Photo by onigiri-kun
早いもので今年も 11月に入った。
来月は師走だ。
あと2ヶ月もすれば 2011年がやって来る。
そして1週間前の日曜日、日本の女子サッカーリーグの最高峰、なでしこリーグの今シーズンが閉幕した。
今年のチャンピオンに輝いたのは2年前の優勝チーム、日テレ・ベレーザである。
日テレ・ベレーザ、優勝を決めた最終戦
ベレーザのチャンピオンへの道のりは劇的なものだった。
今シーズンを通じてベーレザは、昨年度の優勝チーム・浦和レッドダイヤモンズ・レディースと激しい優勝争いを繰り広げていた。
そして8月の直接対決では 0-3で敗れ、一時はレッズレディースに首位の座を明け渡してしまう。
その後にレッズが星を落として首位の座を奪還したけれども、優勝争いは最終節の直接対決までもつれ込むことになった。
最終節を前にして、ベレーザの勝ち点は 46、レッズレディースの勝ち点は 43。
しかし得失点差でレッズが上回っていたので、レッズが勝てばレッズの優勝。ベレーザが勝つか引き分ければベレーザの優勝、という状況。
ただし舞台はレッズサポーターの聖地・埼玉スタジアムとあって、条件はほぼ互角だと見られていた。
と、いつもならここで試合のレポートに入りたいところなんだけれども、実は僕はこの試合を観戦していない。
正確には「観戦する手段が無かった」と言うべきだろうか。
もともとこの試合はなでしこTVでネット中継される予定だったんだけれども、優勝決定戦とあって、直前にテレビ埼玉での放送が決定した。
日曜日の 21時からの録画放送ということで、女子サッカーの普及という意味では、それはそれで意義深いことだったと思う。
しかしその煽りを受けて、予定されていたネット中継はなんと消滅してしまったのだ…!
そして大阪在住で所帯持ちの僕には、この試合を観るためだけに埼玉にいくほどのフットワークは無かった。
僕がマリアナ海溝よりも深く落胆したことは、言うまでもない。
まあ去年まではネット中継そのものが無かったわけだから文句は言えないけれども、せっかくの全国リーグの優勝決定戦。
願わくば全国のサッカーファンが観戦できる環境を設けて欲しかった…と思うのは、ただのワガママでしょうか?なでしこリーグさん。
うん、ワガママですね、ハイ…。
ともかく観れなかったことは仕方がない。
いずれはなでしこリーグが NHKのBS、あわよくば NHK総合で中継してもらえるようなコンテンツに成長してくれることを願うばかりである。
とりあえず結果だけ書かせていただくと、この最終決戦の大一番は、ベレーザが 3-0で快勝。
最大のライバルとの直接対決を制して、年間チャンピオンを決めた一戦となった。
僕は試合を観ていないのでレポートはできないけれども、とりあえず公式記録を見る限りでは、シュート数はベレーザが 25本だったのに対して、レッズレディースは4本。
この数字から察するに、最終スコアと同様に、ベレーザが圧倒したゲーム内容だったようだ。
なでしこリーグの中ではベレーザを応戦している僕からしてみれば、とりあえずいい形で終えることのできた今シーズンだった。
しかし最後までマッチレースを繰り広げたレッズレディースの健闘にも、拍手を贈りたい。
おかげでファンからすれば最後の最後まで目の離せない、非常にスリリングで面白いシーズンになったと思う。
そしてこの試合で、レッズレディースとしては史上最多となる 4,012人の観客が(有料試合であったにも関わらず)集まったことは、リーグ全体としても来シーズンに向けての明るい材料になったんではないだろうか。
ちなみにこの優勝はベレーザにとっては、2000年以降の 11シーズンで8回目のリーグ優勝になった。
特に 2005年から 2008年までは4連覇。
国内では無敵の強さを誇っていたのがベレーザだった。
しかし昨シーズン、浦和レッズレディースがその5連覇を阻止すると、今年も最終戦までもつれる接戦を演じた。
来シーズン以降もこのライバル対決は続くことになると思われるので、なでしこリーグはベレーザとレッズの「2強時代」に突入していきそうだ。
リーグの盛り上がりという意味でもレベルアップという意味でも、個人的には大歓迎である。
しかしさらにその先の未来にまで目を向けると、なでしこリーグは近い将来には、いま以上に混戦の時代を迎える可能性も秘めているのだ。
「2強時代」から「戦国時代」へ
ちなみに僕自身も、昨シーズンまではなでしこリーグの試合をあまりガッツリ観ることは無かった。
