レッズのもたらした「世界基準」/Jリーグ@浦和レッズ 3-0 川崎フロンターレ

「強い」としか言いようがなかった。
Jリーグ2位と3位の直接対決となった第7節、浦和レッズ x 川崎フロンターレの試合は、ここまで2位の浦和レッズの底力を見せつけられたゲームとなった。

僕にとっての「近くて遠い土地」、埼玉

ちなみに僕が今季、レッズの試合を観るのはこれが初めてである。
理由は特に無くて、僕が単にレッズと縁が薄いからということになる。
僕は神奈川県の出身である。
神奈川に住んでいる人なら共感していただけるかと思うけども、同じ関東地方と言っても、神奈川から埼玉に足を運ぶ機会というのはほとんど無い。
東京という巨大都市を間に挟んでいるため、あえて埼玉まで行く理由が無いというところが大きいのだけども、特別なイベントごとや友人がいるとか、仕事で行く機会でも無い限りはほとんど行くことは無いだろう。同様に埼玉の人が神奈川に来ることも少ないと思われる。
そんなわけで僕は埼玉には生涯でも5回くらいしか言ったことがない。
僕にとっては「近くて遠い土地」、埼玉。
そういう理由から、Jリーグ屈指の人気チームである浦和レッズも僕にとっては遠い存在だったわけである。

フロンターレを制圧したレッズの圧力

この試合で久しぶりに観たレッズは、明らかに進化していた。
去年観た時のレッズは、山田直輝や原口元気といった10代の若手を積極的に登用していた。
オジェック監督時代やブッフバルト監督時代と比べて、昨年から指揮をとるフォルカー・フィンケ監督のサッカーは、よりパスを繋ぐ綺麗なサッカーという印象を受けたものの、いろいろな意味でまだ脆さをはらんだ「若いチーム」というイメージだった。
ところがどうだろうか。
この試合のレッズは、強豪川崎フロンターレを寄せ付けずに 3-0 の圧勝。
ゲーム内容も点差に見合った完勝劇である。
フロンターレがいったんボールを持てば、レッズが高い位置からすぐに怒涛のプレスを掛ける。
そうしてボールを奪うと、トップの選手だけでなく2列目、3列目の選手たちまでもが次々とゴール前になだれ込んでは波状攻撃を仕掛ける。
まるでオシム監督のサッカーのようではないか。
特に攻守においてあらゆる場面に顔を出す、ボランチの細貝萌と阿部勇樹の働きが際立っていた。
先制点はその細貝から。
開始早々の6分、細貝がプレッシャーをかけてゴール前でボールを奪うと、そのまま迷いもなく右足を一閃。このミドルが突き刺さってあっという間にレッズがリードを奪う。
さらにその1分後。今度は田中達也のミドルが決まり、この2発でレッズが完全に主導権を握った。
レッズの激しい圧力に面を食らった形のフロンターレ。普通のチームならこの2点で崩壊してしまってもおかしくはなかっただろう。
しかしこの日のフロンターレは崩れなかった。この劣勢からも必死の反撃を試みる。
21分、フロンターレの左サイドからのFK。
小宮山尊信が蹴ったボールはレッズDFに当たり、こぼれ球を井川祐輔が押しこむものの、何とこれがオフサイドの判定。
しかしリプレイで見てもオフサイドの場面は見当たらず、審判の明らかな誤審であった。
迎えた後半には、チョン・テセの突破をレッズDFのサヌが倒し、これがPKに。
ファールはペナルティエリア外にも見えたものの、ともかくこれで得たPKをレナチーニョが蹴る。
しかしこのキックはレッズGKの山岸範宏がファインセーブ。
前半の誤審を埋め合わせる、主審からの「プレゼント」のようなPKを物にすることができず、フロンターレは自ら反撃のチャンスを逃した。
そして72分、レッズは左サイドから高原直泰、エジミウソンが強引な突破を見せ、エジミウソンのシュートをGK川島永嗣が弾いたところをDF堀之内聖が押し込む。
これで3点差となり万事休す。
レッズがホームでの上位対決を完勝で締めくくった。

レッズのもたらした「モダンサッカー」

これでおよそ1年ぶりにJリーグ首位に立ったレッズ。
この日の試合に限って言えば、レッズは僕が今季観たどのチームよりも「強さ」を感じさせるチームだった。
技術も闘争心もあるタフなチームであった川崎フロンターレを、力でねじ伏せた戦いぶりは印象的である。
組織サッカーをベースとしながらも、激しいフィジカルコンタクトをいとわず、ミドルシュートを積極的に狙うスタイルは、他のJリーグのどのチームよりも世界のトレンドに近い「モダンサッカー」を体現していたように思う。
レッズはこのまま4季ぶりの優勝まで突っ走るのだろうか?
昨年も波のあるチームだっただけに、現時点ではまだ何とも言えないところだろう。
しかし、それだけの力があるのは確かである。
僕は埼玉県のことはよく知らない。
しかし、浦和レッズのことなら誰でも知っている。
この埼玉の象徴であるチームが、今後も他チームの脅威となることは間違いなさそうである。

[ 関連エントリー ]

トップページへ戻る