僕がしばらくブログの更新をさぼっていたら、もう終わっていた。

何がって?
U-20女子ワールドカップである。

世界一サッカーのうまい女の子たちを決めるこの大会。
日本の早期敗退で大会自体の興味は薄れてしまった感があるけれども、その後の準決勝・決勝と、日本の戦った3試合を踏まえて、僕なりにこの大会を振り返ってみたいと思う。

驚きのなかった世界チャンピオン

大会を制したのは地元のドイツだった。

正確な数字は分からないけども、今大会は大会史上最高の観客動員数を記録して、その点では大成功を収めたんだそうである。
確かに決勝でも満員とはいかないまでも、かなりのお客さんが入っているのが見て取れた。
女子サッカーの地位向上という点では、大きな意味のある大会だったのだと思う。

そして競技面から見ても、ドイツは確かに強かった。

決勝のドイツの相手はナイジェリア。
日本があれほど苦しめられたナイジェリアに対しても、ドイツは激しいプレッシャーをかけて、ほとんどまともにサッカーをさせないくらいの圧勝劇を演じた。
またそれに先立つ準決勝でも、ドイツは韓国を 1-5と玉砕。
その圧倒的な強さが際立った大会だったと言えるだろう。

ただ、彼女たちのプレースタイルそのものは、極めてオーソドックスなものだったと言っていい。

ドイツの選手の体格は、韓国やフィジカルの強いナイジェリアの選手たちと比較しても、明らかに一回り大きかった。大人と子供ほどの体格差だったと言ってもいい。
その圧倒的なフィジカルに加えて、持ち前の組織力を活かした堅牢なディフェンスが、ドイツの最大のストロングポイントだったと思う。

しかしこの構図は、これまでの女子サッカーの慣例を覆すものでは全くなかったのも事実である。

ドイツも昔に比べれば、かなりテクニック面でも向上の兆しは見えていた。
けれども、ドイツの最大の持ち味がフィジカルの強さであって、攻守両面でその強みに頼ったサッカーであった事に違いはない。
日本が北京オリンピックや 08年の U-17ワールドカップで見せたようなモダンフットボールの姿は、今大会のチャンピオンからは伺うことができなかったのである。

いまだにテクニックよりも、圧倒的なフィジカルの差で勝負がついてしまう女子サッカー。
聞けばドイツの女子サッカーの競技人口は 100万人を数えるらしい。
日本がだいたい 3万人前後だそうだから、実に 30倍!ほどの選手層を誇る計算になる。
もともと大柄な民族なのに加えて、100万人の中からフィジカルの強いアスリートを選抜するのだから、男子と比べてもさらに大きなフィジカルの差が生まれてしまい、そこで勝負がついてしまうのが女子サッカーのひとつの課題だ。
日本のようなテクニックに優れたチームが勝つようにならなければ、このフィジカル偏重の傾向は続くことだろう。

しかしその中でも、ナイジェリアのようにフィジカルとテクニックを併せ持ったチームが台頭してきたことは面白い。
今後女子サッカーが世界的に普及して、フィジカルの差が今よりは接近してくるようになれば、その勢力地図にも大きな変化が見られるかもしれない。
そして日本が、その旗手になってくれれば最高である。

岩渕真奈が世界の頂点に立つために

そして僕のこの大会でのもう一つの興味が、岩渕真奈を凌ぐような選手が世界にいるのかどうか、それを見極めることだった。

結論から言うと、そういった選手は見当たらなかったように思う。

大会 MVPと得点王をダブル受賞したドイツのアレクサンドラ・ポップは確かに優れた選手だったし、そのイカツイ風貌は同国男子代表のシュバインシュタイガーを、アヒルちゃんが羽ばたくようなゴール後のパフォーマンスは笑いのカリスマ・志村けんを彷彿とさせ、その点でもインパクトは絶大だった。
しかしプレースタイル的には、フィジカルの強さと高さ、決定力を売りにしたパワー系のタイプ。
岩渕とは全くスタイルが違うのもあるけれども、U-17ワールドカップでMVPを受賞した時の岩渕真奈ほどの驚きがあったかというと、答えは「No」だろう。

韓国の「天才少女」チ・ソヨンも、準決勝で見事なドリブルシュートを決めるなどその才能は垣間見えたけれども、スピードも含めた総合力で比べれば、間違いなく岩渕のほうがワンランク上だと思った。
ナイジェリアにも個人能力の高い選手が何人かいたけれども、スピードは互角でも、パスセンスとテクニック、決定力の面でやはり岩渕が優っていたと思う。

もちろんアメリカをはじめ、上位に進出してこなかったチームの中にも優れた選手がいた可能性はあるので(岩渕自身がグループリーグで敗退してるし)絶対とは言えないけれども、U-17年代に続いてこの年代でも、岩渕が世界トップクラスの選手である可能性は高そうだ。

ただそれを証明するためには、何と言っても勝たなくてはいけない。

今大会でも日本が優勝していれば、ほぼ間違いなく岩渕が MVPに選出されていたはずである。
クリスティアーノ・ロナウドやリオネル・メッシも、チャンピオンズリーグというビッグタイトルを獲ることで、名実ともに世界一の選手であると認められた。
女子にはクラブ世界一を決める明確な大会が存在しないので、代表の世界大会で勝つことが、岩渕がナンバーワンになるための必須の条件となってくるだろう。

つまり岩渕真奈が、自身も希望する「世界一の選手」になるためには、日本代表が世界チャンピオンにならなければいけない。

それは来年の女子ワールドカップなのか、それとも2年後のオリンピックあるいは U-20ワールドカップなのか、はたまたそのもっと先なのかは分からない。
しかしいずれにしても、それが岩渕真奈にとってのキャリアを通じた目標になってくるのではないかと僕は思っている。

実際今回も、大会1カ月前に行われたドイツ遠征では、日本はテストマッチでドイツに勝っていた。
国内では試合の中継は無かったので詳細は不明だけれども、試合後のドイツ選手たちのコメントを聞いても、決してフロックの勝利ではなかったようだ。
もちろんテストマッチの結果はあくまでも参考記録に過ぎないけれども、日本にはそれくらいのポテンシャルはあるし、それを発揮できれば世界大会で優勝することも決して不可能ではなかっただろう。
サッカー界のなでしこたちにはぜひ、それを本気で狙ってもらいたいと思う。

なでしこジャパン、世界チャンピオンを目指して

岩渕真奈という希有な才能。

日本がその絶大な切り札を活かせるのは、今後 10年~15年の間だろうか。
その間に行われるワールドカップとオリンピックが、それぞれ3~4回。
日本はそのいずれかで優勝しなくてはいけない。

10年は長いだろうか?
僕はあっという間だと思っている。

本田圭祐が 24歳にして「焦りを感じている」と語っているように、サッカー界の時の流れはとてつもなく早い。
そして岩渕真奈本人も、そんなことは百も承知だろう。
残されたチャンスは、決して多くはないはずだ。

それはまだ 17歳の少女が背負うには、重た過ぎる重圧かもしれない。
しかし岩渕なら、それを乗り越えてくれると僕は信じている。

そして「世界チャンピオン」という壮大な目標が実現した時こそが、僕たちサッカーファンと、選手・関係者たち、そして岩渕真奈、その全ての人たちの夢が、一同に叶う瞬間になるのではないだろうか。

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