地元の大阪にスペランツァF.C.高槻というチームがあるので、近所で試合をする時にはたまに観に行ったりもしたけれども、それくらいのものである。
そういう意味でも今年は、僕自身としても初めてなでしこリーグを1年を通じて観戦した、思い出深いシーズンになった。
シーズンを通じてじっくりと観たなでしこリーグは予想していた以上に面白くて、今ではすっかり女子サッカーのファンである。
そして僕はこのブログを通じて、地道に女子サッカーの普及に貢献していきたいなということを企んでいたりもするのだ。
今年のなでしこリーグは、「2強・5中・3弱」という構図にハッキリと分かれた。
降格争いを繰り広げた福岡・狭山・伊賀の3チームはそれぞれ勝ち点が8・7・6なので、ダントツに苦戦したという結果になったけれども、その上の「5中」は非常に拮抗した最終成績になった。
3位の東京電力マリーゼの勝ち点が 34、7位のジェフユナイテッド千葉レディースの勝ち点が 25と、その差はわずか9。
その間に5チームがひしめき合っている。
しかも、3位のマリーゼと2位のレッズレディースの勝ち点差も9。
来シーズン以降の展開次第では、この差もさらに縮まってくる可能性もある。
そうなれば「2強時代」は、群雄割拠の「戦国時代」へと遷移していくだろう。
実際、他のチームも力をつけてきている。
中でもなでしこリーグ唯一の実業団チームで、東京電力という超優良企業の傘下であるマリーゼと、資本力のある企業がバックアップする INAC神戸、Jリーグ屈指の人気チームが母体のアルビレックス新潟レディースらは、今後2強に割って入る可能性も充分にあるだろう。
そうなれば、リーグ全体としてはますます面白い展開が見られるようになるかもしれない。
来シーズン以降も、当然目が離せないということになる。
このブログを読んでくれている方でも、ちょっとでも女子サッカーに興味が湧いてきたという方は、ぜひ一度、試合会場に足を運んでみてほしいと思う。
それが難しければ、毎節ほぼ全試合が観れるネット中継でもいいだろう。
女子サッカーは確かに、フィジカルやスピードでは男子とは比べものにならないけれども、技術レベルではほとんど遜色ないと言ってもいい。
充分に「うまい!」と思わせるプレーを随所に見せてくれるし、男子と比べてスペースもあるので、攻撃的で得点もよく入る。
ある意味、男子よりも「分かりやすい面白さ」があるのが女子サッカーだ。
幸い、なでしこリーグは多くの試合が無料試合で、有料試合でも 1,000円程度。
まだ観客数もそれほど多くはないので席取りに苦労することもなく、Jリーグに比べればはるかに気軽に観戦することができるだろう。
そして女子の試合は、男子と比べてもほぼ例外なく「ひたむき」なプレーが毎試合おがめる。
それは充分に感動的なものだと僕は思っている。
とりあえず有料・無料に関係なく、ほとんどの試合で「観て損はなかった」と感じられるんではないだろうか。
少なくとも、僕の場合はそうだった。
ちなみに今シーズンもまだ、男子の天皇杯に当たる「全日本女子サッカー選手権大会」が控えている。
興味があればぜひ一度、彼女たちのプレーを観てあげてほしいなと思います。
女子サッカーの観戦ガイド
ちなみに女子に限らないけども、試合を観るときにオススメなのが、「応援するチームを決める」のと、「応援する選手を見つける」ことだ。
やっぱり中立の立場で傍観しているよりは、応援する対象があるほうが断然熱が入るし、面白い。
応援するチームは当たり前だけど、直感的に好き嫌いで決めてもらっていいと思う。
幸い、なでしこリーグは2部(チャレンジリーグ)まで含めれば、全国各地域にチームが分布しているので(四国にだけは無いけども)、贔屓のチームを見つけるのにそれほど手間はかからないだろう。
そして「応援する選手」だけれども、なでしこリーグ中位以上のほぼ全てのチームに、日本代表経験のあるスター選手がいるので、こちらもそれほど悩まなくて済むんではないだろうか。
ちなみに僕のオススメの選手は(ありきたりですけど)、ベレーザなら未来の女子サッカー界の「顔」になるであろう 17歳の天才少女・岩渕真奈を筆頭に、来季から復帰する “レジェンド” 澤穂希、今季 MVPのエースストライカー大野忍、キャプテンを務める「クール・ビューティー」近賀ゆかり、中盤でタクトを振るう “和製美少女ピルロ” 原菜摘子あたり。
レッズなら日本代表「なでしこジャパン」でも主力を張る GK山郷のぞみ、今後のなでしこジャパンの守備の要になっていくだろう熊谷紗希、オリンピックでもおなじみの “ボンバー” 荒川恵理子、今年の新人王に輝いた、将来を嘱望されるミッドフィルダー藤田のぞみ。
