負けて涙が出たのは久しぶりである。

と言うよりむしろ、サッカーでは初めてかもしれない。
ドーハの時も 2002年のトルコ戦も、大きな喪失感はあったけれども涙までは出なかった。

たぶん最後に負けて泣いたのは、自分の高校時代の部活の頃まで遡るんではないだろうか。

それくらい僕はこの試合に入れ込んでいた。
それくらい勝ってほしかった。
しかし、日本は負けた。

あと一歩で日本の手からすり抜けていった、ワールドカップベスト8の座。
その差を分けたのは、小さくて大きい「あと10センチの差」だったのである。

岡田ジャパンの到達した、予想を上回った風景

僕はこの敗戦をもって、誰かを責める気にはなれない。

日本代表はよくやった。

大会前にはあれほど期待されていなかった代表チームが、2002年に並ぶワールドカップのベスト16。
アウェーの大会であることを考えれば、史上最高と言ってもいい成績を残したのだ。

しかも今の日本代表の中核をなす世代は「谷間の世代」と呼ばれ、もう10年も前から多くを期待されてこなかった選手たちである。

彼らが成し遂げたベスト16という成績は、賞賛されるに値するものだと僕は考えている。
岡田ジャパンにとっては全力を尽くした末に手に入れた、充分な結果だったと言えるのではないだろうか。

もちろん試合後にイビチャ・オシム氏が語っていたように、日本がもっとリスクを冒して勝ちに行く姿勢を見せていれば、結果はまた違ったものになっていたかもしれない。

ただ、岡田監督が守備的戦術にシフトしなければ、おそらくカメルーン戦の勝利も、デンマーク戦の勝利もなかったはずである。
そしてこの試合においても、最後の最後の PK戦まで勝利の可能性を残すような展開にもならなかったのではないだろうか。

良くも悪くも、ここが岡田ジャパンの限界だったのだろうと僕は思った。
ただしその限界は、僕たちが想像していたよりもかなり高いところにあったというのも、また事実なのである。

試合を分けた「あと10センチの差」

試合そのものはある程度予想されていたとおり、守備的で拮抗したものになった。
お互いが相手のミスを狙い続ける、神経戦のような展開。
延長戦まで続いた勝負は、両チームともが体力的にも精神的にも多くを消耗した、極めて過酷な戦いとなった。

けっきょく 120分でも勝負がつかずに、勝負は PK戦へ。

おそらく日本サッカー史上で、最も重要な意味を持った PK戦。
そして駒野友一が外した日本に対して、5人全員が決めたパラグアイが、この激闘の勝者となったのである。

オシムは「PK戦のシステムは考え直すべきだ」と、選手に多大な負担を強いる FIFAのレギュレーションを批判していたけれども、僕は延長を戦った上での PK戦には賛成の立場である。

120分間を戦って同点だったということは、両チームの技術・戦術・体力のレベルはほぼ互角だったということだ。
しかしもちろん、2チームともがトーナメントで勝ち上がるわけにはいかない。
微差ながら、より上に行くにふさわしい1チームを決めるために、120分のインプレーの末に PK戦をすることは、個人的には悪い方法だとは思っていない。

PK戦はくじ引きのようなものだという意見もあるけれども、僕はそれほどイーブンなものではないと考えている。
PK戦で勝つには精神力と集中力、そして運気を引き込む努力が必要になるはずだ。

最後の最後の緊迫した場面で、どれほど強い精神力を見せることができるか。
そしてその試合の最中や試合に至るまでのプロセスの中で、どれくらい運を引き入れるような準備をすることができていたか。
それがあの最後の場面で現れるのではないかと僕は考えている。

だから僕は、技術もフィジカルもほぼ互角だった両チームが、精神力と運という要素で最後の勝負のアヤを決める PK戦は、必ずしも非合理なものだとは思っていないのである。

そしてこの試合に限っては、日本よりもパラグアイのほうが強い精神力と、勝ち運を持っていたということになるのではないだろうか。

ただだからと言って、今日の日本代表に、精神力と勝ち運が欠けていたとも思わない。
日本も勝ちたいという気持ちを最後まで見せてくれていたと思うけれども、今回はパラグアイの方が上だったいうことなのだろう。
そして、その差は決して大きなものではなかったと思う。

