止められない『銀河系旋風』、レアル・マドリード/UEFAチャンピオンズリーグ@レアル・マドリード 2-0 ACミラン


Photo by Jan S0L0

今節の UEFAチャンピオンズリーグ、最大の目玉カードはこの試合を置いて他にないだろう。

“白い巨人” レアル・マドリードと “ロッソ・ネロ” ACミラン。

欧州に名を馳せる名門中の名門の両チームが、レアル・マドリードのホームスタジアム、サンチャゴ・ベルナベウで対峙した。

ともにオフシーズンには積極的な補強を行った両チーム。

レアル・マドリードはジョゼ・モウリーニョを監督に招聘し、アンヘル・ディマリア、メスト・エジル、サミ・ケディラらを獲得。

対する ACミランも、ズラタン・イブラヒモビッチ、ロビーニョといったワールドクラスの選手たちを補強した。

そこにクリスティアーノ・ロナウド、イケル・カシージャス、ロナウジーニョ、アレシャンドレ・パト、クラレンス・セードルフら、昨シーズンから在籍するスーパースターたちが絡む、まさに「夢の競演」。

そのドリームマッチはしかし、その陣容からは想像がつかないほどの一方的な試合展開となったのである。

レアルの披露した “完璧なゲーム”

試合開始直後、両チームがとった戦術は対照的なものだった。

高い位置からの積極的なプレスを仕掛け、早めに両サイドに繋いでワイドなアタックをかけるレアル・マドリード。

対する ACミランはやや深めの守備のブロックを敷いて、ボールを奪ったあとはロナウジーニョ、セードルフらがイブラヒモビッチと絡んで中央から攻撃を組み立てる。

ともに世界を代表するビッグクラブだけに、序盤は内容の濃い引き締まったゲームが展開された。

しかし、その展開に変化が訪れるのに、それほど時間はかからなかったのである。

13分、シャビ・アロンソが倒されて、レアル・マドリードはゴール前正面での FKのチャンスを得る。

良い位置ではあるけれども、距離が近すぎて逆に難しいと言われる場所。
しかし、キッカーのクリスティアーノ・ロナウドにとっては、得意のキック力を披露する絶好の場面だった。

そしてクリスティアーノ・ロナウドの放ったフリーキックは壁と壁の間を貫通し、銃弾のような弾道を描き、ミランのゴールに突き刺さったのである。

エースの決めた先制点に沸くレアル・マドリード。

しかし、その勢いはこれだけでは止まらなかった。

その1分後、”白い巨人” のエースが再び大観衆を魅了する。

14分、左サイドをドリブル突破したクリスティアーノ・ロナウドは、中央でフリーで待つエジルへとクロスを通す。
エジルのボレーシュートは DFに当たってコースが変わり、あっさりとレアル・マドリードが2点目をゲットした。

後半に入ると、試合はもう一方的なレアルペース。
次々とチャンスを作っては、ミランゴールを脅かす時間帯が続く。

ミランもロビーニョやインザーギといったアタッカーたちを投入するものの、流れは変わらず。

けっきょく圧倒的な実力差を見せつけて、レアル・マドリードがホームでのビッグマッチで完璧な勝利を手に入れた。

止められない「銀河系旋風」

それにしてもレアルは強い。

昨シーズンも強いチームだったけれども、今季はちょっと次元の違う強さを感じさせるほどである。

その強さの陰に、モウリーニョ監督の影響があるのは間違いないだろう。
この昨シーズンの UEFAチャンピオンズリーグ優勝監督は、銀河系軍団に確かな規律と戦術意識を植えつけた。

モウリーニョ監督の就任後レアルは、プレシーズンから18戦して14勝4分けと無敗。

この日の試合でも完璧に近い戦術的タスクを見せつけては、高度に組織化されたプレッシングでボールを網にかけて、後半のミランはほとんどボールを前に運ぶことすら許されなかった。

そしてそんなレアル・マドリードに、また新たな「銀河系」の選手が加わりそうな気配である。

マンチェスター・ユナイテッドの絶対エース、ウェイン・ルーニーが、この冬にチームを退団することがほぼ決定的となったのだ。

退団の理由は当初、ファーガソン監督との確執と報じられていたけれども、真相は違った。
財政難から満足のいく補強のできないマンUに業を煮やしたルーニーが、タイトルの狙えるチームへの移籍を熱望しているようだ。

そしてその移籍先の最右翼と見られているのが、レアル・マドリードである。

世界最高クラスの選手を獲得できるだけの巨大な資本力を持ち、かつてマンUでルーニーとゴールデンコンビを組んだクリスティアーノ・ロナウドも在籍。
しかもレアル側も、センターフォワードの選手層に課題を抱えている。

何より、ルーニーもレアルも、ビッグタイトルに恵まれなかった昨シーズンの汚名を返上したいという野心を持つことで一致している。
ルーニーの銀河系軍団入りは、かなり高い確率だと見てもいいだろう。

そしてこれが実現した時には、間違いなく他チームにとっては脅威となるチームが誕生することになる。

ウェイン・ルーニーという最後のワンピース。

それが埋まったとき。

レアル・マドリードの9年ぶりの欧州制覇も、いよいよ現実味を帯びてくる。

[ 10.23追記 ] この記事を書いた直後、ウェイン・ルーニーの急転直下のマンチェスター・ユナイテッド残留、5年間の契約延長が発表されました …ってちょっと!!

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