この瞬間までだったのである。

日本を襲った悪夢

ここからの 15分間は、日本にとっては悪夢以外の何者でもなかった。

まずは 2-0とした直後の 32分。
韓国のロングボール1本で DFの裏を取られて、あっさりと1点を返される。

そこからは、ただひたすら猛攻を浴びる展開。

韓国の攻撃はロングボールを主体とした単調なものだったけれども、単調ながらもその精度がズバ抜けて高い。
GKから、DFラインから正確なロングフィードが出ては、それを屈強な FW陣が丁寧に落として、セカンドボールを拾った周囲のアタッカーたちがガンガンシュートを狙ってくる。

たったそれだけのことだけども、1対1の局面でことごとく敗れた日本は、このシンプルな攻撃の前に押し込まれ続けた。

そして前半終了間際の 45分、ついに防波堤は2度目の決壊を許す。
韓国に CKから押し込まれて 2-2の同点に。

さらに最悪だったのが、その直後のロスタイム。

ゴール前で FKを与えてしまうと、この直接 FKを決められて、2-3と逆転を許してしまう。

決して厳しいコースではなく、GK中村隼は一度はキャッチしかけたけれども、手前で難しいバウンドをしたのか、このボールを後逸してしまう。

ミスという最悪の形から、日本は逆転弾を奪われてしまった。

後半に入ってもゲーム内容で完全に劣勢だった日本に、追いつく力は残っていなかった。

期待の宇佐美貴史は前線で孤立。
イライラが募ったか、時間を追うごとに宇佐美自身のミスも増えていった。

GK中村隼は1対1の場面を止めるなど、前半のミスを挽回する好セーブを何度か見せていたけれども、中村のこのファインセーブがなければ点差はさらに開いていただろう。

それでも 72分、永井龍が投入されると、日本のリズムも多少好転を見せる。

宇佐美貴史のキープから永井にボールが渡り、この永井のシュートがクロスバーを叩く惜しい場面も見られた。

しかし実力差は如何ともしがたく、けっきょく試合は 2-3のままタイムアップ。

日本は絶対に負けてはいけないこの試合で敗れ、2大会連続で U-20ワールドカップへの出場権を逃した。

崩壊した日本代表

試合後のインタビューで日本の布啓一郎監督は「結果を出せなかったのは私の責任」といったんは責任を認めたものの、その後に「日本はもっとテクニックをつけていく必要がある」と、敗因を選手の技術の差に求めた。

同じインタビューで、この日は2ゴールとひとり気を吐いた指宿洋史は「言いたいことは色々あります」と、怒りをあらわにする。

このチームが、チームとしての一体感を有していなかったことを伺わせるようなひと幕だった。

それにしても、2大会連続での予選敗退は、日本にとっては致命傷と言ってもいいほどの痛手である。

2012年のロンドン五輪は、ユース年代でともにアジアで敗退した2つの世代で戦わなくてはならなくなった。

柿谷曜一朗の世代と宇佐美貴史の世代が U-17ワールドカップには出場しているとは言っても、その上の世代でアジアを勝てなかったことは、選手たちにとっては精神面で大きなハンデになるだろう。
ロンドン五輪の予選は厳しい戦いを強いられるだろうし、この五輪の出場も逃すようなことがあれば、日本は国際経験という点で、アジアのライバルたちに大きく遅れをとってしまうことになる。

アジアにはオーストラリアというライバルが加わったし、ユース年代の成績を見ても、韓国や中東勢が一気に力をつけてきている。
これまでアウトサイダーだった中央アジア勢や東南アジア勢も、これからは楽に勝てる相手ではなくなってくるだろう。

こんな中、若年層の国際経験が乏しい日本代表が、仮にフル代表でワールドカップ出場を逃すようなことになれば、サッカー人気の一定の低下は免れない。
まだ代表人気に依存する部分の大きい日本サッカー界にとっては、これは死活問題とも言える。

