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今シーズンのブンデスリーガは、まさに「日本人天国」だ。
昨シーズン終了時は長谷部誠だけだった日本人選手が、今季からは香川真司・内田篤人・矢野貴章の3人が加わり一気に4人に。
しかも2部には相馬崇人も控える。
中でも香川真司は、今季開幕から6試合で4ゴールと大ブレイクに成功した。
CS放送権を持つフジテレビの高笑いが聞こえてきそうだけども、僕もまんまとフジに釣られた人間の1人である。
しかし、このブンデスリーガにおける最近の「日本人ブーム」の中で、高原直泰と並ぶパイオニアと言えば、何といっても長谷部誠だろう。
08/09シーズンには、レギュラー格として VfLヴォルフスブルクの初優勝に貢献。
今季でブンデスリーガ4シーズン目を迎え、その間4人の監督が入れ替わる中でも、常にレギュラーの座をほぼ確保しているのは見事だと思う。
そして今節はその長谷部誠と、今季から SCフライブルクに新加入した矢野貴章との「日本人対決」が実現した週末となった。
好カードを制したヴォルフスブルク
ヴォルフスブルクの今シーズンの補強は大規模なものだった。
ワールドカップでも活躍したアルネ・フリードリヒ、シモン・ケアーらの DF陣の補強もさることながら、何といってもジエゴの加入が大きい。
ユベントスでは結果を残せなかったジエゴだけれども、それ以前に所属していたブレーメンでの大活躍ぶりは鮮烈なものだった。
慣れ親しんだブンデスリーガに戻り、ブレーメン時代の輝きを取り戻すことができたら、ヴォルフスブルクにとっては最高の補強になるだろう。
また新指揮官の元イングランド代表監督、昨シーズンは FCトゥウェンテをクラブ史上初のエールディヴィジ優勝に導いた名将、スティーブ・マクラーレンの手腕にも期待がかかる。
対する SCフライブルクは、現浦和レッズのフォルカー・フィンケ監督が育て上げ、昨シーズンに1部昇格を果たした新興チーム。
とは言ってもクラブの歴史は長く、創立は 1904年と 100年以上の歴史を誇る。
矢野貴章はその精力的な働きを買われ、今季からこのフライブルクに移籍を果たした。
チームの「格」としてはヴォルフスブルクのほうが1枚上手と言えるこの両チームだけども、今シーズンここまでの成績では、ヴォルフスブルクが2勝3敗と負け越しているのに対して、フライブルクは3勝2敗と勝ち越している。
実力伯仲の好勝負が期待されるカードとなった。
試合自体は前半から互角の戦い。
長谷部誠、矢野貴章の日本人2人も精力的な働きを見せる。
その中で試合が動いたのは 25分だった。
ヴォルフスブルクのフリーキック。
蹴るのは新加入のジエゴ。
ジエゴの放った正確なクロスボールは、ゴール正面で待つグラフィッチの頭にピタリと合い、このグラフィッチのヘディングシュートが見事にゴールネットを揺らす。
これでまず、ホームのヴォルフスブルクが先制。
しかし 11分後の 36分、フライブルクも反撃にかかる。
ゴール前の混戦の中、フライブルクが波状攻撃を仕掛ける。
この一連の流れの中で、矢野貴章もシュート、クロスでプレーに参加。
そして最後にはパピス・シセが決めて、フライブルクが同点に追いついた。
スコアはそのまま 1-1の状態で、試合は後半戦を迎える。
しかし後半開始時、ピッチの上に矢野貴章の姿はなかった。
矢野は前半限りで交代。
接触プレーの影響もあったのかもしれないけど、同点ゴールに絡んだことを考えれば早い印象を受ける交代だった。
しかしそれだけ、ブンデスリーガというのは厳しいリーグなのだということだろう。
試合は後半、再びジエゴのフリーキックからグラフィッチの頭、という形でヴォルフスブルクが逆転して、けっきょくこのままヴォルフスブルクが 2-1で勝利。
一昨シーズンの得点王ながら昨シーズンは不調を囲ったグラフィッチも、ここ2試合で4得点と大爆発。
ブラジルの同胞ジエゴの加入によって、再び水を得た魚のように再生を見せている。
長谷部誠もフル出場を果たし、チームの勝利に大きく貢献した。
「日本人対決」を分けた明暗
明暗を分けた格好となった、ブンデスリーガ日本人対決。
今回は先輩格の長谷部誠に軍配が上がった形になる。
正直を言うと僕は、矢野貴章という選手についてあまり詳しくはない。
新潟の試合はもちろん見たことがあるけども、その時も矢野について強い印象は残らなかった。
大柄だけどもスピードもあり、身体能力の高い選手だということは知っていたけども、技術的に抜きん出ているわけではない矢野貴章に関しては、日本代表に選抜された際も賛否両論があったらしい。
この日の矢野も奮闘ぶりは伝わってきたけれども、けっきょくは前半限りのプレー。
今後、矢野貴章がブンデスリーガで活躍できるかは、もう少し様子を見ないといけないだろう。
しかし矢野や香川といった新加入の選手たちの活躍ぶりで、今後のブンデスリーガの日本人選手への門戸が、どれだけ開かれるかが決定すると言っていい。
そういう意味でも、矢野貴章にはさらなる奮起を期待したいところである。
長谷部は笑い、矢野は泣いたブンデスリーガ日本人対決。
しかし「日本人ブーム」が本物になるかどうかは、彼らを含む全ての日本人選手たちの肩にかかっていると言って、間違いないだろう。
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