城南一和、そして決戦へ/クラブワールドカップ@アルワハダ・アブダビ 1-4 城南一和天馬

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ある意味では、至極順当な結果である。

AFCチャンピオンズリーグ決勝でも素晴らしい戦いぶりを見せてアジアチャンピオンに輝いた城南一和天馬が、AFCチャンピオンズリーグではグループBの最下位で敗退したアルワハダを玉砕。

力関係で言えば、真っ当すぎるほど真っ当な結果だったと言えるだろう。

とは言っても、両チームの戦力に、それほど大きな差があったわけではなかった。

城南は外国人選手たちを軸に、韓国代表選手たちが肉付けをする好チームである。

FWのジェナン・ラドンチッチ(元ヴァンフォーレ甲府)、マウリシオ・モリーナ、DFササ・オグネノブスキーの3外国人はともに素晴らしい選手で、その脇を固める FWチェ・ソングク(元柏レイソル)、GKチョン・ソンリョンらの韓国人選手たちも極めてハイレベル。
攻守に穴の少ない、完成度の高いチームという印象だ。

しかし対するアルワハダも、主力の顔ぶれは城南に全く引けは取らない。

FWフェルナンド・バイアーノ、MFウーゴ・エンリケ(元東京ヴェルディ)、マグロン(元横浜マリノス)の3人のブラジル人は、アジアレベルでは非常に優秀な選手たちで、そこに UAEの英雄、イスマエル・マタルが加わる。

その攻撃の破壊力は、ツボにハマれば城南の牙城を充分に脅かすだけのものだった。

現にこのクラブワールドカップ準々決勝も、前半30分までは、どちらに転ぶか予想のつかない展開になった。

立ち上がりの4分、アルワハダのクリアミスを拾った城南のモリーナが豪快に突き刺して先制。
その後しばらくは、城南が圧倒的に押しこむ時間帯が続く。

空中戦ではラドンチッチが圧勝し、地上戦ではチェ・ソングクがキレキレのドリブルでアルワハダのディフェンス陣をを切り裂いていく。

しかしその後、徐々にペースを盛り返したアルワハダは 27分、右サイドバックのイッサ・アーメドのクロスをバイアーノがドンピシャヘッドで決めて同点に。

この時点までは、勝負の行方は全くの互角だったと言っても良かった。

しかしその3分後、コーナーキックからオグネノブスキーに決められた時点で、アルワハダの勝機は大きく減退することになる。

その後、激しい肉弾戦の様相を呈し始めた試合で、主導権を握ったのは城南一和。

71分には、カウンターからチェ・ソングクがミドルを叩き込んで 1-3。

最後は 81分、モリーナのレーザービームのようなフリーキックにチョ・ドンゴンが合わせて 1-4。

終わってみれば圧倒的大差で、アジアチャンピオン城南一和が、実力通りに準決勝進出を決めたのである。

城南一和を待つ準決勝の行方

開催国 UAEのクラブ、アルワハダは、オイルマネーをバックにした潤沢な資金を持つクラブだ。

それだけに外国人選手の質は高く、その点では城南と比較しても遜色の無い戦力を誇っていたと言えるだろう。

しかし反面、国内の選手のクオリティーには大きな差があった。

マタルと GKアデル・アルホセニ以外の UAE人選手は、城南の韓国人選手たちと比べると見劣りする部分が多く、特に ディフェンス陣には課題が多かった。

結局のところディフェンスに質の高い選手を揃えられなかった選手層の薄さが、アルワハダと城南との差を分けたように僕には思えた。

とにかく城南一和はこれで準決勝進出が決定。

次はいよいよヨーロッパチャンピオン、インテル・ミラノとの対決が実現することになる。

実際のところ、今の城南は強い。

ラドンチッチ、モリーナ、チェ・ソングク、オグネノブスキー、チョン・ソンリョンとセンターラインに軸が通っていて、抜け目のない強さを持っている。

前身のトヨタカップが、ヨーロッパと南米のチャンピオンチーム同士の対戦に限定されていたのを受けて、他の大陸のチームにも世界チャンピオンとなるチャンスを与えるために創設されたクラブワールドカップ。

しかしこれまでの6大会では結局、ヨーロッパと南米以外のチームが決勝に進出した例はない。

インテルと城南との対戦は、常識的に考えればインテルに圧倒的に分がある。

しかし国内リーグでも UEFAチャンピオンズリーグでも不安定な戦いを続ける現在のインテルの状況を見ると、意外と城南にもチャンスはあるのではないだろうか。

両チームのベースとなる実力差は極めて大きいだろうけれども、展開次第ではそれが覆る時もあるのがフットボールである。

今のところ夢物語でしかない「アジア勢の決勝進出」。

しかし、その夢が実現する可能性も、決してゼロではない。

続く準決勝、城南一和の「ジャイアント・キリング」に、僕は俄然期待してしまうのである。

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