いったい、どうしてこんな事になってしまったのだろうか。

日本サッカー協会の冒した過ち

まず何より僕は、日本サッカー協会にユース年代への危機感を感じないのだ。

2年前に同じ AFC U-19選手権で敗れた際、日本は決勝トーナメントに進出した時点で、A代表合流のために、チームのエース格だった香川真司を離脱させた。
香川と並んでこの年代の代表格だった金崎夢生に至っては、ナビスコカップ決勝を優先して招集すらされなかった。
そして日本は負けた。

当時 JFAの会長だった犬飼基昭氏はドイツ志向の強い人物で、「ドイツではユース代表よりもクラブを優先する。よりレベルの高い環境でプレーしたほうが選手は伸びる。」と発言して、明らかにアンダー世代への選手招集に消極的な姿勢を見せていた。

しかし僕は当時から、この発言に大いに疑問を抱いていた。

AFC U-19選手権や U-20ワールドカップに出場するより、Jリーグに出場したほうが選手が伸びるというのは、本当だろうか?
僕にはそうは思えない。

確かに、単純にレベルだけを比べれば、若年層の選手だけの国際大会よりも、Jリーグのほうがレベルは上かもしれない。

しかし、AFC U-19選手権のように、国の誇りをかけて死に物狂いで立ち向かってくる相手に「絶対に負けられない戦い」をする、そのヒリヒリするような真剣勝負の感覚。
または U-20ワールドカップで、たとえばアフリカ勢のような、Jでもそうお目にかかれないほどの異次元の身体能力を持つ選手と試合をする経験。
あるいは異国の地で、全く違った生活環境・ピッチ状態でプレーする経験。
そして日本の代表として日の丸を背負って戦うという経験は、Jでは得難いものではないだろうか。

若い選手であればあるほど、そういった国内では味わえない経験をすることで、成長する部分も大いにあると僕は考えている。

そういう意味で、犬飼会長のユース代表軽視の態度には疑問を感じたし、前回の U-19の敗退は協会の責任に負うところが大、と僕は考えていた。

しかし悲しいかな、歴史はまた繰り返されてしまう。

崩壊した「プラチナ世代」

今回の代表チームは「プラチナ世代」と呼ばる 92年生まれの世代を含む、才能の宝庫だった。

今大会に招集されていない有望選手の名前を挙げれば、原口元気・高木俊幸・高木善朗・小野裕二・宮吉拓実・宮市亮・柴崎岳・小島秀仁・茨田陽生・鮫島晃太ら、ビッグネームがズラリと並ぶ。

このうち宮市亮は怪我で招集外らしいけれども、その他の選手はチーム事情を優先させたか、時期尚早と判断されたということだ。

しかし結果的にこれらの有望選手たちを招集しないまま、今回日本は、またしてもアジアで敗れた。

しかも内容的にもチグハグな試合が続いた上で、である。

今回の代表メンバー以上に優れた選手がこの世代にいなかったとは、僕にはとても思えない。

クラブ事情もわかるけれども、それではJで優勝争いをするクラブ事情をおして代表に宇佐美貴史を参加させた、ガンバ大阪はいったい何なのだということになってしまう。

極論になるけれども、クラブ事情ばかりを優先させていたら先発の 11人全てが、本来は控えの力量しかない選手が並ぶ可能性も考えられるわけだ。

もしそれでワールドカップ出場を逃した場合のリスクを、協会は真剣に考えていたのかと聞きたい。

強化合宿にたまに選手が呼べない、というようなことは、クラブ事情によってはあっても仕方がないところだろう。

ただ、本番にまでベストメンバーが組めないというようなことでは、アジアは勝ち抜けない。

韓国もベストメンバーではない、というようなことは関係ないと思う。
少なくとも今の日本は、アジアでももう突出した力を持った国ではなくなってきているのだから。

結果的に日本は、2年前の敗戦から何も学んでいなかった。

世界大会の出場を逃し、彼らのキャリアに空白のページが刻まれた時点で、僕の中では「プラチナ世代」は崩壊した。

いま日本のサッカー界がすることは、現実を見据えることだ。

また2年後、同じ過ちが3回繰り返されるようなことだけは、絶対にあってはならないはずなのだから。

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