香川真司、「ドイツダービー」を飲み込んだ “黄色い旋風” /ブンデスリーガ@ボルシア・ドルトムント 2-0 バイエルン・ミュンヘン


Photo by funky1opti

K(ケー)・A(エー)・G(ジー)・A(エー)・カガワ〜!

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上の2行は、ぜひ数年前に一世を風靡した(それほどしてないけど)、はなわの『佐賀県』のメロディに乗せて読んでいただきたい。

よく見るとアルファベットとカタカナの数が一致していないけど、そんな些細なことはどうでもよくなるほど、香川真司がいまノリにノッている。

前節までブンデスリーガ6試合で4得点と絶好調。
その香川がついに、ブンデスリーガの「盟主」、バイエルン・ミュンヘンと対戦する時を迎えた。

バイエルンといえば、昨シーズンのブンデスリーガとドイツカップの2冠を制し、UEFAチャンピオンズリーグでもシルバーメダルに輝いた、ドイツを代表する超・強豪チーム。

ここ 40年間で、ブンデスリーガに優勝すること実に 20回。
つまりブンデスリーガはいつの時代も、バイエルンと「それ以外のチーム」とが優勝を分け合ってきたのだ。
紛れもなくドイツサッカーの中心に位置する、リーガの「顔役」。
それがバイエルン・ミュンヘンである。

ここまでも数々の強豪相手に大活躍を見せてきた香川真司が、7戦目にしていよいよ、ブンデスリーガの “大ボス” と相対することになった。

香川にとってこの試合は、まさにその真価を測るための、絶好の試金石となったのである。

ドイツダービーを制したボルシア・ドルトムント

ドイツナンバーワンの人気チームであるボルシア・ドルトムントと、ドイツ1の強豪チーム、バイエルン・ミュンヘンとのこの一戦は、国を代表するチーム同士のいわゆる “ナショナルダービー” として、「ドイツダービー」と呼ばれている。

当然「絶対に負けられない」両チームは、序盤からアグレッシブな立ち上がりを見せた。

どちらかと言えばバイエルンの優勢で展開する前半。

しかし得点は生まれないまま徐々に試合は膠着状態となっていき、結局そのまま 45分が終了。
勝負は後半戦に持ち越されることとなった。

開幕戦こそ落としたものの、その後はここまで5連勝と波に乗るドルトムントに対して、バイエルンは前節まで 11位と不振を囲っている。

アリエン・ロッベンとフランク・リベリー、ヨーロッパに誇る両エースを怪我で欠き、バイエルンの攻撃力の低下ぶりは明らかだった。

そんなバイエルンが攻めあぐねる隙をついて 52分、試合が動く。

香川真司のドリブルから生まれたボルシア・ドルトムントのスローイン。
ここからボールが繋がって、ゴール前で混戦となったところに、豪快なシュートを振り抜いたのはルーカス・バリオスだった。

この頼れるエースストライカーの一撃が決まって、ホームのドルトムントが1点をリードする。

そして続く 60分、さらにドルトムントに追加点が生まれる。

ペナルティエリア外の右寄り、絶好の位置で得たフリーキック。
蹴るのはヌリ・サヒン。

サヒンの左足から放たれたシュートは美しい放物線を描き、バイエルンのゴール右隅に突き刺さったのである。

不調のライバルを尻目に2点をリードしたドルトムント。

このあとバイエルンも必死の反撃を試みるものの、逆にドルトムントのカウンターの脅威にさらされて、なかなかペースは上がってこない。

けっきょく試合はこのまま終了。

ボルシア・ドルトムントがホームでのドイツダービーを制し、最強のライバルのバイエルン・ミュンヘンに、快勝を果たしたのである。

ボルシア・ドルトムント、予想を上回る快進撃

この日の香川真司は、試合後に本人も語ったとおり「最低限の仕事はした」感じだったと言えるだろう。

ミッドウィークに行われたヨーロッパリーグの試合から中2日ということもあって、香川の調子は万全ではなかった。

その影響もあってか、決定的なプレーを見せる機会は少なかった香川真司だったけれども、反面、大きなミスもなかったと思う。
時おり巧みな繋ぎを見せては、前線からのチェイシングに奮闘する場面も見られ、全体的には可もなく不可もなくといったところだろう。
けっきょく香川はこの日、75分に交代でピッチを退く。

しかしそれでも、バイエルン・ミュンヘンを相手にした会心の勝利の一員となったことは、充分賞賛に価すると言えるだろう。

僕はプレシーズンマッチの結果と、ブンデスリーガ開幕後の数試合を観た段階で、香川真司がドイツで活躍することには半ば確信を持っていた。

しかし、それでも一つ計算していなかったことがある。

香川個人だけでなく、ボルシア・ドルトムントというチーム自体がここまでの活躍を見せるとは、正直僕もまったく想像はしていなかったのだ。

ライバルを下したこの快勝劇で、ボルシア・ドルトムントは2位をキープ。
首位を走るマインツ05に続いて、今シーズンの台風の目となっている。

もちろん、まだブンデスリーガは7試合が終わったばかり。
現時点での順位にはあまり意味はないとも言えるだろう。

しかしそれでも、秋を過ぎて冬を越す頃までドルトムントのこの勢いが続けば、いよいよ8年ぶりのリーガタイトルの獲得も現実味を帯びてくる。

ブンデスリーガを席巻する “黄色い旋風” 。

そしてその悲願が実現する時、その中心には香川真司の姿があるはずだ。

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