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その点差は、内容に見合ったものではなかった。
このミッドウィーク、いよいよ世界最高レベルのフットボールの祭典と言えるヨーロピアンフットボールの見本市、UEFAチャンピオンズリーグが開幕。
その初戦で見られたのは、名将モウリーニョを招聘し黄金時代の復興をもくろむ、『白い巨人』の咆哮だったのである。
カリスマを迎えた銀河系軍団
フロレンティーノ・ペレス会長が復帰した昨季、いきなりクリスティアーノ・ロナウドとカカーという2人の世界最高峰選手を獲得し、銀河系軍団の復活を目論んだレアル・マドリード。
しかし、銀河系のスターたちもリーグではバルセロナ、チャンピオンズリーグではオリンピック・リヨンの前に屈し、シーズンを無冠で終える屈辱を味わった。
そんなレアルにとって、今季最大の補強となったのが、ジョゼ・モウリーニョ監督の招聘である。
昨季、インテル・ミラノを 45年ぶりのヨーロッパチャンピオンに導いた名将は、白い巨人の再建を託され、スペインの地に降り立った。
そしてこの日の試合は、モウリーニョがレアルにやってきてからの3試合目の公式戦となったのだった。
モウリーニョ自身も語っている通り、新監督の指導がチームに浸透するまでは、少なからず時間がかかるものだろう。
ただしこの試合でのレアル・マドリーは、既にその完成形のプロトタイプを見せていた。
この日は絶好調だったサイドバック、マルセロのいる左サイドを起点に、クリスティアーノ・ロナウド、ゴンサロ・イグアイン、そして新加入のメスト・エジル、アンヘル・ディマリアらが小気味良いパス交換で次々とチャンスを創造。
そのコンビネーションは、これが新チームだという事を忘れさせるほどのものだった。
この組織力にさらに磨きがかかってくるわけだから、対戦相手にとっては相当な脅威になるだろう。
僕はこの試合は密かに、レアル・マドリードとアヤックスという、かつてはヨーロッパを席巻した名門対決としても注目していたんだけども、現実は厳しい。
そんなオールドファンのノスタルジックなセンチメンタリズムは、乾いたハンマーで粉々に打ち砕かれた。
両チームの力の差は歴然で、アウェーのアヤックスは、ほぼゴール前でレアルの猛攻を跳ね返すだけの 90分間を余儀なくされたのである。
そして 31分、予想通りアヤックスの防波堤は、白い大波の前に決壊することになる。
レアル・マドリード、ヨーロッパに与えるその戦慄
レアルの得た左コーナーキック。
シャビ・アロンソの正確なキックはアヤックスのマークの急所を突き、アヤックスDF陣のオウンゴールを誘った。
これでレアルが先制。
その後も猛攻を続け、シュートの雨を降らすレアル・マドリード。
GKマルテン・ステケレンブルフのビッグセーブもあって何とか耐え忍んだアヤックスだったけれども、73分には見事なパス交換から完全に最終ラインを崩され、イグアインに2点目となるゴールを奪われる。
試合は結局このままタイムアップ。
2-0というスコアで、35本のシュートを浴びせたレアルが順当な勝利を収めたのである。
圧倒的な内容で名門対決を制したレアル・マドリード。
しかしモウリーニョは自らのチームに対して、「まだ子供の集まりだ」と手厳しい。
決定力に課題は残ったとはいえ、今後モウリーニョの戦術が浸透すれば、その存在はヨーロッパ中を震え上がらせるものになるだろう。
ジョゼ・モウリーニョがこれまで、あらゆる国で獲得してきたトロフィーの数々。
そのラインナップが、このマドリードでさらに充実することは確実だろう。
そのタイトルとは、3年ぶりのリーガ・エスパニョーラ優勝になるのだろうか。
それとも。
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