全く予想外の展開だった。
僕の中で「ドリームマッチ」の位置付けだった、バルセロナ x アーセナル戦。
おそらく、いま世界で最も美しいサッカーをする2チームの対決。
アーセナルのアーセン・ベンゲル監督が戦前に語ったように、
「この2チームの試合が、面白くならないわけがない」
はずだった。
ところが結果はー。
未遂に終わった「ドリームマッチ」
90分を戦って 2-2、バルセロナが2点を先行するも、アーセナルが追いついてのドロー。
スコアと展開を見れば、確かにつまらない試合ではなかった。
しかし内容はどうだったか。
前半立ち上がりからバルサが猛攻をしかけ、ゲームを完全に支配する。
もちろん、昨年度に6冠を達成したバルサが強いことは分かっていた。
しかし、あのアーセナルがあそこまで完全にボールを支配されるとは、僕にとっては全くの予想外だった。
しかも舞台はアーセナルのホーム、エミレーツ・スタジアムである。
結果的に前半はズラタン・イブラヒモビッチの1点に終わったものの、3点4点が入っていても全くおかしくはなかったほど、一方的な展開。
後半もイブラヒモビッチが1点を追加し、バルサがこのまま逃げ切りかと思われた。
しかし、セオ・ウォルコットの投入で流れを変えたアーセナルが2点差を追いつき、最終的にこの試合はドローで終わる。
バルサの前半の出来は見事だったし、ベンゲル監督のウォルコット投入もズバリの采配だった。
2点差を追いつく展開もドラマチックだったと言えるだろう。
しかし。しかしである。
至極個人的な感想を言わせてもらうと、僕がこの両チームに求めているのは、そういうサッカーではないのである。
芸術的なパスワークを誇る両チームが、その持ち味を存分に発揮しての、テクニカルな攻撃の応酬。
僕がこの試合に望んでいたのは、そういう類のものだった。
その意味で、この日のアーセナルの出来には残念としか言いようがない。
本物の「ガンナーズ」は、こんなものではないはずである。
さらに悲しい事にこの試合で、アーセナルの攻撃の中核、セスク・ファブレガスが右すね亀裂骨折の重傷を負ってしまった。
しかもセスクは次戦は出場停止。
カンプ・ノウで行われる2ndレグでの、バルセロナ出身である彼の凱旋は実現しないことになった。
夢は儚いからこそ価値があるのかもしれないけれど、たまにはそれが実現する姿も見てみたいものである。
ドリームマッチは僕の単なる妄想に終わるのか。
いや、終わってしまって欲しくないなあ。
世界中のサッカーファンのためにも。
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