saudi desert camelssaudi desert camels / zbig photography

僕が初めて観戦したワールドカップは今から 17年前、1994年のアメリカ大会だった。

その2年前まではサッカーに興味もなかった少年が、Jリーグの誕生で一瞬にしてサッカーファンへと変身し、それから初めて迎えた大会。

たぶん僕と同じように、このアメリカ大会がワールドカップデビューとなった人も多かったんではないだろうか。

その前年の “ドーハの悲劇” で敗れたため、日本はこの大会には参加していない。

ちなみに当時のアジアに与えられていた出場枠は、わずかに「2」だった。

そして当時から「アジアの虎」と呼ばれていた韓国がグループリーグで敗退するのを尻目に、この大会でアジア勢として実に 28年ぶりの決勝トーナメント進出を果たしたのが、サウジアラビアである。

このアメリカワールドカップを頂点に、長きに渡って “中東の雄” として君臨したサウジはこの大会以外でも、84年、88年、96年のアジアカップで3度の優勝を誇るチームだ。

だから僕にとって、サウジアラビアは「強豪」だというイメージが、ずっとついて回っていたのである。

そんなサウジがヨルダンとシリアに敗れ、さらに日本に 5-0で敗れて3戦全敗でアジアカップを去ろうとは、僕にとっては想像しがたい出来事だった。

15年ほど前まではアジアを代表する強豪だったサウジも、今ではその面影はない。

「栄枯盛衰」という言葉だけでは説明のつかないような、あまりにも弱体化した古豪の姿がそこにはあった。

古豪をねじふせた圧勝劇

試合は実質 10分で決まり、20分で終わってしまったと言ってもいい。

いやむしろ、始まる前から日本の勝利はほぼ約束されていた、と言っても言い過ぎではないのかもしれない。

このアジアカップが開幕してから2試合、ここまでのサウジアラビアは受難の時を過ごしていた。

これまでは同じ中東エリアでも格下と見られていたヨルダン、シリアに対してまさかの連敗。

この時点で決勝トーナメント進出の望みは絶たれ、サウジにとって大一番となるはずだった日本戦は、想像もしていなかった「消化試合」となったのである。

すでに初戦の敗北後には監督も更迭されていて、サウジのモチベーションの低下は明らかだった。

そして日本はそんなサウジアラビアに、立ち上がりから容赦ない猛攻を仕掛けていく。

まずは前半早々の8分、遠藤保仁のロングパス1本で裏に抜けだした岡崎慎司が、GKの頭上を越える巧みなループシュートで先制。

続く 13分、左サイドの香川真司のクロスから、再び岡崎がダイビングヘッドで決めて 2-0。

そして 19分には柏木陽介のスルーパスから、オーバーラップした長友佑都がダイレクトで上げたクロスに、前田遼一がジャンピングボレーで合わせて 3-0。

後半に入って 51分にも、伊野波雅彦のクロスから前田が決めて 4-0とすると、最後は 80分、その前田のスルーパスから岡崎がハットトリック達成となる3点目をゲット。

合計5ゴールを挙げて、日本が完璧な試合運びで決勝トーナメン進出を決めたのだった。

混迷する中東の雄

日本代表がこの試合で、素晴らしいプレーを見せたことは間違いない。

しかし同時に、サウジアラビアの戦いぶりもあまりにも不甲斐のないものだった。

17年前にワールドカップで 16強に入った時、サウジアラビアは “20世紀のアジア最高のゴールキーパー” にも選ばれた名手、モハメド・アルディアイエを中心とした「堅守」を誇るチームだった。

それがどうだろう。

今年のサウジアラビア代表は、もはや「ザル」とも言えるほどの酷いディフェンスを見せ、日本に簡単にその隙を突かれてしまう。

その守備力は日本がこれまでに戦ったヨルダン、シリアと比べても確実に落ちる。

何よりも、ヨルダンやシリアに見られた「気迫」が、サウジからはほとんど感じられることは無かった。

4年前の大会ではオシム・ジャパンを準決勝で破って準優勝に輝いた難敵も、昨年のワールドカップ予選ではバーレーンに敗れて出場権を逃し、続くこのアジアカップでも勝ち点0で大会を去ることになった。

これを受けてサウジ国内では、監督の更迭だけにとどまらず、協会会長まで辞職に追い込まれるなど、サッカー界は大混乱に陥っている。

これまでアウトサイダーだった周辺国が急成長を見せる中、それに蹴落された格好となったサウジアラビア。

古豪が復活するのは、もう少し先の話になりそうだ。

日本が見せる成長

対する日本はヨルダン戦、シリア戦からの難しい流れを、見事にこの大勝劇で払拭することができた。

この日のサウジアラビアはモチベーションも低く、5-0で勝ったと言ってもそれが即評価につながるような相手ではなかったと感じられたけれども、それでもチームの勢いを加速させるという意味では、この勝利はやはり大きい。

特に岡崎、前田と、前線のポイントゲッターが揃って得点をしたことは、今後に大きなプラス材料となるだろう。

そして感心したのは、ザッケローニの選手起用法である。

早々に大差が付き、ややもすれば日本にとってもモチベーションを保つのが難しくなりそうだった試合。

ザックはこの試合で、代表経験の浅い西川周作と柏木陽介を(主力にアクシデントがあったからという理由もあるけれども)先発起用したのを皮切りに、大差がついた後半には伊野波雅彦、岩政大樹、本田拓也ら、これまで出番のなかった選手たちを次々と起用。

フレッシュなメンバーにチャンスを与えることで、結果的にチームを活性化させることに成功した。

選手たちに言わせても、いまチームの雰囲気はとても良いらしい。

その裏には、選手たちのモチベーションを細やかに管理できる監督の存在がある。

フィリップ・トルシエのように挑発を交えて選手たちを鼓舞するのも一つの手ではあるけれども、穏やかかつ繊細な気配りのできるザッケローニのやり方は、日本に合っている。

マスコミへの対応時にも決して自らが出しゃばる事のないその姿も含めて、日本はつくづく、この国にピッタリの監督を連れてきたなと感じた。

そしてこの勝利でグループリーグの首位通過を決めた日本は、次の準々決勝では開催国カタールと対戦することとなった。

ワールドカップ初開催に湧き、成長著しいカタールとのアウェーゲーム。

敵将は 2002年ワールドカップでセネガルをベスト8へと導いた名将、ブルーノ・メツ。

間違いなく、試合は簡単ななものにはならないだろう。

しかしグループリーグを突破して最低限のノルマを達成したとは言え、日本もまだこんなところで負けるわけにはいかない。

目標はただ一つ、2大会ぶりとなる優勝だ。

その達成まで、残るはあと3勝。

試合ごとに成長を続けながら、日本の快進撃は続く。

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