長友佑都の浴びた「セリエAの洗礼」/セリエA@ACチェゼーナ 1-4 SSCナポリ


Photo by Boch

先日「TV Bros.」という雑誌を見たら、玉置浩二と青田典子のセミヌード写真が表紙になっていた。

玉置浩二と言えば、これまで事実上5回の結婚をしている芸能界きってのプレイボーイ…と言うよりは「濃い」女性遍歴の持ち主だ。

しかし本人曰く「そらあ〜お前、おらあ〜いつだって真剣だよ」とのこと。
さすがに結婚する時には「これが最後の結婚」と毎回思っているそうだけど、それでも繰り返してしまうのが男のサガ…いやタマキのサガといったところだろうか。

とにもかくにも、男女の愛というものは難しい。

はじめは永遠に思えた関係にも、いつか必ず変化が訪れる。
そしてその変化につど対応していくことが、愛が長続きする秘訣なのだろう。

それをうまくこなしたカップルは長持ちするし、それができなければ破局に至る。
太古の昔からずっと繰り返されてきた、男と女のラブゲームの奥深さがそこにはある。

そして長友佑都とACチェゼーナとの相思相愛の物語も、はじまりは素晴らしいものだった。

開幕戦、アウェーのローマで 0-0のドロー
のっけから強豪相手に勝ち点1を挙げると、続くホーム ACミラン戦では 2-0のジャイアントキリングを達成。
3節レッチェ戦にも勝って、この時点で何と驚きのリーグ首位に躍り出た。

まさに長友佑都とチェゼーナの「幸福の絶頂」の時代。

何をやっても楽しかった、ティーンエイジャーの頃の甘酸っぱい記憶が、長友の脳裏にも蘇っていたに違いない。

しかしそれは永遠には続かなかった。

第4節カターニア戦で 0-2と敗れると、その物語には暗雲が立ちこめることとなる。

チェゼーナが持ち込んだ「必勝パターン」

迎えた第5節のナポリ戦、試合は一方的な展開になった。

ゲームを支配したのはホームのチェゼーナではなく、アウェーのナポリ。
立ち上がりから、ゲームはほぼ一方的なナポリペースで進む。

ナポリが誇る攻撃のタレントたち…マレク・ハムシク、エセキエル・ラベッシ、ホセ・ソサ、フアン・スニガらが次々とチャンスメイクをしては、チェゼーナのゴールに襲いかかる。

しかしそんな防戦一方の展開の中でも、長友佑都は健闘を見せていた。

得意の1対1のディフェンスをはじめ、カバーリングにオーバーラップにと奮闘。
ナポリの決定機を、鋭いカバーリングで封じるような場面も見られた。

しかし反面、ナポリの右サイドのキーマンだったスニガに抜き去られるような場面もあって、昨シーズン6位の強豪相手に長友も苦しめられる。

それでも GKフランチェスコ・アントニオーリの大活躍もあり、チェゼーナは何とか、前半は 0-0でしのぎきることに成功した。

そして後半に入った 48分、チェゼーナに千載一遇のチャンスが訪れる。

右サイドを抜けだしたエセキエル・スケロットのクロスに、中央でフリーだったマルコ・パローロが蹴り込んで、チェゼーナが先制。

押し込まれながらもワンチャンスをものにする「必勝パターン」に持ち込んで、これでチェゼーナが俄然優位に立ったかに思われた。

しかし、2部上がりのチームに毎度毎度の必勝パターンを完遂させるほど、セリエAの舞台は甘くはなかった。

ここからナポリは怒涛の反撃を見せ、チェゼーナは何と4点を連取されてしまう。

チェゼーナに差し向けられた刺客、エディソン・カバーニ

どんなに甘美な物語も、永遠には続かない。

チェゼーナのサクセスストーリーの終わりは残酷なものだった。

きっかけは 60分に投入された、ワールドカップでも大活躍したウルグアイ代表の新星、エディソン・カバーニである。

この「刺客」の登場によって、それまでのチェゼーナの蜜月の時間は、音を立てて崩壊することになる。

まず 72分、左サイドでボールを受けたカバーニのスルーパスに抜けだしたアンドレア・ドッセーナがクロス。
これをラベッシが決めて、ナポリが同点に。

これを受けて 75分、チェゼーナは長友を MFの位置に上げて、左サイドバックにマウリツィオ・ラウロを投入。

しかし結果的に、これが完全に裏目に出てしまう。

続く 80分、そのラウロがスニガを倒し、ナポリに PKが与えられる。
これをハムシクが決めて、ナポリが逆転。

さらに 88分、カウンターからラウロの守る右サイドを突破したカバーニに決められて 1-3。

トドメは後半ロスタイム、再びカウンターから左サイドに流れたカバーニが、ラベッシからのパスをランニングしながら、ダイレクトでファーサイドへとループシュート。
この芸術的なゴールが決まって、ナポリが 1-4のゴールラッシュを締めくくった。

チェゼーナに突きつけられた「現実という名の重し」

チェゼーナにとっては、まさに悪夢のような4失点。

しかも 70分過ぎまではリードしていながら、残りの 20分で叩き込まれた4発。
チェゼーナの選手たちは、しばらくこの結果を直視できなかったのではないだろうか。

しかし、これがカルチョの現実だった。

この敗戦でチェゼーナは 10位へとランクダウン。
代わってナポリは6位へと浮上した。

5戦目にして突きつけられた、受け入れがたい現実。

チェゼーナの夢の物語は、これで完全に終わりを告げた。
ここからは再び一歩一歩、新しいドキュメンタリーを紡いでいく必要があるだろう。

チェゼーナと長友佑都に突きつけられた、重い4発の「現実という名の重し」。

それはまさに、新興チームの甘い夢を打ち砕いた「セリエAの洗礼」だった。

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