蘇った「一発勝負の悪夢」/AFCチャンピオンズリーグ@城南一和 3-0 ガンバ大阪

ガンバ大阪が敗れた。

AFCチャンピオンズリーグでのガンバは、これで2年連続の決勝トーナメント1回戦敗退である。

昨年の川崎フロンターレ戦に続いて、再び辛酸を舐めたガンバ。

そこにあったのは、昨年も嫌というほど味わった「一発勝負の恐怖」であった。

ガンバの侵した最大のミス

この試合でガンバは、大きなミスを侵している。

立ち上がりから優勢だったのは、アウェーのガンバのほうだった。

自慢の攻撃力で城南 DF陣を切り崩し、前半早々から宇佐美貴史、ルーカスらが何度も決定的チャンスをつくる。

しかし、結果的にガンバはこのチャンスを得点に結びつけることができない。

そして、チャンスを逃すとピンチがやってくるのはサッカーの常である。

けっきょく前半を 0-0 で折り返したガンバは、後半73分から3点を奪われ、城南一和の前に屈した。

そして、「一発勝負」のこの1回戦で敗れたことで、大会そのものからも姿を消すこととなったのである。

確かに3失点は大量失点ではある。

しかしガンバのこの試合での最大のミスは、前半早々の決定的チャンスを逃してしまったことに集約されていると僕は感じた。

このチャンスを決められなかった時点では、僕にはガンバにまだ余裕があるように思えた。

かなり早い時間帯だったこともあって、「チャンスを逃した」というよりはむしろ「簡単にチャンスをつくれている」ことに手応えを感じているように見えたのだ。

シュートを外した宇佐美に笑顔があったのでそう思ったのだけど、もしかしたら他の選手たちは違う思いを抱いていたのかもしれない。

しかしどちらにしても、チーム全体に緊張感があったわけではないのは事実だったように思う。

ところがガンバは、時間を追うごとにチャンスを作れなくなっていく。

前半を無得点で終えたガンバは、後半立ち上がりには DF高木和道に代えて FWの平井将生を投入。
より攻撃的な布陣で臨んだものの、けっきょく得点は生まれない。

そして薄くなった守りの隙を突かれて、逆に3点を奪われる結果となってしまったのである。

小さいと思っていた立ち上がりのミスが、結果的に試合を大きく左右した。

そして、そのミスが全てを終わらせてしまう事こそが、この一発勝負の怖さであった。

「一発勝負」のレギュレーションへの疑問

ACLの決勝トーナメントは、この1回戦のみホーム&アウェーではなく、1試合のみで決着をつける一発勝負である。

実を言うとこのレギュレーションに、僕は前々からしっくりこないものを感じていた。

ACLは、日本国内では注目度が飛躍的に高まりつつある大会だ。

しかし、国によってはまだまだ観客の入りも微妙な場合も少なくない。

実際この日のゲームでも、城南のスタジアムのサポーターの数は大入りとは言えない状況だった。

そういう事情もあって、「試合をエキサイティングにして注目を集める」のと、「参加チームにかかるコスト面での負担を軽減させる」ために、この一発勝負制度は考えられたのだと思う。

しかし、どうだろうか?

それによって試合自体が、ギャンブル性の高いものになりすぎてはいないだろうか?

僕はこのレギュレーションからは、何となくスポーツよりもビジネスが優先されてしまっているような臭いを感じてしまうのである。

今回ガンバが負けた原因は実力にあったと思う。

1点目のPK判定が物議を醸しているようだけれども、個人的にはあまり審判のせいにはしたくないと思う。
だから、1回戦敗退がレギュレーションのせいだったとか何とかは言うつもりはない。

ただ、6試合の長丁場のグループリーグを戦い抜いて勝ち上がったのに、トーナメントのたった1試合で大会から姿を消すチームがあるというのは、あまりにもあっけなさすぎはしないだろうか?

そして、負けたチームの側にも、なかなかすんなりと納得のできない「不完全燃焼感」が残ってしまいはしないだろうかと僕は思う。

「負けは負け」と言ってしまえばそれまでだけども、どちらにしても優勝チーム以外は全て「負けたチーム」になるのである。

それならばせめて、負けた側であっても納得できるような好勝負を、僕たちファンとしても観たいように思うのだ。

大会の権威を上げるという意味でも、個人的には近い将来のうちにこの「一発勝負制度」は見直しをお願いしたいと思っている。

残る日本勢の活躍に期待

大会そのものはガンバの敗退によって、残る日本勢は鹿島アントラーズだけとなった。

Jリーグでは3連覇中の「王者」アントラーズも、ACLでは決勝まで進出したことのない「チャレンジャー」だ。

日本の代表として、僕は残る大会ではアントラーズを応援したい。

そして12月には、ぜひともクラブワールドカップで戦う彼らの勇姿をを目にすることを願っている。

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