120分を戦って同点。
さらに PK戦でも、たった1本を決めるか決めないかの、非常に僅少な差で敗れることとなった日本。

そしてその1本の差を作ったのは、駒野がクロスバーに当ててしまったキックと、GK川島があと少しで触れなかった、パラグアイの2本目のキックによる差だったとも言い換えられる。

それぞれあと 10センチコースが違えば、結果は全く違ったものになっていたかもしれない。

このわずか 10センチの差が、今日の日本とパラグアイの差であり、ベスト16とベスト8を分かつ「小さくて大きい差」だったのだと、僕は感じた。

4年後に向けて、僕たちにできること

ともかく、今大会での岡田ジャパンの冒険は終わった。

しかしオシムさんも語っていたとおり、日本のサッカーはこれからも続いていくのである。
スカパーの中継で倉敷保雄アナウンサーが言っていた「4年後に向けて明日から何をしていく必要があるのか、今この瞬間から考えていかないといけない」という言葉に、僕も全面的に賛同したい。

繰り返しになるけども、選手や岡田監督、スタッフたちはよくやったと思う。
決して世界のトップクラスではない彼らが、ワールドカップのベスト8という快挙にあと一歩のところまで迫ったのである。
8強に残ったチームの顔ぶれを見れば、それがどれだけ価値のあることかは明白だろう。

岡田ジャパンは彼らの役目を果たした。
そして、今度は僕たちの番である。

4年後、8年後、12年後に向けて、僕たちサッカーファンには何ができるのだろうか。

小野剛氏も言われていたとおり、ワールドカップで勝つには、代表チームの強化だけを考えれば良いというわけではない。
若年層からの育成や、もちろんJリーグのレベルアップも含めて、日本サッカー界が全体で取り組んでいくべき課題なのだろうと思う。
そしてそこには、僕たちサッカーファンにもできることがあるはずだ。

少しでも多く、Jリーグの試合に足を運ぼう。
Jリーグが無理なら、アマチュアの試合に足を運ぼう。
なるべく多く、サッカーの試合をテレビ観戦しよう。
周りの人たちにサッカーの面白さを伝えよう。
お小遣いに余裕のあるときは、totoを買ってみよう。
サッカーを応援してくれているスポンサーの商品をなるべく購入しよう。
草サッカーでもいいから、参加できる機会があればなるべく自身もサッカーをプレイしよう。
発信の機会があれば、日本サッカー協会や日本代表に、愛のある提言をしていこう。
その他、何か少しでも日本サッカーの発展に繋がることができないか、自分の立場から探していこう。

考えればもっと色々なことが思いつくだろうか。

もちろん、個人のできる範囲でまったく構わないと思う。
それでもやろうと思えば、僕たちのようないちサッカーファンにも、できることはゴマンとあるのではないだろうか。

一つ一つは蛇口からチョロチョロ流れる水道水のように小さな流れであっても、日本中の何千万人というサッカーファンが力を合わせれば、それは大きな川の流れになるはずである。
そしていずれそれは、海となっていくのではないか。

そんな「自分にできること」を一つ一つこなしていきながら、僕は30年後、50年後に訪れると勝手に予想している、日本代表のワールドカップ優勝の瞬間を、微力ながらサポートしていきたいと思っている。

日本サッカーの発展を支えるもの

ワールドカップでの成績は、日本代表だけの問題ではなく、日本サッカー界の総合力が問われるテーマなのだろう。

日本が今大会で体験した「あと10センチの差」。

それは小さいようで大きな差なのだと思う。
そしてその差を少しずつでも縮めていく努力を続けることが、日本がその壁を乗り越え、さらにその先のステージへと進む唯一無二の方法なのではないだろうか。

その最前線で体を張るのは、もちろんプレイする選手たちであり、監督、コーチ、サッカー協会関係者たちである。
しかし本当の主体となるのは、彼らだけではないと僕は思っている。

日本サッカーの発展を支えるもの。

それは遠くの他人ではなく、日本のサッカーを愛する僕たちサッカーファン、その一人一人に他ならないのだ。

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