Photo by Smithsonian Institution
長友佑都の所属する ACチェゼーナが、1週間で3試合を戦う「魔の3連戦」。
その2戦目で首位のラツィオ相手に金星を挙げたチェゼーナは、勢いに乗って3戦目のフィオレンティーナ戦に臨んだ。
しかしそこでチェゼーナを待っていたのは、決してドラマチックではない「いつも通りの筋書き」だったのである。
一撃に沈んだ ACチェゼーナ
前節まで 19位に低迷していた ACチェゼーナ。
ただし、対するフィオレンティーナも 13位と、決して好調とは言えない。
実際、フィオレンティーナのプレーは個人技頼りで、その粒ぞろいのメンバーを活かしているとは、とても言えないような内容だった。
さらにこの日は、薬物使用による長期離脱から復帰したばかりのルーマニア代表、アドリアン・ムトゥが前半途中で負傷退場。
チェゼーナにも、充分に勝機はあるかと思われた。
しかし、チェゼーナは負けた。
59分に、この日は目立った活躍を見せていたアレッシオ・チェルチに右サイドを破られると、そこからのクロスに合わせたのはイタリア代表のストライカー、アルベルト・ジラルディーノ。
ジラルディーノは後ろ向きにワントラップの後、DFを背負いつつ身体を反転させながら左足を一閃。
このスーパーゴールが見事に決まって、フィオレンティーナが 1-0とリードを奪う。
そして結局この1点を返せないまま、チェゼーナはシーズン7敗目を喫することになったのである。
長友佑都が見据える「逆境、その向こう側」
この敗戦の中でも唯一の救いは、長友佑都個人の出来は悪くなかったことだろうか。
1対1、カバーリングともに秀逸な対応を見せて、この日はチェゼーナの DFラインを支えていたように思った。
ただし、それでも勝てないのがセリエAの難しさだ。
いまは長友も、苦悩の時期を過ごしていることだろう。
しかしこんな話がある。
野球の例になるけれども、メジャーリーグに挑戦したばかりの頃の松井秀喜がアメリカ特有の内角攻めに戸惑い、その苦しい胸の内を、先輩のイチローに吐露したことがあるそうだ。
その時、イチローから返ってきた言葉がこれだった。
「でもそういう経験がしたくて、お前はアメリカに来たんだろう」。
長友にとっても、この苦難は選手としてさらに成長するための糧になるはずである。
長友佑都はいま、眠れない日々を送っているのかもしれない。
しかし、ぜひこの試練を乗り越えて、「成長」という大きな成果を勝ちとってほいと思う。
それがまさに、長友佑都が海を渡った、唯一無二の理由なのだから。
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