2010_May21-29 614 Golden Sunrise2010_May21-29 614 Golden Sunrise / jjjj56cp

まるで現実感の湧かないこの1ヶ月が過ぎて、気がつけば桜が散るような季節になっていた。

そしてもう一週間も昔の話になってしまうのだけれども、日本サッカーの歴史に新たな1ページを刻む出来事があったのはご存じのとおり。

世界最高峰のヨーロッパチャンピオンズリーグの舞台で、2人の日本人選手が対決したのである。

ちなみにこんな重要な試合の記事を書かずに一週間も放置していた、サッカーブロガーの風上にも置けない存在が、そう、僕です…!

それでも遅ればせながら、今回はこの試合を取り上げたいと思う。
少なくともこのゲームはそれだけ、日本サッカー界にとってエポックメイキングな一戦だったことに間違いはないだろう。

ゲームをコントロールしたシャルケ04

この試合はしかし、始まる前から9割方は結果の見えている試合だったとも言える。

ホームでの 1stレグを 2-5で落としたインテル・ミラノは、このアウェーの地で4点差以上の勝利を求められていた。

昨シーズンのヨーロッパ王者にして世界王者。

その肩書きをもってすれば不可能ではないように思えた「4点差勝利」のミッションも、今のインテルにとっては重すぎる課題だったのか。
ラファエル・ベニテスとの不幸な結婚生活からスタートしたシーズン序盤を経て、「白馬の王子」レオナルドの登場で軌道に乗り始めたように見えたインテルの物語も、ここに来て暗雲が立ち込めていた。

対照的に、シーズン当初からは見違えるほど調子を上げてきたのがシャルケ04だ。

中心選手のジェフェルソン・ファルファンに公然と批判されるなど、選手との関係に問題を抱えていたフェリックス・マガトが去り、後任監督にラルフ・ラングニックが就任したシャルケは、今ではまるで別のチームかのような充実ぶりを見せている。

この試合でもシャルケは、安定感のあるディフェンスから鋭いカウンターアタックを仕掛けて、インテルを脅かし続けた。

対するインテルは中盤のバランスが悪く、アンカーのチアーゴ・モッタが機能しない上に、トップ下のウェスレイ・スナイデルは攻撃面で孤立してしまう。

そして前半も終了間際になった 45分、ついに試合は動く。

ショートカウンターからホセ・マヌエル・フラードのスルーパスを受けたラウール・ゴンサレスが、 GKをかわして先制。

この時点でインテルは5点が必要な状況となり、ほぼ試合の趨勢は決したと言える。

後半立ち上がりの 49分には、モッタの一発でインテルも意地を見せるものの、81分には再びカウンターからシャルケのベネディクト・ヘーヴェデスにとどめの2点目を浴びせられる。

けっきょく試合は 1sレグに続き 2ndレグも、シャルケが勝利を収める完勝劇。

そしてその瞬間、日本人初となる、内田篤人のUEFAチャンピオンズリーグベスト4への進出が決まったのである。

欧州に昇った、2つの「ライジング・サン」

これまで何十年もの間、日本人にとってベストなポジションはミッドフィルダーだと考えられてきた。

確かにフィジカルよりも技巧に優れている日本人は、ミッドフィルダーに向いている。

80年代には『キャプテン翼』が「ミッドフィルダー=花形ポジション」というイメージを定着させて、翼くんに憧れた少年たちの中から、中田英寿のようなリアルヒーローも誕生した。

しかし2010年代となった今、その定説が覆されようとしているのかもしれない。

つまり、もしかしたら日本人選手にとって「最も幸せな場所」は、サイドバックなのかもしれないということだ。

技術、運動量、正確性、戦術眼が求められるサイドバックというポジションは、確かに日本人が持つ特徴を活かせるポジションだとも言える。

事実、この日も日本の誇る2人のサイドバックは、チーム内でも一際目立つ活躍を見せていた。

2人が最初に激突したのは7分。
内田篤人のオーバーラップを長友佑都がストップすると、11分には逆に長友のオーバーラップを内田がスライディングでカットする。

90分を通じて、両者は特にディフェンス面で大きくゲームに貢献した。

中でもこの日、とりわけ輝いたのは内田篤人だ。
攻守にミスがなく、穴のない完成されたサイドバックへと成長していることがよく分かる、出色の出来だったと言っていいだろう。

シーズン当初はディフェンス力の危うさを何度も指摘された内田も、この1年で見違えるような成長を見せている。

香川真司の大活躍を見て「獲得する日本人を間違えたかな」と冗談交じりに語っていたマガト監督も、今では内田の成長に眼を細めていることだろう。

対戦相手のインテルに所属するワールドクラスのストライカー、ディエゴ・ミリートの名前すら知らなかった若者は、ドイツの地でもマイペースな成長を続けて、ついにヨーロッパの4強の一員となってしまったのだ。

そしてこのゲームは同時に、日本人選手の海外進出のパイオニア・奥寺康彦に続いて、日本に2人目・3人目の国際的なサイドバックが出現したことを知らしめる、歴史的な一戦だったとも言えるだろう。

試合終了のホイッスルの直後、内田はチームメイトたちの歓喜の輪に入るよりも前に、真っ先に長友に駆け寄ってユニフォームの交換を申し入れた。

日本国内では今、暗い話題ばかりが続いている。

それでもこのシーンは、今年の日本サッカーを彩る、印象深い場面の一つになったのではないか。

シャルケの次の相手はヨーロッパ最強クラスの巨人、マンチェスター・ユナイテッド。

内田篤人がここでもジャイアント・キリングを再現できる可能性は、決して高いとは言えないだろう。

しかし僕は先週のこの試合。

世界最高峰の大会で、2人の若き日本人サイドバックが躍動したこの記念碑のような一戦を、まずは素直に讃えたいと思った。

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