月曜日の試合で、サムライ・ブルーは韓国代表に惨敗を喫した。
今のままではワールドカップ本大会でも勝算は低い。
しかしそうは言っても、このチームが日本代表であることに変わりはない。
僕もあーだこーだ書いてはきたものの、本大会ではいっちょ奇跡を信じて!我らが代表チームを応援したいと思う。
ところでこの韓国戦の裏で、もう一つの日本代表が大活躍していたことをご存知だろうか?
そう、アジアチャンピオンを決めるAFC女子アジアカップに臨んでいた、日本女子代表「なでしこジャパン」である。
なでしこジャパン、見違えるような多彩な攻撃
この大会、開幕2連勝でグループリーグをスタートさせたなでしこジャパンは、この日のグループ最終戦で北朝鮮と対戦した。
北朝鮮と言えば、前回大会優勝のディフェンディングチャンピオンである。
また若い世代では2008年に開催された U-17、U-20 の両ワールドカップでそれぞれ優勝・準優勝に輝き、世界的な強豪の地位をも確立している。
ちなみに選手たちは普段は軍人だったりもするそうだ。コワっ。
そんな強大なライバルと、なでしこジャパンはグループ首位を賭けて激突した。
と言ってもこの日の北朝鮮は若手主体の布陣で、前回大会とは大きくチームが様変わりしていた。
対する日本も最大の山を準決勝に見据えて、この試合では主力の多くを温存。
それぞれの層の厚さと底力が試される一戦となった。
僕はこの試合の前の、なでしこジャパンのミャンマー戦、タイ戦も観戦したのだけども、それぞれ 8-0、4-0 で大勝したとは言え、内容的には課題が多いように感じていた。
攻めの形が単調で個人技に頼る場面が多く、相手の力不足に助けられていた部分もあったように感じられたからである。
しかし、この日の試合でなでしこたちは見違えるようなゲームを見せてくれた。
北朝鮮が若手主体だったということもあるものの、ミャンマーやタイに比べればはるかに歯応えのあるチーム。
そのチームを相手になでしこジャパンはゲームの主導権を握り、2-1 で競り勝ったのである。
そのきっかけとなったのは、2人の “ドイツ帰り” のプレーヤーだった。
安藤梢と永里優季、ドイツ帰りの2人のなでしこ
ヨーロッパでは先日、インテル・ミラノがUEFAチャンピオンズリーグで優勝したけれども、女子の世界にもヨーロッパチャンピオンズリーグは存在する。
そして、その女子チャンピオンズリーグの準決勝で、永里優季のポツダムと安藤梢のデュイスブルク、2人の日本人プレイヤーの所属するドイツのチーム同士が対戦したのである。
2人はともに今シーズン途中に、国内から現チームへと移籍。
すぐにチームの主力選手となると、チャンピオンズリーグでも快進撃を見せる原動力となった。
結局この準決勝は永里の所属するポツダムが勝ち上がり、その勢いでヨーロッパチャンピオンの座を手にする事になる。
日本人選手が世界トップクラスの舞台で頂点に立った、輝かしい瞬間だった。
その永里と安藤が、この北朝鮮戦ではそろって先発出場を果たし、それぞれ1ゴールを挙げる活躍を見せたのである。
この日の2人のプレーは明らかに「別格」だった。
安藤は力強い突破を何度も見せ、永里は当たりの強さとポストプレーで前線の軸となっていた。
特に永里の成長ぶりには眼を見張るものがある。
もともとCFタイプの選手だったけれども、ドイツに渡ったことで球際に格段に強くなり、体も一回り大きくなったように思えた。
前の2戦では宮間あや、あるいは澤穂希の中盤からしかなかなか攻撃の起点を作れていなかったなでしこジャパンだけれども、遅れて合流した安藤と永里の加入によって、前線でも起点が作れるようになったのは大きい。
それによって攻撃のバリエーションが増え、北朝鮮のDF陣に的を絞らせなかった。
この2人のコンビでゲットした2点目は、まさにその効果が形となって結実したシーンだったと言えるだろう。
女子サッカー応援宣言
この快勝でグループを首位で勝ち抜けたなでしこジャパンは、きょう27日にワールドカップ出場を賭けて、オーストラリアとの準決勝を戦う。
佐々木則夫監督が、今大会の最も重要なゲームに挙げた大一番。
なでしこは澤、宮間らを含むベストメンバーで臨むだろう。
これは必見である。
ただ、このゲームが CS放送でしか観られないのは残念だ。
「不甲斐ない男子と比較して…」とか言いたいわけではないのだけれど、純粋にいま女子サッカーは面白い。
現なでしこジャパンには澤穂希、宮間あや、大野忍、安藤梢、永里優季らをはじめ、山口麻美、鮫島彩、宇津木瑠美、熊谷紗希、岩清水梓、近賀ゆかりらのタレントが揃っている。あ、これじゃほとんどレギュラー全員か…!
しかし冗談抜きに、なでしこ史上最強とも言えるだけの豪華メンバーが名を連ねているのだ。
しかも 10代の若い世代からも、次代を担う才能が続々と育ちつつあるのだからウハウハものである。
これだけ見ごたえのあるなでしこジャパンが、オリンピックの時以外ではそれほど注目されていない現状は、あまりにももったい無い気がしてならない。
確かに女子は、身体能力では男子とは比較にならないし、競技力では大きく劣る。
しかしサッカーでは、レベルの高さと面白さは必ずしも一致はしない。
レベルだけの問題なら高校サッカーは観る価値が無くなってしまうし、Jリーグよりも南米やウクライナのリーグのほうが圧倒的に面白いという事になってしまう。
でも実際には、僕たちは高校サッカーもJリーグも興味深く観れているわけである。
女子は男子よりレベルが落ちるのは間違いないけども、それでも技術レベルは猛スピードで向上してきている。
そして中には宮間あやのような、プレーで魅了してくれる本物の天才もいるのだ。
女子サッカーが女子バレーくらいの市民権を得るにはもう少し時間がかかるかもしれないけれども、僕はここで女子サッカーの魅力を語り、草の根活動的にそれを続けて行きたいと思う。
だって彼女たちは、それだけ魅力的なサッカーをしているのだ。
それでちょっとでも彼女たちの頑張りに興味を持ってくれる人がいるのであれば、サッカーファン冥利につきるっていうものだろう。
だからダンナ、ちょっと見てってくださいよ!い、い、いい娘そろってるよ!!
ん?それはちょっとまた違う気が…!
ともかく、今日は決戦である。
頑張れニッポン!!!
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