僕は神奈川県横浜市の出身なので、川崎はお隣りの街である。

ただ、実家は横浜と言っても市内の南端だったので、北側にある川崎はあまり接点の無い土地でもあった。

もともと工業の街として発展した川崎は、最近でこそ商業施設がちらほら増えてきたものの、もともとはそれほど遊びに行く場所の多い街でもなかった。

そういった理由から、お隣りにも関わらず僕はそれほど川崎に足を運んだことがない。
東京へはしょっちゅう行ったけども、川崎は僕にとっては「東京に行く時に通過する街」というイメージのほうが強かったのである。

人口140万人を抱える大都市ながら、市外の人間からすると、川崎はそれくらい地味な印象の街だったのだ。

プロ不毛の地だった街、川崎

かつて川崎には2つのプロスポーツチームが存在した。

プロ野球のロッテオリオンズとJリーグのヴェルディ川崎。

しかし、ロッテは観客動員に大苦戦。
ホームの川崎球場は、外野席で鍋を囲む人が出るほど「閑古鳥が鳴く球場」として名を馳せ、その後にロッテは千葉へと移転していった。

一方、Jリーグ開幕当時に無敵を誇ったヴェルディ川崎は、はじめから川崎(等々力競技場)をホームとすることを一時的な腰掛けとしてしか考えていなかった。

結局ヴェルディは、東京スタジアム(現味の素スタジアム)の完成に伴って東京へ移転したため、川崎をホームにした期間は10年にも満たない短さだった。

それくらい、川崎というのはプロスポーツが根付かない街だと考えられていたのである。

東京と横浜という大都市に挟まれ、「あえて川崎で商売をする必要がない」と思われてしまう地味な街、川崎。

しかし、そんな川崎のイメージを劇的に変えようとしているチームがある。
言わずと知れた、川崎フロンターレである。

フロンターレの快勝劇

今季のAFCチャンピオンズリーグでは4試合でわずか1勝と、序盤から苦戦を強いられていた川崎フロンターレ。

昨年まで長く指揮をとった関塚隆監督が退任したことに加え、大黒柱の中村憲剛が負傷離脱。
さらに稲本潤一や小宮山尊信らの新戦力がフィットするまで時間が必要だったこともあって、シーズン当初はACLでもJリーグでもパッとしない試合が続いた。

しかし、コンビネーションの問題が解消の兆しを見せるにつれて、チームは徐々に波に乗り始める。

この日の試合でも、フロンターレは序盤から城南一和を圧倒。
前半わずか4分で先制点を奪うと、その後も2点を追加して、3-0 の快勝で試合を締めくくった。

この勝利によって、次節の最終戦で北京国安に勝てば、自力でのグループリーグ突破が決定するところまで形勢を立て直したのである。

地味なチームから攻撃的なチームへ

そんな川崎フロンターレも、もともとは地味なチームであった。

Jリーグ創立当時はまだアマチュアで、富士通サッカー部としてJFLに所属。
その後J2を経て2001年にJ1初昇格を果たしたものの、1年で再びJ2に降格。
またJ1に返り咲くまでに、実に3年の歳月を要した。

そんなフロンターレが変わったのは、2004年に関塚隆が監督に就任してからである。

Jの盟主・鹿島アントラーズで長くコーチを務めた関塚は、フロンターレの監督就任1年目でJ1昇格を達成。
昇格後も1年目でリーグ8位、2年目には2位と躍進し、J1での在任5シーズンで3度の2位に輝くなど、チームをリーグ屈指の強豪へと成長させた。

そんなフロンターレ躍進の原動力となったのは、何と言ってもその攻撃力だ。

これまでも中村憲剛、ジュニーニョ、我那覇和樹、チョン・テセといった攻撃のタレントを数多く擁し、今やその破壊的な攻撃はチームの代名詞ともなった。

ところでフロンターレが攻撃的なチームに変貌したのは、単なる偶然だったのだろうか?

前述したとおり、それまで川崎ではプロスポーツチームが定着していなかった。
ヴェルディはともかく、ロッテは毎年最下位争いが定位置になるほど地味なチームで、当然のように人気は低かった。

川崎にプロチームを根付かせるには、攻撃的で魅力あるチームが必要だ。

フロンターレのフロント陣がそう考えたとしても不思議ではない。
そう思うと、ひょっとしたらフロンターレの攻撃力は偶然の産物ではなかったのかもしれない。

いずれにしても、結果的にイメチェンは成功だった。
今の川崎フロンターレは爆発的な攻撃力が売りの、リーグ屈指の魅力あるチームへと変貌を遂げたのである。

川崎のイメージを変えたフロンターレ

気がつけば今では、フロンターレの人気は完全に川崎の地に根をはったと言っていい。

この日も等々力には、1万人を超えるサポーターが来場していた。

僕も等々力には何度か観戦に行ったことがあるけども、スタジアムがあるのは駅から1kmほど離れた住宅街の中である。
平日の夜に応援しに行こうと思ったら、それなりに気合いが必要になる場所だ。
それでもこれほどの観衆が足を運んだということが、フロンターレの現在の人気ぶりを物語っているように思う。

フロンターレの躍進で川崎のイメージは変わった。

少なくとも僕の中ではもう、かつての地味な工業地帯のイメージはない。
川崎といえば疾風怒涛の攻撃力を誇る水色の軍団であり、そこにあるのはアグレッシブでパワフルなフロンターレのサッカーの、ポジティブなイメージだ。

こうしてフロンターレが川崎のイメージを変えたことは、ある意味では試合で勝利すること以上に価値があるのかもしれない。
今のフロンターレの活躍を、お隣り出身の神奈川人として僕は誇らしく感じるし、地元のファンであればなおさらだろう。

そんなフロンターレが次に目指すもの。

それはただ1つ。
タイトルの獲得に他ならない。

J1昇格後、何度も片手が届きながらも、フロンターレはまだ1度も優勝を経験したことがない。

川崎らしいと言ってしまえばそれまでだけども、フロンターレにはそんな川崎の持つ「2番手」なイメージを、是非とも変えてもらいたいと思う。

そしてそれが実現したとき。

フロンターレは本当の意味での、不滅の “川崎の星” となるはずである。

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