リオネル・メッシの子供のころのプレー映像を観たことがある。
ボールを持つやいなや、チョロQのような加速力でディフェンスを5人、6人、時には 10人ほどもぶっちぎって、ゴールを決めてしまう。
相手がプレーを再開しても、ひとたびメッシがボールを奪えば、あとはひたすら同じ光景が繰り返される。
そんな感じだった。
それはサッカーと言うよりも、メッシが全員を抜き去った後に自分でゴールを決めるのか、それとも誰かにパスをして決めさせるのか、を競う、何か別のスポーツのようにすら思えた。
それを観て僕は、ああ、本当の天才ってのはこういうことを言うんだな、と思った。
リオネル・メッシという幸福
FCバルセロナが 4-0でシュツットガルトを下した、UEFAチャンピオンズリーグ1回戦 2ndレグ。
この試合でも、メッシはキレキレだった。
メッシの挙げた2ゴールは、どちらも見事なファインゴール。
試合全体を通して、ドリブル・キープ・パス・シュート、全てにおいて完璧な出来だった。
もはや「神がかり的だった」と言ってもいい。
この夜はまさに、”メッシのフェスタ” と言っていい夜だった。
15年前にチョロQだった天才少年は、大人になったいま、世界ナンバーワンの選手へと成長を遂げている。
170センチに満たない体格ながら、自分より10センチも20センチも大きいDFたちに囲まれても、全くボールを奪われない。
マラドーナの全盛期を知らない僕は、こんなプレーをする選手を、それまで観たことがなかった。
こんな小柄な選手でも、こんな凄いプレーができるものなのか。
それまでの僕の常識は、メッシによって完全に覆されてしまった。
観るものの想像のはるかに上を行くような「あり得ない」プレーを連発する彼には、もはや「天才」という形容詞も似つかわしくない。
まさに規格外。”異次元のプレーヤー” である。
しかも彼はまだ22歳。その底無しの才能は、いったいどこまで進化するのだろうか。
僕は大好きなバルセロナで、リオネル・メッシがプレーしていることがとても嬉しい。
そして彼と同じ時代に生きて、そのプレーを目の当たりにできる幸運を、とても幸せに感じているのだ。
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