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不可解、としか言いようがなかった。
内田篤人の所属するシャルケ04は、ブンデスリーガ第 10節、ホームに強豪バイヤー・レバークーゼンを迎えた。
そのレバークーゼンを相手に、前半は素晴らしい戦いぶりを見せたシャルケ04。
しかしその後シャルケは、自ら崩壊の道をたどってしまうのである。
シャルケが見せた、見違えるような戦いぶり
前節まで5位のレバークーゼンと、17位に沈むシャルケとの対戦。
今シーズンはずっと不振の続くシャルケにとっては、このゲームも難しいものになるかと思われた。
しかし序盤、予想に反してシャルケは素晴らしい戦いぶりを見せつける。
これまでの試合が嘘かのように、見事なボール回しでゲームを支配するシャルケ。
先発出場した内田篤人も好プレーを連発して、チームの一員としてかなり機能していたように思う。
この日は右サイドのアタッカー、ジェフェルソン・ファルファンとのコンビネーションも良好。
内田個人としても、クロス、シュート、カバーリングなどの局面で光るプレーを見せていた。
前半だけ見れば、今期最高と言ってもいいほどの完璧な試合ぶりを披露したシャルケ。
得点こそ奪えなかったけれども、この調子なら後半には、リードを奪うことも充分可能なのでは?
そう思った人たちも少なくはなかっただろう。
ところが。
チームは後半、突如崩壊してしまうのである。
しかもそれは、自らが引き寄せた「必然の崩壊」だった。
自らが引き寄せた「必然の崩壊」
後半、シャルケ監督のフェリックス・マガトの振るった采配は不可解なものだった。
マガトは後半立ち上がりから左サイドバックのルカス・シュミッツに代えて、ジョエル・マティプを投入する。
そしてマガトはマティプをボランチに入れ、前半はボランチとして好プレーを見せていたイヴァン・ラキティッチを左サイドバックに下げたのである。
僕にはこれは、意図の読めない交代に映った。
前半のラキティッチはボランチの位置から、好調なパス回しの要として機能していたように思う。
そのラキティッチを、マガトは左サイドバックに下げてしまったのだ。
確かに前半、左サイドバックに入ったシュミッツはあまり目立った動きは見せられていなかった。
それでも交代させるのであれば、左サイドバックができる人材と直接入れ替えたほうが良かったのでは?と僕は感じた。
ブラジルには「勝っているチームはいじるな」という格言がある。
もちろんこの日のシャルケはまだ勝ってはいなかったし、マガトはブラジル人ではないのだけれども、それでも前半の布陣で前半同様の試合を続けていれば、勝てる公算は充分にあったように思えたのだ。
しかし結果的に、マガトはチームをいじった。
そしてここから、シャルケは音を立てて崩壊を始めるのである。
前半のようにボールを回せなくなり、好リズムで攻められなくなったシャルケ04。
当然、レバークーゼンは勢いを盛り返す。
そして 65分。
ラキティッチに代わってボランチに入ったマティプのパスミスからカウンターを浴びたシャルケは、1本のロングパスで裏を取られ、シドニー・サムに先制点を奪われてしまう。
慌てたシャルケもその後、FWエドゥを投入して反撃を狙いに行ったけれども、狂ったリズムは元には戻らない。
けっきょくレバークーゼンのディフェンスを崩せなかったシャルケが、勝てたはずの試合を落とす形で、ゲームの幕は降りたのである。
勝利を逃した「名将の失策」
内田篤人個人としてはこの日は、悪い出来ではなかったと思う。
攻撃でもいい絡みを見せれていたし、課題の守備では何度か抜かれる場面もあったけれども、大きな破綻はなかったように思えた。
しかしフェリックス・マガトの奇策が、この日のゲームを完全に壊してしまった。
もちろん名将と言えども人の子である。
采配ミスをすることも時にはあるだろう。
しかしこの日、主導権を握っていたのは明らかにシャルケだった。
それだけに、非常に悔やまれる敗戦だったことに違いはない。
勝利を逃すきっかけとなった「名将の失策」。
次節、シャルケはこの敗戦のショックから、すぐに立ち直ることができるのだろうか。
それが今後の、シャルケの命運を左右するのかもしれない。
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