湯郷べルでは、もし男に生まれていたら小野伸二や中村俊輔並みの天才プレイヤーになっていただろう、”澤穂希の後継者” 宮間あや。
マリーゼでは、今年の “サポーターが選ぶ MVP” を受賞したリーグ屈指の美貌の持ち主、しかも日本代表レギュラーの鮫島彩。
INAC神戸では U-20で活躍してなでしこジャパンでも将来を嘱望される “イケメンストライカー” 高瀬愛実と、今年のベストイレブンおよび日本代表にも選ばれた “普段はオシャレで可愛いお姉さん” 川澄奈穂美。
アルビレックス新潟レディースでは、同じくベストイレブン・日本代表に選出された “やんちゃ系美女” 上尾野辺めぐみ。
ジェフユナイテッド千葉レディースでは、今季加入した元日本代表・かつては代表一の美女と言われてジャンクスポーツでも人気となった丸山桂里奈。
そして福岡J・アンクラスでは、今年の U-17女子ワールドカップの準優勝の立役者ともなった、福岡が生んだ “奇跡の美少女スター”、猶本光。
という感じだろうか。
なんか後半ほとんどルックスの話題ばかりになってしまったけれども、誇張ではなく実際に、いまの女子サッカー界には「上手くて美しい」才色兼備の選手がズラリと揃っている。
男性から見ても女性から見ても、彼女たちのプレーはカッコよく、魅力的に映るんではないかと僕は思うのだ。
そういうスター選手たちをお目当てに女子サッカーを観てみることを、まず最初のとっかかりとして僕はオススメしたい。
それで興味を持ってもらえたとしたら、そこから観戦の楽しさも色んな方向に広がっていくんではないだろうか。
岩渕真奈が見せた大器の片鱗
さて最後に、僕が女子サッカーを観るようになった一番のきっかけ、岩渕真奈選手の今シーズンを振り返ってみたい。
今季は澤穂希からベレーザの「10番」を受け継いだ岩渕。
シーズンの 18試合全てに出場して(うち途中出場が4試合)、リーグ6位タイとなる8得点を挙げた。
また、自身としては初めて、シーズンを通じてほぼレギュラーとしてプレーした。
澤や大野の域にはまだ達していないけれども、まずまずの成績を残した一年だったと言っていいだろう。
そしてその成績以上に、開幕戦での開始6分のゴール、なでしこリーグカップ決勝での後半ロスタイム直前の決勝ゴール、そして先日のリーグ最終節の優勝決定戦での、決勝点となった先制ゴールと、重要な場面でことごとくゴールを決める勝負強さが印象に残ったシーズンだった。
その持てる大器の片鱗を、充分すぎるほど見せつけた一年だったのではないだろうか。
しかも岩渕はまだ 17歳。
むしろサッカー選手としては、これからが一番伸びる時期でもある。
怪我などがなければ来シーズンは、今年以上の活躍が期待できるはずだ。
ところで岩渕はいま高校3年生だ。
来年からの進路も気になるところである。
僕はひょっとしたら岩渕が、高校卒業後に海外リーグへ挑戦するのではないかと思っていたので気にしていたんだけれども、先日に岩渕本人の口から、大学に進学する意向があることが明らかにされた。
まだどこの大学に進学するのかは分からないけれども、いずれにしてもベレーザでプレーを続けることは間違いないだろう。
ファンとしてはあと4年間そのプレーを拝めるとあって、とりあえず一安心と言ったところだろうか。
ただ僕はその4年間のうちに、岩渕真奈がなでしこリーグの得点王と MVPを受賞するときが必ずやって来ると思っている。
そしてその暁には、個人的には岩渕には、満を持して海外に挑戦してもらいたいなとも思う。
岩渕真奈の才能が日本の枠組みに収まりきるものでないことは明らかだ。
国内で獲れるタイトルを全て獲ったら、その次はさらに広い舞台で活躍してほしい。
岩渕の目指す「世界一の選手になる」という夢、それを実現させるためにも。
それが何年後になるかは分からないけれども、きっとその日はやって来るだろう。
それまでの残された時間、「日本の女子サッカー界が生んだ最大のスター」岩渕真奈の活躍する姿を、この目に焼き付けておきたいと思う。
だから来年もまた、なでしこリーグの観戦に行くことを楽しみに待っている僕なのだった。
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- [カテゴリー] なでしこリーグ
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