サッカーは「点の入らないスポーツ」だと言われる。バスケットボールのように点がたくさん入るスポーツが主流のアメリカのファンなどに言わせると、その辺りがサッカーをつまらなく感じる原因なんだそうだ。
しかし、点がたくさん入るってそんなに良いことだろうか?と僕は思う。
点が入ろうが入るまいが、けっきょくは「試合を分ける1点」というのがどこかに存在するはずである。バスケの場合は100点以上を積み重ねた末にそれが来るけれども、サッカーの場合はそれが1点2点に集約されているという、ただそれだけの違いではないかと僕は思っている。
そしてその「試合を分ける1点」が興奮を生み、試合全体はそこに至るまでのプロセスだという意味では、バスケもサッカーも何も違いはないんではないだろうか。
だから僕にとっては、「点が入るから面白い、つまらない」という議論はナンセンスである。
本当に大事なのは何点入ったか、という「数」ではなくて、1つ1つの得点にどれだけの「意味」があるのか、ではないかと、僕は考えている。
大量得点の裏にある課題
そういう視点から見ると、この日のゲームは何とも微妙な一戦だった。
両チームが4点を奪い合う展開は確かにエキサイティングだった。
しかし得点の1つ1つを見ると、DFのミスや偶然から生まれたような得点も多かった。つまり、それだけ1つ1つの得点の「意味」が薄いゴールが多かったように僕は感じてしまったのである。
特にガンバのディフェンスは不甲斐なかった。前半は3バックもラインを高くして積極的なディフェンスができていたものの、後半はずるずると後退をはじめ、フロンターレに何度も決定機を許してしまった。
両チームともに4点をとった攻撃力は賞賛に値する。しかし、もう少し締まりのあるディフェンスが見たかったのも事実である。
両チームの第10節終了時点の失点数はともに 17。首位の清水エスパルス(8失点)の実に倍以上の失点数だ。少なくともこの点を改善しなければ、両チームともに現実的に優勝の芽は見えてこないのではないだろうか。
ただし、そういった課題がある中でも宇佐美貴史、楠神順平らの若手が得点を記録したことは、両チームにとって明るい材料になった。
シーズンはまだ3分の1も消化していない。
これから両チームが、その課題をどう解消していくのかに注目していきたい。
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