新生ジャパンの描いたエスキース/国際親善試合@日本代表 1-0 パラグアイ代表


Photo by yoppy

僕が日本代表を応援し始めたのはJリーグ開幕の頃からだから、もう17年前になる。

以来、代表戦の観戦は、ほとんど欠かしたことがない。

サッカーが大好きで、好きなチームも好きな選手もいるけれど、僕は特定のクラブの熱狂的サポーターというわけじゃない。

僕が唯一サポートしているチームは日本代表で、ドーハでの敗戦を目の当たりにして以来、その思いはより一層強くなった。

僕がこうやってブログなんかを書いているのも、究極的にはサッカー文化の広まりに貢献して、日本代表のワールドカップ制覇という夢に、微細であっても協力したいという思いがあるからだ。

そして南アフリカでベスト16という大きな足跡を残した日本代表は、ザッケローニという新監督を迎え、いよいよ新しい四年間へのスタートを切ることになった。

そしてこの試合は、その第一歩となる節目のゲームとなったのである。

興行となった親善試合

新生日本代表の初戦はしかし、新監督アルベルト・ザッケローニの初戦にはならなかった。

混迷した監督人事の影響から就労ビザの発行が遅れ、ザッケローニはVIPルームでこの試合を眺めることになる。

代わりに指揮をとったのは、日本サッカー界の「ある意味カリスマ」、原技術委員長だった。

親善試合は公式戦と違って、どちらのチームも100%のテンションで挑むことはほとんどない。
一方が欧州のチームの場合、その傾向はさらに顕著になる。

だから親善試合では、勝ち負けとは別の次元での、「その試合のテーマ」を察知しながら観戦する必要があると僕は思っている。

しかしこの試合は代行監督による指揮ということで、そもそも戦術面・選手選考面でのテーマというものが存在しないという、ある意味で非常に特殊な一戦となってしまった。

でもそこに試合がある以上、それが全く無意味ということはあり得ない。

僕にとってこの試合の最大のポイントは、ワールドカップで日本中を熱狂の渦に巻き込んだ代表チームが、その熱気をしっかりと新チームに引き継ぐ事ができるのか。
その興行試合としての成否だった。

そしてその意味では、この試合は大成功だったと言える。

日本代表の得た収穫

この日に日産スタジアムを埋めた観衆は、実に 65,157人。
約 72,000人収容の日産スタジアムが、9割以上埋まった計算になる。

そしてその大観衆を前に、本田圭佑や松井大輔などのワールドカップのスターたちを揃えた日本代表は、終始アグレッシブな姿勢を見せて 1-0の勝利を収めた。

ワールドカップで敗れたパラグアイとのリベンジマッチ…というプロレスチックなマッチメイクの是非はさておき、試合だけを見れば、結果も内容も文句の無いものだったと言えるだろう。

テレビ視聴率はまだ発表されていないけど、観客数から察するに、こちらも悪くない数字が出るはずだ。

次の四年に向けての盛り上がりという意味では、最高に近いスタートを切ることができたと言える。

さらにその副産物として、若手の活躍が見られたのも収穫だった。

決勝点を挙げた香川真司は、ブンデスリーガでの好調ぶりをそのままに、キレキレのプレーを連発。

決勝ゴールとなった一点も、ディフェンス自慢のパラグアイを中央突破で崩すビューティフルゴールで、選手としていま非常に充実していることを伺わせた。

そして香川同様に僕が目を引いたのが、細貝萌だ。

この日が代表デビュー戦となった若きボランチは、それを全く感じさせない堂々のプレーで中盤のディフェンスに貢献。
イケメン度のアップという意味でも、今後に大きな期待を抱かせた。

そういった意味でも収穫の大きかったこの試合。
結論としては大成功だったと言っていいと思う。

ただ忘れてはいけないのは、これはあくまでも参考記録に過ぎないということだ。

代表の見せる「花試合」

この試合、パラグアイ代表は相変わらず組織的なディフェンスを見せていたけども、ワールドカップの時の鬼気迫るような集中力は、この日には感じられなかった。
あくまでも今回は、2割引くらいの力だったと思っておいたほうが良さそうだ。

次の火曜日に開催されるグアテマラ戦も含めて、この9月の2連戦は世間に向けて、新生ジャパンの船出をアピールするための「花試合」だと僕個人的には思っている。

当然それは、真剣勝負とは違う。

親善試合の中でも、ひときわ興行色の強い特殊な2連戦。

この2試合の結果で新生ジャパンの未来を占うのは、やはり早計だと思われる。

日本代表にとっての真の戦いは、ザック監督が本格指導した後から始まるだろう。

そこからが本当のスタートラインであって、僕たちが見ているのは、そのエスキース(下絵)に過ぎない。

そう、当たり前のことだけど、戦いはまだ始まってもいないのである。

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