アジアで彼らが手に入れたもの/ACL@アームド・フォーシズ 2-4 ガンバ大阪

ガンバ大阪に内紛が起こっているらしい。
ことの発端は土曜日のJリーグ、アルビレックス新潟戦。
交代を命じられたペドロ・ジュニオールがユニフォームを叩きつけて、西野監督に対して不満の意をあらわにした。
ペドロはこのまま退団する可能性が高そうだ。
この一件は、何をやっても噛み合わない、今のガンバの姿を象徴しているようにも思える。
J屈指の華麗なパスサッカーで、05年のJリーグ、07年ナビスコ杯、08年ACL、そして08・09年の天皇杯を制し、黄金時代を築いたガンバ。
しかしいま、そのガンバも間違いなく転換期を迎えている。
遠藤保仁、二川孝広、明神智和、橋本英郎の「黄金の中盤」は全員がアラサー世代を迎え、連戦は体力的に難しくなってきている。
他のポジションに目をやっても、若手と言える年齢でレギュラーを獲得しているのは左サイドバックの下平匠のみ。
チームとして、世代交代がうまく行っていない印象を受ける。
ガンバと同じようなパスサッカーで黄金期を築き、おそらく日本サッカー史上最強だったのが、かつてのジュビロ磐田である。
しかしジュビロは、その完成度の高さゆえに若手の台頭を拒み、新陳代謝に失敗した。
結果、近年のジュビロは降格争いをするほどまでに低迷してしまっている。
ガンバには、ジュビロと同じ轍を踏んで欲しくはない。
若手が伸び悩み、対照的にベテランのレギュラーメンバーたちは疲弊し、徐々に歯車が狂ってきているガンバ。
今シーズンはここまでの公式戦、まさかの6戦未勝利。
そんな状況で迎えたこの試合は、まさに今後のガンバの分水嶺となる一戦であった。
結果から見れば、4-2で今シーズン初勝利。
期待の若手・平井将生のハットトリックというオマケもついた。
格下の相手にマークの緩さを突かれ2失点を喫するなど、内容は褒められたものではない。
しかし、それでも勝利という結果を残したことは大きな意味を持つだろう。
これをきっかけに、ガンバがどう変わってくれるのか。
期待しながら見守りたいと思う。
ところでこの試合、相手チームのアームド・フォーシズには、秋吉泰佑という名の日本人選手がいた。
熊本のルーテル学院高校からアルビレックス新潟・シンガポールを経て、アームド・フォーシズでプレーしているらしい。
ヨーロッパでプレーする日本人選手たちは華々しい脚光を浴びるけども、同じ海外組でも、東南アジアでプレーする日本人選手に注目が集まることはほとんど無い。
しかし僕は、異国の地で技を磨く彼らのような選手たちを応援したいと思う。
アームド・フォーシズのプレーを見ても、東南アジアのサッカーレベルは、日本とはまだ差があると言えるだろう。
それでも、海外で生活をするという経験自体が、日本人選手たちをたくましく成長させるはずである。
今後、東南アジアを経て、それから再び日本に戻って活躍するような選手たちが増えてくれれば面白い。
また、今シーズンからタイのムアントン・ユナイテッドに移籍した財前宣之のように、日本で活躍した選手が、キャリアの終盤をアジアのリーグで送るような例も興味深い。
なんでも財前は、当初は引退を考えていたそうだが、代理人の田辺伸明氏がタイへ売り込みをかけ、今回の移籍に至ったそうだ。
ちなみに財前の今季年棒は1,000万円ほどだという話である。
アジアに目を向ければ、才能ある選手がまだまだプレーできるし、まだまだ稼げる環境があるのだ。
Jで戦力外通告を受けた選手がいても、ぜひサッカーを諦めず、海を渡ってアジアでもう一旗あげてほしいと思う。
それは本人にとっても人生の貴重な経験となるだろうし、アジアのサッカーの発展にも間違いなく寄与するはずである。
そして僕たちも、かつてJリーグにやって来た海外のスター選手たちに、同じように色々な贈り物をしてもらっていたはずなのだから。

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