Photo by Jaume Meneses

10月も半ばを過ぎて、季節はいよいよ秋である。

ほんの1ヶ月前まではあんなに猛暑だったのに、急激に季節は冬へ向かって走りだした。
今年の残る2ヶ月が終わるのも、きっとあっという間だろう。

そしてこの時期になると気になってくるのものの一つが、バロンドールの行方である。

生まれ変わるバロンドール

今年からバロンドールは、大きく生まれ変わることになった。

フランス語で「黄金の球」を意味するこの賞は、もともとは 1956年にフランスのサッカー専門誌『フランス・フットボール』誌が創設した、その年のヨーロッパで最も活躍した選手に贈られる年間最優秀選手賞だった。

既に 50年以上の歴史を誇るこの権威ある賞は、はじめはヨーロッパでプレーするヨーロッパ人選手のみを対象として選考がなされていたけれども、1995年に大きなターニングポイントを迎える。

この年、バロンドールはヨーロッパ人選手に限らず、ヨーロッパでプレーする全ての選手を対象とする賞へと門戸を開放。
当時の世界的な選手はすでにほとんどがヨーロッパでプレーしていたので、事実上の世界最優秀選手賞となったのだ。

そしてこの年、バロンドールは初の非ヨーロッパ人選手である “リベリアの怪人” 、ジョージ・ウェアの手に渡ることとなる。

さらに 2007年には、ヨーロッパだけでなく全世界でプレーする選手を対象へと、さらに規模を拡大。
名実ともに世界一の選手を決定する賞へと発展した。

そしてこのバロンドールがこのたび、FIFAが主催していた「FIFA最優秀選手賞」と統合。
フランス・フットボールという一私企業の手を離れ、いよいよこの伝統ある賞を FIFAが管理する事となったのである。

そして今年は、FIFA主催となってから初のバロンドールが選定される年となるのだ。

混戦を極める賞レース

今年のバロンドールは混戦模様である。

今年はワールドカップイヤーだったので、通常であればワールドカップで活躍した選手が選ばれることが半ば慣例となっている。

実際、1990年以降のワールドカップイヤーでバロンドールを受賞した選手は、ローター・マテウス、フリスト・ストイチコフ、ジネディーヌ・ジダン、ロナウド、ファビオ・カンナヴァーロ。
ワールドカップで優勝・得点王・MVPなど、何かしらの際立った実績を残した選手がバロンドールを手にすることが続いていた。

それでいくと今年は、スペイン代表からバロンドールが生まれる可能性が高いということになる。

しかし今年のワールドカップでのスペインは、個人の際立った能力というよりは、圧倒的な組織力で優勝を手にしたチームだった。

それだけに、スペインの最優秀選手を一人選べと言われても、これがなかなか難しい。

そもそもワールドカップでの MVP選考からして、今年は混戦そのものだった。

MVPは普通は優勝したチームから選ばれるものだけど、今年のワールドカップの MVPは優勝したスペイン代表ではなく、準優勝したオランダ代表でも3位のドイツ代表でもなく、4位だったウルグアイ代表のディエゴ・フォルランだった。

フォルランは大会の得点王でもあったけれども、その得点王からして、今年は4人が同じ得点数で並んで賞を分け合ったほどの大混戦だった。

そうなってくるとバロンドールの行方はワールドカップだけでなく、UEFAチャンピオンズリーグの成績も考慮しなければいけなくなってくる。

しかしこちらも、優勝したインテル・ミラノを始め、上位に進出したチームの主力の多くがワールドカップでもベスト4以上に進んでいるのだからややこしい。

去年のバロンドールに輝いたリオネル・メッシや、その前年のクリスティアーノ・ロナウド、さらにその前年のカカーなどは明確に受賞が予想できたけども、今年は本当に分からない。

ちなみに僕の考える候補者はざっと 10人近くにも膨れ上がる。

名前を挙げるとしたら、スペインからはダビド・ビジャ、シャビ・エルナンデス、アンドレス・イニエスタ、カルレス・プジョル、イケル・カシージャスあたりだろうか。
オランダからはウェズレイ・スナイデル、アリエン・ロッベン、ドイツからはトーマス・ミュラー、そしてウルグアイからディエゴ・フォルランあたり。
あとは大穴で、やはりリオネル・メッシになるだろうか。

