Bedouin, Syrian DesertBedouin, Syrian Desert / yeowatzup

世界で最も「サッカー人気」の低い地域の一つとしては、アメリカ合衆国が知られている。

アメリカでサッカーが流行らない理由の一つとしては、サッカーというのは旧大陸のヨーロパ人の生み出したスポーツであり、フロンティア精神から新大陸に移り住んだ人々の末裔にあたるアメリカ人は、サッカーに代表される「ヨーロッパ的なもの」を毛嫌いする傾向があるからだそうだ。

そしてアメリカ人たちはヨーロッパから輸入したラグビーをアメリカンフットボールに、クリケットをベースボールへと変え、独自の「アメリカンスポーツ」という文化を創り出した。

アメリカンスポーツとサッカーとの相違点を挙げろ、と言われれば色々と考えられるけれども、アメリカ人にとってサッカーを受けつけない一番の理由が「選手がすぐ倒れてファールをもらいに行くこと」なんだそうである。

アメフトに代表されるような、屈強な男たちの体と体のぶつかり合いを好むアメリカ人にとって、そのメンタリティは到底受け入れられるものではないらしい。

しかしサッカー界では、国によって程度の差はあるものの、そういった審判と選手との駆け引きも「試合の一部だ」と考える文化が確かに存在している。

試合時間はストップウォッチで正確にカウントダウンされ、判定にはビデオも使用されて何事も「キッチリと、公平に裁く」のを正義と考えるアメリカンスポーツに対して、ロスタイムというものが存在して、審判の目をくらます行為やミスジャッジのような混沌とした要素が飛び交う中で、いかに機転を利かせることができるか、を競うサッカー(フットボール)という競技は相反する性格を持ち、両者の間にはその理想としている姿からして、大きなギャップが存在するのである。

そしてそういった性質上、サッカーにとって誤審とは、ある意味で試合の一部分だとも考えられている。

だからアジアカップの日本対シリア戦で、審判による明らかな誤審があった時も、個人的にはあまり腹が立つことはなかった。

シリアに与えられた PKは間違いなくミスジャッジだったけれども、それ以前にこのプレーは、GK川島永嗣の完全なクリアミスから始まっている。

格下相手に1点をリードしていながら、付け入る隙を与えてしまった時点で、日本は冒してはいけないミスを冒してしまっていたとも言えるのではないだろうか。

それでも日本にとって幸いだったのは、この PKが「中東の笛」によるものではなく、単なる審判の技量不足が原因で起こったハプニングだったことだ。

このイラン人の主審はその後、帳尻を合わせるかのように日本に PKを与え、自らのミスをオブラートで包みにかかった。

それによって事なきを得た日本は、絶対にクリアしなければいけなかった「勝ち点3」というノルマを、辛くも達成することができたのである。

ヨルダンとシリア、躍進する中東勢

しかし勝ったとは言っても、冷静に振り返れば勝利の美酒に酔えるようなゲームだったとはとても言えないだろう。

日本の緒戦の相手だったヨルダンと、その隣国でもあるシリアとは、サッカースタイルもほとんど瓜二つのように僕には感じられた。

そして日本は、同じようにゴール前を固める相手に同じようなショッパい試合を繰り返し、かろうじて最低限の結果を手に入れる、というゲームを再び演じてしまったのである。

アジアの西端、地中海付近に位置するシリアとヨルダンは、顔立ちを見ても白人に近いヨーロッパ系の選手たちが多い。

同じ中東でもアフリカ系の黒人選手も目立つ湾岸諸国とは違って、どちらかと言うとトルコなどに近い人種構成だという印象を受けた。

サッカースタイルもヨーロッパ寄りの、フィジカルが強くて組織的なディフェンスを売りにするスタイル、というイメージである。

ただそうは言ってもこの両国は、シリアは社会主義国、ヨルダンは人口 600万人の小国ということもあって、他の中東諸国に比べて経済力に乏しく、これまでは中東のサッカーシーンの中でもアウトサイダーの域を出なかった。

ところがその両国ともが、今大会では、準備不足とは言えベストメンバーを揃えてきた日本を苦しめたのである。

しかもそればかりか、その日本と 2000年アジアカップでは決勝を戦い、かつてはワールドカップの常連だった中東の雄、サウジアラビアに両国ともが勝利し、どちらか一方は必ず決勝トーナメントに進む、という快進撃を見せている。

近年ではオーストラリアが加入し、東南アジアや中央アジアも力をつけてきて、実力が拮抗しつつあるアジア地域。

その中でも中東勢は脅威だ。

これまではライバル視する存在ではなかった UAEやバーレーン、カタールなどが台頭し、シリアやヨルダンまで頭角を現してきている。

アジアサッカーの勢力地図は、いま確実に塗り替えられようとしている。

混沌の中に見えた道しるべ

ただし苦戦を強いられたとは言っても、日本代表にとってもこのシリア戦は、ヨルダン戦に比べれば光明の見えた試合だったことは間違いない。

カウンターから右サイドを崩しきって奪った長谷部誠の1点目は見事だったし、前半には内田篤人の突破から、前田遼一が決定的なヘディングシュートを放つ場面も見られた。

「速い攻め」を起点とした「サイドからの崩し」、そこから「空中戦」に繋げるという攻撃は、引いて守る相手への対策としては効果を発揮するだろう。

その部分に改善の兆しが見えたことは、日本にとってはプラスの材料だと言えると思う。

いずれにしても日本は、より強力になって来るであろうアジアのライバルたちを、これからも打ち破り続けていかなければならない。

そのためにできることは何だろうか?

それは一つしかない。

今後も留まることなく、日本が進化を続けていくことだけなのだ。

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