「最強のチャンピオン」となったバルセロナとレアル・マドリード/リーガ・エスパニョーラ@バルセロナ 4-0 バリャドリッド

実に99ポイント。
今シーズンにバルセロナが稼いだ勝ち点の数である。
リーガ・エスパニョーラはバルセロナとレアル・マドリードが熾烈な優勝争いを続ける中、今週末に最終戦が行われた。
前節までリーガ首位を走っていたバルセロナと、それを勝ち点1差で追っていたレアル・マドリード。
最後の最後までもつれた今シーズンの行方は、けっきょく最終戦でバルセロナがバリャドリッドを 4-0 で撃破し、2年連続のリーガ制覇を実現させたのである。
スペインリーグはチーム数が20と多いので、試合数自体も他国のリーグと比べれば多いんだけども、それにしても38試合で勝ち点99というのは驚異的な数字である。
1試合平均にすると約2.6ポイント。年間を通じて、実に15ポイントしか落としていない計算になる。ほとんどあり得ないほどの高成績だ。
いかに今シーズンのバルセロナが強かったかが証明されたわけだけども、さらに驚きなのが、そのバルサとわずか3ポイント差でフィニッシュしたチームがもう一つ存在した事である。

「最強チーム」のバルセロナと、「最強の敗者」レアル・マドリード

昨シーズンはリーガ・エスパニョーラとUEFAチャンピオンズリーグ、クラブワールドカップを含む6冠を達成し、史上最強チームとの呼び声も高かったバルセロナ。
しかしライバルのレアル・マドリードも、オフにクリスティアーノ・ロナウドやカカーらの超大型補強を敢行し、「第2次銀河系軍団」の結成と謳われた。
シーズン開幕前にはこの2強による、史上最大クラスのマッチレースになるのではないかと予想されていた今シーズンだけれども、実際にそうなったわけである。
1位のバルセロナの勝ち点は99、2位のレアル・マドリードの勝ち点は96。
2位レアルとと3位バレンシアとの間には、実に25ポイントもの大差がついた。
裏を返せばこれだけの勝ち点を稼ぎながらも、レアル・マドリードは優勝できなかったのである。
彼らからしてみれば、これほど悔しいシーズンも無かったことだろう。
しかしレアルがいなければ、今シーズンのリーガはバルセロナが圧倒的なスピードで優勝を決めていてもおかしくはなかった。
バルサもまた、これほどの勝ち点を稼ぎながらも、最終節まで優勝を決定する事ができなかったのだ。
結果的には敗れたものの、レアルの存在が今季のリーガをここまで面白くしたのは紛れもない事実だろう。
そういう意味では、今季のレアル・マドリードは “史上最強のグッド・ルーザー” だったとも言えるのではないだろうか。

本物のフットボールにおける勝者とは?

もはや「超人的」としか言いようがないほどのレベルにまで強化されたこの両チーム。
テレビを通じてとは言え、彼らの戦いぶりを目の当たりにできた僕たちは幸せ者である。
日常生活には大なり小なり困難がついて回るものだけども、それは世界中どこでも大きな違いはないだろう。
誰でも仕事をすれば嫌なことも起こるし、病気とか失恋とか、いろいろな苦難に直面して落ち込む日だってあると思う。
でもそんな日々を一瞬でも忘れさせてくれるのが、一流のフットボーラーたちが創造するアートの世界である。
彼らのプレーの一つ一つが見る者に驚きと感動を与え、世界中の人々をハッピーな気分にさせるのだ。
勝ち点99を奪って優勝したバルセロナと、勝ち点96を奪って2位となったレアル・マドリード。
しかし僕は今シーズンは、この両チームともがチャンピオンと呼ばれる資格があったように感じた。
稼いだ勝ち点の数もさる事ながら、両チームがフットボールの世界に見せつけた芸術的なプレーの数々。
それを目の当たりにしたファンたちにとっては、2位となったレアルと言えども、決して敗者だとは映っていないのではなかろうか。
確実に言えることは、バルサとレアルの両者がいなければ、今シーズンのリーガの白熱の展開は存在しなかったということである。
そして両チームがいなければ、リーガ・エスパニョーラはリーガ・エスパニョーラではなくなってしまうだろう。
本物のフットボールの前に敗者は存在しない。
今シーズンの両チームが最後まで見せてくれたスペクタクルの数々は、その真理を改めて僕たちに教えてくれたのではないだろうか。

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