このうちの誰がバロンドールになっても驚かないと、僕は思っている。

そしてこの週末は、その “バロンドール・レース” の大本命たちが多く所属する FCバルセロナが、スペインリーグで首位を走るバレンシアCFと対戦する一戦が行われた。

バレンシアの好調な立ち上がり

バルセロナとバレンシアと言えば、この夏に長年バレンシアのエースとして活躍したダビド・ビジャが、バルセロナへと移籍したことも記憶に新しい。

しかし意外にも、大エースを引きぬかれたバレンシアが、今シーズンここまではリーガ・エスパニョーラで首位を快走していた。
対するバルセロナは、前節まで4位と調子が上がらない。

対照的な状態の両チームの対戦は、その調子をそのまま現したような立ち上がりを見せる。

先制点が生まれたのは 38分。

カウンターから左サイドを抜けだしたバレンシアのサイドバック、ジェレミー・マチューがクロス。
これを中央で合わせたパブロ・エルナンデスがゲットして、好調バレンシアがまず試合をリードすることに成功した。

ダビド・ビジャ、ダビド・シルバという2大エースが抜けたバレンシアは突出した存在こそいなくなったものの、伝統の組織力は健在。
集中したディフェンスで、この日もバルセロナの攻撃を封じにかかった。

対するバルセロナは今シーズンここまで、ホームのカンプ・ノウで1勝1分1敗と、その強さを発揮できていない。

この日もリードを許してしまい、カタルーニャの空に暗雲が立ち込め始めた。

しかしこの日は、バルセロナが誇る「千両役者」たちが、そんな嫌なムードを弾き飛ばしてみせたのである。

大活躍を見せた「千両役者」たち

反撃の狼煙があがったのは、後半開始早々の 47分だった。

魅せたのはバルセロナとスペイン代表が誇るこの2人。

中盤でボールを持ったイニエスタが、シャビへとパスを出す。
このボールを受けたシャビが絶妙なタイミングでボールを送ると、あうんの呼吸でイニエスタとのワンツーパスが成立。

バレンシアの鉄壁の守備陣のわずかな隙間を抜けだして、中央の包囲網を突破したイニエスタがバレンシアゴールへとボールを流し込み、試合は 1-1の振り出しに戻った。

この1点で勢いづいて、後半はボールが回るようになってきたバルセロナ。

そして 63分。
コーナーキックの流れから、再びボールを受けたのはシャビだった。

シャビがゴール前にクロスを上げると、この絶妙なボールがカルレス・プジョルの頭にドンピシャで合う。

プジョルのヘディングが豪快に決まって、バルサが 2-1と逆転に成功した。

逆転弾を決めたプジョルは、この日は本職の守備でも大活躍。
まさに「これぞキャプテン」と言うべき、闘志あふれるプレーを随所に見せていた。

また古巣対決に燃えたビジャも、GKセサル・サンチェスの好守に阻まれてノーゴールに終わったものの、何度かの決定機に絡む活躍。

終わってみれば役者たちがそれぞれの持ち味を発揮して、バルセロナの快勝でゲームの幕は降りたのである。

「世界ナンバーワン」をめぐる至高のつばぜり合い

バロンドールは世界中のあらゆる選手にとって夢のトロフィーになるのだろう。
そして多くの有力選手たちにとって、今年はそれを手にする千載一遇のチャンスでもある。

下馬評ではイニエスタが有利と言われているけれども、彼とて怪我で休んでいた時期も多くて、昨年のメッシのようなずば抜けた活躍を見せたわけではない。

バロンドールの行方は、まだ混沌としていると言っていいだろう。

こうなってくるとあとは、残る2ヶ月でどれだけの印象を残せるかも、賞レースの大事な要素になってくるのかもしれない。

そしてこの日のバルセロナの「候補生」たちは、みな甲乙つけ難いだけの活躍ぶりを見せていた。

まだまだ終わりを見せない、「世界ナンバーワン」の称号をめぐる至高のつばぜり合い。

チームの順位もさることながら、年末まではこの個人賞レースの行方にも注目していきたいと思う僕なのだった。

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