香川真司が歩む “レジェンド” への道/ブンデスリーガ@ボルシア・ドルトムント 2-0 ハンブルガーSV


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今シーズンは香川真司にとって、フットボーラー人生のひとつのハイライトになるかもしれない。

ブンデスリーガ首位を快走するボルシア・ドルトムントが、ホームに6位のハンブルガーSVを迎えた第 12節。

この試合で香川真司は2試合連続となるゴールを決め、ドルトムントの快勝の立役者となったのである。

ドルトムントの見せた快勝劇

この試合もほぼベストメンバーで臨んだドルトムントに対して、ハンブルガーはエースのファンニステルローイをはじめ、主力の数名を欠いていた。

そんなチーム状態をストレートに反映して、ゲームは立ち上がりからドルトムントが支配する。

その中で香川真司は、トップ下で攻撃の中核として機能。

香川を中心に組み立てるドルトムントが、序盤から一方的に押し込む展開となった。

ただしハンブルガーの最終ラインも粘り強いディフェンスを見せて、前半はスコアレスで折り返すことになる。

しかし後半、ゲームは一瞬にして動いた。

主役になったのは、日本からやってきた『極上の寿司』、香川真司である。

後半早々の 49分。
ドルトムントの右サイドバック、ルカシュ・ピズチェクがオーバーラップを仕掛ける。

右サイドのスペースでボールを受けたピズチェクは、ペナルティエリア外の中央にグラウンダーのクロスを上げる。

ポッカリ開いたそのエリアに走りこんでいたのが、香川真司だった。

香川が試合後に「クロスが速かったので、枠に飛ばすイメージで打った」と振り返った右足インサイドのシュートは、河に注ぐ渓流のようにきれいにゴールに流れこんで、試合の均衡を破る貴重な先制ゴールとなったのである。

しかもこの日の香川は、このゴールだけでは終わらなかった。

迎えた 70分。
中盤でボールを受けた香川は、早いタイミングで目の覚めるようなスルーパスを通す。

これに反応して右サイドに抜けだしたマリオ・ゲッツェが DFとGKを引きつけてファーサイドにクロスを上げると、この時点でハンブルガーの DFラインは完全に崩壊。

これをケヴィン・グロスクロイツが折り返したところを、最後はルーカス・バリオスが無人のゴールに蹴りこんだ。

ドルトムントの誇る攻撃のカルテットが、完全にハンブルガーの守備陣を崩しきって決めた2点目。

これで、勝負の大勢は決した。

その後も危なげない戦いぶりを見せたドルトムントは、けっきょく 2-0のスコアで快勝。

1試合多いとはいえ、2位のマインツに7ポイントの差をつける、貴重な一勝を挙げたのである。

香川真司が歩む、新しい “レジェンド” への道

ところで香川真司はこの試合で、2試合連続となるシーズン6ゴール目を挙げて、得点ランキングの5位タイに浮上した。

4点目を挙げて以降はしばらくゴールから遠ざかっていたけれども、再び爆発の気配を漂わせている。

しかも、シーズンはまだ3分の1程度を消化したほど。

香川がこのままのペースで得点を量産すれば、高原直泰がフランクフルト時代に挙げた「シーズン通算 11得点」の欧州主要リーグ日本人得点記録を、大幅に更新することになる。

そして今の香川真司の調子であれば、それも十二分に可能だと言えるだろう。

またボルシア・ドルトムント自体も、2位マインツの試合結果次第では、一気に独走態勢に入る可能性も出てきた。

そうなればこのまま、優勝まで突っ走る事も充分に考えられる。

そして香川がもし、欧州挑戦1年目でリーグ優勝を決めれば、これは近年の日本人選手としては例がないことだ。
かの中田英寿や長谷部誠でも達成していない、まさしく「快挙」である。

ちなみに今まで、この快挙を達成した日本人は、たった一人しかいない。

そう、1.FCケルン時代の “レジェンド”、奥寺康彦ただ一人だ。

香川は今シーズン、奥寺に肩を並べることができるのだろうか。

もちろん、シーズンはまだまだ長い。
これからドルトムントにどんな試練が待ち構えているのかは、神のみぞ知るところだ。

しかし、もしその快挙が実現した時には。

香川真司は、日本が生んだ新しい “レジェンド” になっていることだろう。

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