Photo by sinanyuzakli
点差以上に実力差のある試合であり、実力差以上にメンタルの差のある試合だったように思う。
リーガ・エスパニョーラでバルセロナと熾烈な首位争いを続けるレアル・マドリードに対し、ここまで中位に甘んじるアトレチコ・マドリード。
注目のマドリード・ダービーは、アウェーのアトレチコの先制点で幕を開けた。
好スタートを切ったアトレチコ・マドリード
左サイドのスローインから、ディエゴ・フォルラン → チアーゴ → セルヒオ・アグエロと右サイドに展開し、最後はホセ・アントニオ・レジェスがゴール逆サイドに流しこんでゲット。
前半10分に生まれたこの得点で、序盤はアトレチコが試合の主導権を握る。
逆にレアルは立ち上がり、なかなか波に乗れない。
ゴンサロ・イグアインとクリスティアーノ・ロナウドの2トップは体も抜群に切れていたものの、チームとしての連動性に乏しく、効果的な攻撃に繋がらない。
前半も中盤あたりまでそんな展開が続き、このままアトレチコ優勢で試合が進むのかと思われた。
しかし徐々に、アトレチコはレアルの圧力に屈していく。
1点をリードしたことで逆に気持ちが守りに入ったか、徐々にアトレチコの最終ラインは後退を始める。
それを見逃すレアル・マドリードではなかった。
前半30分過ぎからはレアルが怒涛の猛攻を仕掛け、次々と決定的チャンスの山を作る。
それでも前半は何とか無失点でしのいだアトレチコ。
しかし、後半もその流れは変わらない。
立ち上がりにゴンサロ・イグアインのゴールで同点に追いつくと、そこからはレアルの独壇場。
15分間に3点を奪い、試合を決定付けた。
アトレチコもPKで1点を返すものの、勢いは不思議なほど上がってこない。
結果的に試合はこのまま3-2で終了。点差以上の内容での、レアルの完勝劇であった。
「白い巨人」の恐怖
レアル・マドリードが「銀河系軍団」と呼ばれる、スーパースター集団であることは誰もが知っている。
この日もイグアイン、クリスティアーノ・ロナウド、シャビ・アロンソらは別次元のプレーを見せていた。
しかし、アトレチコ・マドリードも決してスター不在のチームではない。
フォルラン、アグエロの強力2トップを軸に、レジェス、シモン・サブローサらの世界クラスの選手を抱えている。
相手は銀河系軍団のレアルだとはいえ、現在のレアルは、まだバルセロナほど完成されたチームには至っていない。
アトレチコにも、対抗する余地は十分にあるように思われた。
僕はこの試合の明暗を分けたのは、技術やフィジカル以上に、メンタルの差ではないかと感じた。
そして、その差を生み出したのは、両チームのユニフォームに宿った、オーラの違いだったのではないか。
アトレチコは結局のところ、自らが生み出した「白い巨人」への恐怖心に屈したのだと、僕は思った。
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