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そこに2年前の面影は無かった。
日本の若きなでしこたちが挑んだ、U-17女子ワールドカップ。
あわよくば優勝も期待されたこのチームが臨んだ世界大会は、期待とは裏腹の大敗でのスタートを余儀なくされた。
そこで見受けられたのは、世代別のチームを構成する難しさ。
若きフットボーラーたち特有の、経験不足から来る “危うさ” だったのである。
世界に挑む「ヤングなでしこ」
2008年の第1回 U-17女子ワールドカップ。
2年前に行われたこの大会で日本は快進撃を見せ、大会に旋風を巻き起こす。
この大会の詳細は以前にまとめさせていただいたのでそちらを読んでもらえればと思うけれども、日本は女子サッカー界に君臨する「女王」アメリカに勝利し、3戦全勝の完璧な戦いぶりでグループリーグを突破する。
決勝トーナメント1回戦で惜しくもPK戦で敗れたものの、その素晴らしいサッカーは世界中の注目を集め、中心選手だった岩渕真奈が日本人初の世界大会 MVPに輝いた。
2年に1回開催される世代別の大会は、もちろん選手たちは大会ごとにほぼ総入れ替えされる。
今回のチームも、この前回大会のチームとは全くの別物だった。
しかし岩渕真奈は別格にしても、前回と同じ吉田弘監督が率いるこのチームも、未来のなでしこジャパンを担うであろう逸材が揃った好チームとの評判だった。
そのヤングなでしこたちが挑んだ初戦はしかし、予想外の大敗で幕を開けることになる。
初戦の相手はスペイン。
ヨーロッパチャンピオンの肩書きを持つ強豪である。
しかし立ち上がり、主導権を握ったのは日本のほうだった。
前回大会でも岩渕真奈とともに「飛び級」で世界を経験したMF、田中陽子を攻守の軸に、日本は右の加藤千佳、左の仲田歩夢の両サイドアタッカーからチャンスをつくる。
ただ日本代表はこの試合、本来のエースストライカーである FW京川舞を故障の影響で欠いていた。
決定力に欠けた日本は主導権を握りながらも、それを得点に結びつけることができないまま時間を過ごしてしまう。
そして、チャンスを逃せばピンチがくるのがフットボールの常である。
26分、GKとDF間のパスミスからボールを奪われた日本は、あまりにもあっけない形で先制点を許してしまった。
そしてこれをきっかけに、日本の集中力は凧の糸のように、プッツリと切れてしまうのである。
日本が見せた「危うさ」
先制点から2分後の 28分、日本は自軍のスローインからボールを奪われると、ここからスペインがゴール前にクロスを上げる。
そしてゴール中央に待ち構えていたストライカー、アレクシアに個人突破を許し、そこから豪快なミドルシュートを叩き込まれた。
さらに 41分には、CKからヘッドで合わされて3点目。
なんと 0-3というスコアで、前半を折り返す形になってしまう。
後半立ち上がり、日本はエースの京川舞を強行出場させる。
京川の投入でリズムの良くなった日本はいくつかのチャンスを創り出すことに成功。
攻撃に流れが生まれ、反撃の機運は高まってきたように思われた。
しかしそれでも 55分には、ロングフィードへの対応ミスを拾われ、またもミドルシュートを決められてしまい 0-4。
直後のプレーで横山久美のミドルが決まって1点を返したものの、けっきょく両軍のゴールはここで打ち止めだった。
終わってみれば 1-4。
惨敗とも言えるスコアで、日本は重苦しい黒星スタートを喫する形となってしまったのである。
日本に期待したい底力
若い世代の試合というのは難しいと言われる。
この試合もまさに、そんな日本の「若さ」が全て悪い方向に出たような試合だった。
序盤は主導権を握りながらも、凡ミスで失点。
そこからドタバタと集中力が乱れて、失点を重ねてしまう。
気がつけば試合終了時には3点差をつけられていたという印象だった。
日本は決して力で劣っていたとは思わない。
スペインも良いチームには違いなかったけれども、点差ほどの力の差は感じられなかった。
つまりこの日の試合は、けっきょくのところ日本の自滅に近かった。
若いチームの歯車が狂うとこうなってしまうという、悪い見本のような試合になってしまったと言ってもいいだろう。
ただし、当たり前だけどもまだ大会は始まったばかりである。
若いということは、それだけ立て直す力もあるということだ。
日本が喫した、思わぬ惨敗スタート。
しかし僕は、まだまだこれから見せてくれるだろう、彼女たちの底力に期待している。
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